新型コロナウイルスは経済に大きく影響を及ぼし、多くの企業が売上の減少や遠のく客足に苦しんでいます。こうした状況を背景に、新しい分野に挑戦しようとする中小企業を支援するため、中小企業庁によって創設されたのが事業再構築補助金です。本記事では事業再構築補助金を活用できる場面、公募要件、申請時の注意点などを解説していきます。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、中小企業等が新たな分野へ進出するための支援として、2021年、中小企業庁によって創設された補助金制度です。中小企業庁の通常予算が毎年1,000億円程度なのに対し、この事業支援再構築補助金はその10倍を超える1兆1,485億円の予算規模であり、補助額も最大1億円であることから超大型補助金ともいわれています。
2022年1月20日から第5回公募を開始
この補助金は第4回までの公募が終了し、今回新たに第5回の公募が2022年1月20日から開始されました。申請受付開始は2022年2月中旬、応募締め切りは2022年3月24日18時の予定です。(2022年1月31日現在)
事業再構築補助金制度が設立された背景
事業再構築補助金制度は、新型コロナウイルスで疲弊した中小企業等を支援する制度の1つであることに間違いありません。しかし、この補助金制度は単なるコロナ対策のためのものではなく、日本の中小企業がこれまで抱えてきた本質的な問題に対する切り札として用意されたものです。ではその背景や中小企業が抱える問題とは、一体何なのでしょうか?
中小企業の経営革新を推進するため
バブル経済崩壊後の1990年代より日本経済の失速とその損失は計り知れません。
OECDの調査によると製造業やサービス業において、新製品や新サービスを投入した企業の割合が、日本は先進国の中で最下位であるとされています。また、日本企業は米国企業と比べて、利益から設備投資・研究開発に回す割合が極めて低く、これが国際競争力の低下に拍車をかけているといわれています。
これらの傾向は、中小企業ではより顕著に表れており、大企業と比べると中小企業の従業員一人あたりの労働生産性は、ここ20年間ほぼ横ばいで上がっていません。
このような状況を鑑み、中小企業の経営革新を促進し、新たなチャレンジを後押しするために創設されたのが今回の事業再構築補助金です。なお、この補助金は新製品や新サービスを生み出すための経費の補助だけではありません。政府は中小企業を強化するためのM&Aを推進しており、M&A後の費用に対しても本補助金を活用することができます。
コロナ禍で中小企業の課題が露呈した
このような中小企業の課題は、以前から警鐘を鳴らされ続けていましたが、今回のコロナ渦によって顕在化したといえます。事業承継が進まないために企業内の新陳代謝が進まず、古いビジネスモデルから新しい分野へのチャレンジもままならず、守りを重視し過ぎた経営の結果が現在の苦境です。
今回の事業再構築補助金制度は、1兆円を超える空前の規模で行われています。これを活用することができば、今までできなかった改革が一気に推し進められるチャンスとなるでしょう。
補助対象者と補助対象経費について
補助対象者
本事業の補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等とされています。
補助対象経費
補助対象経費は、本事業の対象として明確に区分できるものとされています。具体的には以下のような経費が対象と例示されています。ただし、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合は、支援対象にはならないため、注意が必要です。
補助対象経費の例 |
建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場・貸店舗等の一時移転) |
機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費 |
技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費 |
外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費 ※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外 |
広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等) |
研修費(教育訓練費、講座受講等) |
以下のような経費は対象外とされています。
補助対象外の経費の例 |
補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費 |
不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費 |
フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費 |
事業再構築補助金は、こんな場面で使える!
事業再構築補助金が、中小企業等の新しいチャレンジを後押しする制度であることをご理解いただけたところで、この補助金の具体的な活用法能について解説します。この補助金は、おもに5つの場面で活用できます。自社の状況に当てはまるものはないか、確認してみましょう。
1.新分野展開
新分野展開とは、現在の主力製品の製造は継続しつつ、これまで蓄積してきた技術などを転用して新たな分野の製品やサービスを製造・開発することをいいます。
例)「航空機器部品を製造」していた企業が、新たに「医療分野向けの製品の製造」に参入する
2.事業転換
事業転換とは、業種の変更は行わないものの、新たな主力製品を製造するために事業を転換することをいいます。
例)「航空機器部品を製造」していた企業が、製造業という業種を変えずに「医療分野向けの製品」を主力商品として製造する会社に事業転換する
3.業種転換
業種転換とは、現在の業種を変更して、新たな主力製品やサービスを製造・開発することをいいます。 例)「レンタカー事業」を営む事業者が「貸別荘事業」に業種転換する
4.業態転換
業態転換とは、製品やサービスの製造・提供方法などを変更することをいいます。
例)「実店舗で行っていたレストラン経営」を一部変更し、店舗の一部で非対面式の注文システムを利用した「食品のテイクアウト販売」を行う
5.事業再編
事業再編とは、会社法上の組織再編などを行い、新分野展開などを行うことをいいます。
例)レストラン経営者がM&A(吸収分割)を行い、新たに病院向けの給食事業に参入する
事業再構築補助金には6つの枠がある!補助対象額・補助率を解説
事業再構築補助金には、全部での6つの枠が設けられています。
これらの補助対象額や補助率について、中小企業で活用しやすいものから順に解説していきます。
通常枠
通常枠は、ほかの枠と比べて申請要件が少なく多くの中小企業にとって使いやすいものといわれます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 4,000 万円 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 6,000 万円 【従業員数 51 人以上】 100 万円 ~ 8,000 万円 |
補助率 | ・中小企業者等 2/3 (ただし6,000 万円超は 1/2(※)) ・中堅企業等 1/2 (ただし4,000 万円超は 1/3(※)) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
(※)補助金額によって補助率が異なる。
補助対象額は、申請する企業の従業員数によってそれぞれ3段階にわかれています。
補助率は、原則として支出した金額の2/3 。ただし、6,000万円を超える部分は補助率が1/2に減ります。したがって、従業員が60人の中小企業が1億3千万円の投資を行った場合の補助金は以下のようになります。
- 6,000万円までの部分・・・6,000万円×2/3=4,000万円
- 6,000万円を超える部分・・・(1億3千万円-6,000万円)×1/2=3,500万円
- 補助額の合計・・・4,000万円+3,500万円=7,500万円
中堅企業に関しては基本的な補助率は1/2ですが、4,000万円を超える部分に関しては1/3に減ります。
卒業枠
卒業枠とは、資本金や従業員数を増やし、中小企業を卒業して中堅企業・大企業に成長する企業を支援する枠のことをいいます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 6,000 万円超 ~ 1 億円 |
補助率 | 2/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~14 か月以内(ただし、採択発表日から 16 か月後の日まで) |
(※)卒業枠で不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては事業者での手続きは不要。
補助額は6,000万円超~1億円で、補助率は2/3 です。
従業員20人以下の中小企業の場合、通常枠であれば最大でも4,000万円までしか補助が受けられませんが、卒業枠であれば最大1億円までの補助を受けられます。ただし、卒業枠を使って補助金を受給するためには、以下の条件をすべて満たさなければなりません。
- 中小企業であること(中小企業とは、中小企業基本法で定義する中小企業のことをいいます)
- 事業計画期間内に、「組織再編」「新規設備投資」「グローバル展開」のどれかを行い、資本金もしくは従業員を増やして中堅企業や大企業へ成長すること
なお、 卒業枠の採用は400社に限定 されているため、この条件をすべて満たしたとしても必ずしも受給できるわけでありません。
最低賃金枠
最低賃金枠とは、最低賃金の引き上げにより従業員に給料を支払うのが難しくなった中小企業等に対して、支給される枠のことをいいます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円 【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円 【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円 |
補助率 | ・中小企業者等 3/4 ・中堅企業等 2/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
(※)不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては事業者での手続きは不要。
補助額は、従業員数によって3段階にわかれています。 補助率は3/4ですが、中堅企業の場合は2/3 です。
なお、この最低賃金枠を使うためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
- 2020年10月~2021年6月までの間で、3ヵ月以上にわたり、「最低賃金+30円以内」で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いる
- 2020年4月以降、いずれかの月の売上が、前年もしくは前々年の同月比で30%以上減少していること。もしくは、付加価値額が45%以上減少していること。
※付加価値額:営業利益、人件費、減価償却費を足したもの
大規模賃金引上枠
大規模賃金引上げ枠とは、100人を超える従業員を雇っている中小企業等を対象に、継続的に賃金を引き上げ、同時に従業員数を増やした企業に対して支給される枠のことをいいます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 【従業員数 101 人以上】8,000 万円超 ~ 1 億円 |
補助率 | ・中小企業者等 2/3(ただし6,000 万円超は 1/2) ・中堅企業等 1/2(ただし4,000 万円超は 1/3) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
(※)不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては事業者での手続きは不要。
補助額は、中小企業・中堅企業のどちらも同じですが、補助率は異なります。
大規模賃金引上枠を使って補助金を受給するためには、以下の条件をすべて満たさなければなりません。
- 補助事業実施期間終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、最低賃金を年額45円以上引き上げる
- 補助事業実施期間終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上】増員させる
なお、 大規模賃金引上枠採用は150社に限定 されているため、この条件をすべて満たしたとしても必ずしも受給できるわけではありません。
グローバルV字回復枠
グローバルV字回復枠とは、事業再構築を通じてコロナの影響で大きく減少した売上を V 字回復させる中堅企業等(中小企業は対象ではありません)に支給される枠のことをいいます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 8,000 万円超 ~ 1 億円 |
補助率 | 1/2 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~14 か月以内(ただし、採択発表日から 16 か月後の日まで) |
(※)不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては事業者での手続きは不要。
ただし、グローバルV字回復枠を使って補助金を受給するためには、以下の条件をすべて満たさなければなりません。
- 売上高が15%以上減少していること
- グローバル展開を果たす事業を通じて付加価値額年率5.0%以上増加を達成すること
なお、 グローバルV字回復枠は100社に限定 されているため、この条件をすべて満たしたとしても必ずしも受給できるわけでありません。
緊急事態宣言特別枠
緊急事態宣言特別枠とは、令和3年の緊急事態宣言発令により深刻な影響を受け、早期に事業再構築が必要な飲食サービス業、宿泊業等を営む中小企業等に対して支給される枠のことをいいます。「特別枠」は、優先的に審査されます。
項目 | 要件 |
補助金額 | 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円 【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円 【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円 |
補助率 | ・中小企業者等 3/4 ・中堅企業等 2/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12 か月以内(ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
(※)不採択の場合は、通常枠で再審査される。再審査にあたっては事業者での手続きは不要。
補助額、補助率については、ともに最低賃金枠と同じです。
緊急事態宣言特別枠を使って補助金を受給するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 2021年1月~9月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること。ただし、売上高の減少でなく付加価値額の45%減少でも可。
なお、 要件に合致すれば、地域や業種は問われません。
「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、「通常枠」で再審査が行われます。「通常枠」のみで申請した場合でも一定の加点措置が行われます。
※緊急事態宣言特別枠は、予算に限りがあり、今回の公募で終了する可能性があるため、ご注意ください。
事業再構築補助金交付の要件
事業再構築補助金の交付を受けるためには、以下の要件を必ずすべて満たさなければなりません。
- コロナ禍で売上が減少している
- 事業再構築を行う
- 認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定する
1.コロナ禍で売上が減少している
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で売上が減少している企業が対象となります。具体的には、以下の要件をどちらも満たさなければなりません。
2020年4月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年もしくは2020年1~3月)の同3ヵ月の合計売上高と比較して10%以上減少している
2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月間の合計売上高が、コロナ以前の同3ヵ月の合計売上高と比較して5%以上減少している
ただし、上記2つの条件を同時に満たすのが難しい場合は、以下の2つの条件を満たすことで申請が可能となります。
2020年4月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヵ月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している
2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3ヵ月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少している
2.事業再構築に取り組む
冒頭の活用場面でご紹介したように、これまで行ってこなかった新分野に事業展開したり、業態を転換したりと、新たなチャレンジを行う企業が対象です。具体的には、中小企業庁が作成した「事業再構築指針」に沿ったものに取り組まなければなりません。
3.認定経営革新等支援機関とともに事業計画を策定する
認定経営革新等支援機関とは、税理士・公認会計士や商工会議所・金融機関など、中小企業支援に関する専門的知識等が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関のことをいいます。
この認定経営革新等支援機関の協力を得ながら事業計画を策定し、一体となって事業再構築を行わなければなりません。
なお、認定経営革新等支援機関はこちらから検索できます。また、認定経営革新支援機関とともに策定する事業計画によって、補助金の採択率が大きく変わります。そのため、自社の業務に関する造詣が深いかどうか、認定経営革新支援機関としての実績はどうなのかなどを総合的に判断し、選択することが大切です。
また、補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要があります。(金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで可)
今回の第5回公募における主な見直し項目
今回の公募で次の3点が従来から見直され、申請事業者の幅が広がることが期待されています。
新事業売上高10%要件の緩和
3~5年間の事業計画期間終了後、事業再構築によって新たに取り組む事業の売上高が、総売上高の10%以上となる事業計画を策定することが求められていましたが、付加価値額の15%以上でも認められるようになりました。
また、売上高が10億円以上の事業者であって、事業再構築を行う事業の売上高が3億円以上である場合は、当該事業の売上高の10%以上でも要件を満たします。
補助対象経費の見直し(貸工場・貸店舗等の賃借料)
補助事業実施期間内に工場・店舗等の改修等を完了して貸工場・貸店舗等から退去することを条件に、貸工場・貸店舗等の賃借料についても補助対象経費として認められます。
一時移転に係る費用(貸工場等の賃借料、移転費等)は補助対象経費総額の1/2が上限とされます。
農事組合法人の対象法人への追加
事業再構築に対するニーズから、今回から農事組合法人が対象法人に追加されました。
事業再構築補助金の申請方法
具体的な申請方法について解説します。
申請にあたって必要な書類
申請時に必要な書類は、以下の通りです。
必要な書類 | 備考 |
事業計画書 | WordなどでA4用紙最大15ページで作成 (補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内) ※申請時はPDF変換 |
認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書 | 事業計画書の策定における認定経営革新等支援機関等の関与を確認するもの。補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関及び認定経営革新等支援機関と共同で作成した旨を記載 |
コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類、 あるいはコロナ以前に比べて付加価値額が減少したことを示す書類 |
確定申告の控え等 |
決算書 | 直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、 製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表 |
ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報 | 「中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplus」への会員登録が必要 |
賃金引上げ計画の表明書 ※大規模賃金引上枠のみ | 併せて、直近の事業場内最低賃金で雇用している従業員全てが分かる賃金台帳(又はそれに相当する書類)の提出も必要 |
海外事業の準備状況を示す書類 ※卒業枠(グローバル展開を実施する場合)、グローバルV字回復枠のみ | 海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、海外市場の具体的な想定顧客が分かる資料 など |
従業員数を示す書類 (卒業枠、グローバルV字回復枠は不要) | 労働基準法に基づく労働者名簿の写し |
事業場内最低賃金を示す書類 (最低賃金枠のみ ) | 最低賃金確認書 |
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う売上高減少を証明する書類 ※緊急事態宣言特別枠で提出は必須 | 2021 年 1 月~9 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していることを証明する書類 |
2021 年 1 月~9 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同月に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類 | 緊急事態宣言特別枠で提出は任意 |
中小企業再生支援協議会等から支援を受けており、公募申請時においていずれかの条件に該当することを証明する書類 | 条件)①再生計画等を「策定中」の者、②再生計画等を「策定済」かつ公募終了日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した者 |
事業再構築補助金の申請手順
事業再構築補助金の申請手順は以下の通りです。
※申請はオンラインのみの受付。申請にはGビズIDプライムアカウントの作成が必要になります。 アカウント発行に時間を要する可能性があるため注意 が必要です。(間に合わない場合は「暫定GビズIDプライムアカウント」での申請も可能)
- 必要書類等を整え、申請準備を行う……上述の必要書類をそろえ、GビズID プライムアカウントを取得します
- 申請をする……GビズID プライムアカウントで申請サイトにログインし、必要事項を入力の上で必要書類を添付して送信します
- 審査結果の通知を受ける……採択の結果が事務局から通知されます
- 補助金交付の審査申請を行う……採択後、補助対象経費の精査が行われます。
- 補助事業を実施する(12~14ヵ月間)……補助対象として認められた経費を使って補助事業を行います
- 補助金の請求と受給……補助期間終了後に補助金の請求を行い、審査の上で補助金が事業者に支払われます
- フォローアップが行われる……補助期間終了後5年間は経営状況等の年次報告を行います
事業再構築補助金の申請にあたっての注意点
最後に、事業再構築補助金の申請にあたり、注意点について解説します。
過去の採択率は40~50%程度
事業再構築補助金は、申請してもすべて採択されるわけではありません。これまでの採択率は、最も低いものが30.1%(第1次公募通常枠)、最も高いもので80.0%(第3次公募最低賃金枠)と枠によって非常に幅があります。「採択ありき」で新規事業を開始してしまうと、補助金が受給できなかった場合、事業に大きな影響を与えてしまう可能性があります。
採択されても後に否認される可能性がある
採択後に補助金交付の審査が行われるため、審査によっては支払われる補助金が減額される場合があります。また、のちに不備が発覚した場合は返金しなければならないため、設備投資を行ったあとなどには痛手となることも十分に考えられます。
事業類型・要件が各回の公募で大きく異なる
公募の各回によって事業の類型や受給要件は大きく異なります。そのため、第5回に向けて準備していても、間に合わないと第6回に向けて一から練り直さなければならない可能性があります。
なお、第6回公募以降では、事業類型や要件が大幅に変更になる見込みのためご注意ください。
採択事例を確認する
過去に採択された事例を確認し、どのような事業が採択されているのかをチェックしておきましょう。その際、自社の計画に足りないものがあれば、補足しておかなければなりません。
書類の不備がないか確認する
電子申請時には、必要な添付資料に漏れなどないかを十分に確認しましょう。また、交付申請時にも、交付額を確定するための添付資料を間違いのないように確認しなければなりません。
スケジュールに余裕をもって申請する
第5回の応募受付は2022年3月24日(木)18時までと定められています。万が一間違っていた場合や修正箇所が見つかった場合のことも考えると、期限の1~2週間前には申請を済ませておくことをお勧めします。
経営者には相応の覚悟・労力が必要
補助金は、支払いが先で受給があとです。したがって、「補助金ありき」でチャレンジしてしまうと、思わぬキャッシュフローの悪化を招いてしまう可能性があります。経営者には、新規事業などに参入する覚悟と、それ相応の労力が必要であることを肝に銘じておかなければなりません。
終わりに
事業再構築補助金は、中小企業等に対して、かつてないほどの規模で行われる超大型の補助金制度です。長期間低迷している日本経済下でこれまでチャレンジできなかった企業にとって、またとないチャンスなのは間違いありません。
これを機に、会社の収益構造や組織構造を一度見直しましょう。M&Aなどにより、新たな分野にチャレンジしていくためには絶好の機会となるはずです。ただし、いくら補助率や補助金額が高くても、見切り発車で始めた事業で成功の切符を掴むのは難しいです。ぜひこの機会を、「飛躍の機会」として活用しましょう。