ジュリアン・オピーとは
ジュリアン・オピー(Julian Opie)は1958年ロンドン生まれ、イギリスの現代美術界を代表するアーティスト。
1980年代よりヨーロッパのアートシーンに現れ、風景や人物など、アートにおける古来からの主要なモチーフをピクトグラムやアニメの表現を連想させるシンプルな描画と色彩表現で極限まで簡略化する表現がアート界のみならず広義のカルチャーシーンで大きな支持を集め続けている。
ニューヨーク近代美術館、大英博物館、テートギャラリー、ステデリック美術館など世界の主要な美術館に加え、日本では東京国立近代美術館、国立国際美術館、高松市等にコレクションされるなど世界の現代アート界において重要なアーティストのひとり。
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また、アートの枠を越えたプロジェクトも多数手がけており、Blurのアルバムジャケット、英国ロイヤルバレエ団やU2のステージデザイン等を行った。
近年も大英博物館(2011年)、英国ナショナルポートレイト・ギャラリー(2012年)、ドイツ新美術館(2015年)など世界中で大規模な展覧会が開催され、日本では2008年に水戸芸術館、2019年に東京オペラシティーアートギャラリーでも展覧会が開催された。
2014年にはユニクロとMoMAとのアートプロジェクト「SPRZ NY」よりオピーの作品がプリントされたTシャツも販売されている。
ジュリアン・オピーの作風
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ジュリアン・オピーの魅力は、なんといっても点と線の究極の省略美ではないだろうか。どの作品も極限まで単純化されていながら、太い輪郭線でモチーフが持つ特徴的な要素を最低限盛り込み、その個性を強調する。どれも普遍的でありながら、唯一無二の作品だ。
オピーの作品は絵画であっても切り絵のようにパーツを組み合わせて制作されており、半立体的な構造となっているものもある。
また、オピーは日本美術にも造詣が深く、歌川広重や喜多川歌麿の作品のコレクターでもある。近年はコンピューターやLEDといった現代の表現ツールを用い、浮世絵の構図や色彩感覚を、オピー独特の表現へと昇華させた「日本八景」シリーズなども制作している。
ジュリアン・オピーの代表作
ポートレイトシリーズ
オピーは人物のポートレイトを描き始めた1997年頃以降、自分の身の回りの友人や知人などのポートレイトを多く制作している。モチーフとなる人物たちのリラックスした表情や仕草、ふとした瞬間の動作などが描かれており、オピーとモデルの関係性が伺える。タイトルにはモチーフとなった人物の名前が使われている。
また、ポートレイトには服の柄や髪の毛まで描かれたものと、頭部を丸で描き、目や口すら描かず極限まで簡略化したピクトグラムのようなものの2種類ある。
風景画
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人物画が有名なオピーだが、風景画も制作している。風景画に関しても平面的で影や色の濃淡はほとんどなく、海や山が認識できる最小限の情報量で描かれている。どこにでもあるような景色の一部を切り取り、より普遍的に描くことで鑑賞者が記憶の中の景色と照らし合わせ、たとえオピーが見ている景色と違ったとしてもどこかノスタルジーを感じるのではないだろうか。
歩く人々シリーズ
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オピーの最も代表的な作品の一つが街で行き交う人々を描いたシリーズ作品だ。顔を描かず、皆を横向きで描いているが、服装、体型、髪の毛や持ち物などで個性が現れている。街で見かける人を「あの人は学生かな」「あの人は少し急いでいそうだ」と想像する感覚で、作中の人の微妙な違いから特徴を見分けることができる。
2019年に東京オペラシティーアートギャラリーで開催された展示では、この街の人シリーズを立体的なLEDディスプレイで表現し、作中の人物たちが動く様を見ることができた。
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ANDARTではジュリアン・オピーの作品《New York Couples》を共同保有作品として取り扱っている。8枚1組でNYを行き交う二人組が描かれ、「点」と「線」という最小限の要素で構成されたオピーらしい大型の人物画。一つの作品だけでも縦125cm程で、横から覗き込むと人物の部分が立体的に浮き出る本作全てが並んだ時の存在感は圧巻だ。
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文章:ANDART編集部