ビットコインに代表される仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)は、いまや世界中の暗号通貨取引所で売買され、年々存在感を増している。2009年に公開されたビットコインは、価値が上がるにつれ投資家たちを中心に話題となった。ボラティリティが非常に大きいため、当初はゲーム感覚で莫大な利益の獲得を狙う投機的な要素が強かったといえる。仕組みを正確に理解できている人が少なく、数々の問題が指摘されてきたものの、仮想通貨市場が拡大するにしたがって理解が進み、資産運用のポートフォリオに組み込む人も増えてきた。

現在では多くの通貨が流通しており、通貨数は6,000以上にのぼるとされる。その影響力を比較するための指標となるのが時価総額だ。本記事では、仮想通貨の時価総額についての基礎知識や、時価総額上位の仮想通貨ランキングを紹介する。

仮想通貨
(画像=仮想通貨)

仮想通貨の時価総額とは?

そもそも「時価総額」とは何を意味するのだろうか。一般的には企業の価値や規模を評価するために使用されることが多い用語で、現在の株価に発行済株式数を掛けて計算される。

仮想通貨の場合、開発者が独自に設定する発行枚数によって1枚の価値が変動する。そのため、市場価格のみでは高いか安いかを判断することはできない。企業の時価総額と同様の考え方で、下記の計算式で時価総額を算出すれば、全ての通貨の相対的な価値を知ることができる。

時価総額=通貨の市場価格(時価)× 発行量

時価総額は常に変動している点に注意しなければならないが、「コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)」などのサイトでは、最新の時価総額ランキング一覧や価格推移チャートなどデータがリアルタイム更新で提供されているので活用しよう。取引高順に項目を並べ替えれば、相対的な流動性もチェックできる。

仮想通貨全体の時価総額を知りたい場合は、「Trading View」などが便利だ。ドミナンス(市場全体の時価総額に対する各銘柄の時価総額の割合)を確認すると、シェア率を把握することができる。さらにテクニカル分析に使えるツールや、さまざまな通貨のチャート表示など、機能が充実している。

仮想通貨の選び方と購入方法

100円から始められる取引所もあるので、試しに少額から保有してみるのもいいだろう。どの仮想通貨を買えばよいのかわからない…という時には、下記で紹介する時価総額ランキングを参考にしてほしい。時価総額が大きいほど需要が大きく、安定した取引ができると考えられるため、仮想通貨を選ぶ際にひとつの指標となる。

今後の成長を期待して、上昇傾向にある時価総額の低いものを買っておくという選択肢もあるが、安定性が低いというデメリットを持つため、それなりのリスクがあることを理解しておくことが重要だ。

買い方は複雑なものではなく、一般的に購入までには次のようなプロセスを踏むこととなる。

  1. 仮想通貨取引所の口座を開設
  2. 銀行口座に日本円を入金
  3. 仮想通貨を選択して取引画面で購入

取引所によって多少の違いはあるものの、基本的には口座開設から取引まで全てオンラインで行え、「Coincheck」などでは本人確認もアプリで簡単に済ませられる。最短で登録の1時間後から取引開始できる場合もあるので、思い立ったタイミングでスタートできる。アカウントだけ作っておいて様子を見るのもいいだろう。

最新時価総額ランキング(2022年1月)

「CoinMarketCap」による時価総額ランキングから、上位5つの特徴を見てみよう。(時価総額と順位は2022年1月7日時点のもの)

最新時価総額ランキング
(画像=最新時価総額ランキング)

1位 ビットコイン(Bitcoin / BTC)
時価総額:92,348,400,436,639円

世界初のブロックチェーン技術を導入した仮想通貨。サトシ・ナカモトという人物の論文に賛同した開発者たちによって設計された。発行元や管理者を持たずに取引情報を記録することが可能で、決済や個人間の送金を目的として誕生。上限枚数は2,100万枚と定められている。仮想通貨の代名詞的な存在で、時価総額1位をキープしている流動性の高い通貨だ。2021年にはエルサルバドルの法定通貨にも制定された。

2位 イーサリアム(Ethereum / ETH)
時価総額:44,608,334,780,099円

通称イーサ。2014年にICO(新規仮想通貨公開)によってプロジェクトが開始された、分散型アプリやスマートコントラクトを構築するプラットフォーム。ブロックチェーン上にプログラムを組み込めるのが特徴だ。スマートコントラクトを利用することで売買や契約の作業を自動化することができ、NFTへの応用など将来性が期待されている。発行上限、半減期がないのもポイント。

3位 テザー(Tether / USDT)
時価総額:9,084,434,512,364円

Tether Limited社が運営するテザーは、米ドルの価値と連動させた「ペッグ通貨」。米ドルと同等の価値を保っているため価格が安定している一方、大幅な値上がりを期待した投資対象にはなりづらく、基軸通貨(ステーブルコイン)として利用されている。

4位 バイナンスコイン(Binance Coin / BNC)
時価総額:8,731,182,835,564円

バイナンスコイン最大の魅力は取引手数料にある。プラットフォームであるバイナンス内において、バイナンスコインと他の仮想通貨の取引をすると手数料がかからない。また、手数料を支払う際にバイナンスコインを使うと最大50%の割引が受けられる。ただし、金融庁からの警告により、日本でサービスが停止されるおそれが指摘されている。

5位 ソラナ(Solana / SOL)
時価総額:5,033,084,112,229円

2020年3月にローンチされた新しい通貨でありながら、すでにTOP5に食い込んでいる注目の存在。ソラナはさまざまなアプリケーションを高い性能で支えることを目的としたプラットフォームで、圧倒的にコストが低いため、イーサリアムをしのぐかもしれないと言われている。ただし現時点では国内取引所での取扱いがなく、海外取引所を利用する必要がある。

この他にも、リップル(XRP / XRP)、ネム(NEM / XEM)、ポルカドット(Polkadot / DOT)、ドージコイン(Dogecoin / DOGE)、コスモス(Cosmos / ATOM)、柴犬コイン(Shiba Inu / SHIB)、ファクトム(Factom / FCT)、ステラルーメン(Stellar Lumens / XLM)などのトークンが時価総額ランキング上位の常連となっている。

また、PayPalの決済通貨として使えるライトコイン(Litecoin / LTC)、ファイルの共有やソフトウェアのダウロードに特化したビットトレント(BitTorrent / BTT)など、用途に応じて異なるプラットフォームと通貨を使い分けることも検討したい。公式サイトなどの解説を参照して、詳細を比較するのがおすすめだ。

初心者におすすめな仮想通貨取引所5選

仮想通貨の取引をするためには、まず取引所の口座を開設する必要がある。ちなみに「販売所」では交換業者が決めた値段でスピーディーに通貨を購入することができるが、取引所に比べ取引にかかる手数料が割高になっている。以下に代表的な大手国内取引所のおすすめポイントを紹介する。

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コインチェック(Coincheck)

マネックスグループの傘下にある会社が運営しており、セキュリティの高さが評判で安心感がある。ビットコイン500円相当から取引可能で、スマホアプリも使い勝手がよく初心者にも人気が高い。アルトコイン(ビットコインの代替コイン)の取扱いが17種と豊富なのも特徴。(公式サイト

DMMビットコイン(DMM Bitcoin)

DMMグループが運営しているためコインチェックと同様にセキュリティが信頼でき、LINEで24時間質問ができるなど初心者にも親切な設計になっている。取引通貨は12種類。取引所手数料や入金手数料だけでなく、出金手数料も無料である点(コインチェックでは407円、ビットフライヤーでは220円〜770円)や、2倍のレバレッジ取引が行えるなど取引ツールの機能が豊富な点がポイント。(公式サイト

ビットフライヤー(bitFlyer)

取引通貨が14種類と豊富。ビットコインの取引量No.1を誇る国内取引所で、ビットコインをメインに扱いたい人に向いている。また、Tポイントをビットコインに交換できるサービスを業界で初めて取り入れた。(公式サイト

GMOコイン

金融系のノウハウを持つGMOインターネットグループが運営。各種手数料無料で、スプレッド(購入・売却の際の買値と売値の差額)が狭いため、取引量が多い場合にメリットが大きい。ステーキング(保有しているだけで報酬を得られる仕組み。マイニングと代替性があるとされる)ができる。(公式サイト

ビットポイント(BITPOINT)

取り扱っている通貨は8種類だが、大手企業との提携や海外取引所への上場を進めているエイダコイン(Cardano / ADA)、デジタルコンテンツの配信を主な目的としたトロン(TRON / TRX)など、他では取扱いのない通貨の扱いがある。イーサリアムやビットコインキャッシュ(BCH)の対JPY国内取引量No.1を誇る。(公式サイト

仮想通貨の値動き

仮想通貨の相場はまだ不安定なところもあり、大幅に上がることもあれば下がる可能性もあるのが現状だ。国際情勢や株式市場などさまざまな要因に影響されやすく、ニュースの発表や有名人のツイートなどに左右されることもあるため値動きの予想がしにくい。

代表格であるビットコインは過去に高騰も暴落も経験している。2021年5月には、イーロン・マスクが「ビットコインによるテスラの購入を認めない」という方針をツイッターで発信したことをきっかけに急落。他の仮想通貨も下落トレンドに入った。

反対に急激な価格上昇が起こることも。たとえばLINEグループが発行するリンク(LINK)は2021年に価格が高騰し、2020年3月から2021年4月までの1年間に100倍以上にも跳ね上がった。10年後、どの通貨がどの程度の価値を持っているのかは誰にも予想できない。

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まとめ

投資対象としてだけでなく、新たな決済手段としても活用されている仮想通貨。盛り上がりを見せているNFTアートや、メタバースの世界でのアイテムの購入などにも仮想通貨が必要とされ、今後も幅広い分野に応用される兆しがある。2021年のアートマーケットでも、仮想通貨で成功した人々の影響力が増大していることが指摘されている。正確な見通しを立てることはできないが、仮想通貨は一時的なブームでは終わらないかもしれない。今後の動きに引き続き注目だ。

※本記事に記載されている内容は変更される可能性があるため、各仮想通貨や取引所の最新情報は公式サイトでご確認ください。

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文:ANDART編集部