顧客,償却
(写真=ASDF_MEDIA/Shutterstock.com)
黒坂 岳央
黒坂 岳央(くろさか・たけお)
水菓子肥後庵代表。フルーツビジネスジャーナリスト。シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、東京で会社員を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ビジネス雑誌やニュースサイトでビジネス記事を書いている。著書に『年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 “億超えマインド"で人生は劇的に変わる!』など。

経営者にとっての社長業は多岐にわたる。その中でもフローとしてのビジネスと、ストックとしてのビジネスが存在する。言うまでもなく、社長が手掛けるべきはストックとしてのビジネスだ。その理由を記事で考察する。

ストックとフローのビジネス

仕事はフローとストックの2種類に大別できる。

フローの仕事というのは、その時限りで止めたら即座に効果も消えるという性質がある。たとえば、電話でお客様から受注する作業などはこれにあたるだろう。1回注文を受けたら1回分売上はあがるが、やめたら売上は即座に止まるし、効果の継続性もない。

だが、ストックは違う。たとえばブログやYouTubeに自社ビジネスの認知やPRにつながる記事や動画を配信する。その記事や動画は半永久的に効果が持続する。筆者はブログで集客をしているが、何年も前に書いた記事を見て新たな売上につながることは日々、経験している。1度作ったら基本的に効果の継続性を得られるのがストックの特徴だ。

ストックとフローは業務で分けられる

このストックとフローのビジネスは、「業態」で分けられるのではなく、「業務」で分けることが出来る。

たとえばコンビニを経営するにあたり、レジでお客様に販売する仕事はフローの仕事だ。お客様は継続販売契約を結ぶわけではないので、1回販売したらもうそれ以降は継続的な売上につながらない。

だが、同じコンビニのビジネスでも、自分が現場に出ずにコンビニをビジネスとして複数経営する場合はストック型のビジネスになる。コンビニオーナーを採用して働いてもらえば、自分はフランチャイズ契約売上を立てることができる。1店舗、2店舗と増やしていけば、継続的な収入を増やしていける。

このようにすべてのビジネスは業務によってはストックにも、フローにもなるのだ。

顧客は償却していく

従業員としては、社長が現場で汗を流して一緒に働くのは嬉しいものだ。クレームなどの意思決定や判断をする局面は、社長に任せればよく、自分たちはやることが決まっているフローの仕事をすれば賃金が支払われるので、精神的に楽だからだ。

だが、本質的に社長が現場に出続ける企業は衰退する。なぜなら、現場でフローのビジネスをしていると、社長業であるマーケティングが出来ないからだ。どんなビジネスでも、顧客リストは時間の経過とともに償却していく。

その会社の商品に飽きてしまったり、連絡先が変わって不通になってしまったり、極端に言えば顧客が亡くなってしまうこともある。それにより、年々新規開拓をし続けなければ、リピーター頼みではいつかすべてのお客様はいなくなってしまう。社長はストックを、従業員はフローのビジネスをするべきというのが、筆者の意見である。

社長はストックの仕事をやれ

では社長は、どのようなストックビジネスをすればよいのだろうか?

それは新規開拓のための集客の仕組みを作るなどである。自分のビジネスの認知度を広げるために、ブログやYouTubeなどで情報発信者になったり、有効なネット広告の仕組みを作ったり、それを従業員に出来る作業に落とし込んで渡すなどだ。

忙しく現場で作業をしても、売上は上がらない。そうではなく社長は稼ぐのが仕事だ。そのためにはフローのビジネスをやめ、ストックになるビジネスのみに集中するべき、というのが筆者の考えなのである。

社長がストックとフローに切り分ける

社長はビジネスを、ストックとフローの要素に分解する役割を担っている。

「この仕事のこの部分はストックだから自分がやり、ここからここまではフローだから従業員にやってもらおう」

などそれぞれの要素に采配して、従業員に再分配するのは社長の役割だ。ネットショップの経営をしているなら、社長は継続的な売上につながる、サイトの改善を手掛けて、従業員にお客様対応や、商品の入れ替え作業などを任せるというのがそれにあたるだろう。

ビジネスはまず、ストックとフローに分解し、自分はストックに集中して、フローは従業員にお任せするというのが、ビジネス効率の良いスタイルと言えるのではないだろうか。

文・黒坂 岳夫(水菓子肥後庵代表 フルーツビジネスジャーナリスト)