企業の総合力を最大化するには、各従業員のスキルや適性を踏まえ、最適な配置を行うことが重要だ。特に管理職に昇進させる人材を選ぶ際には慎重な見極めが求められる。管理職次第で組織の総合力は大きく左右されるからだ。管理職にすべきではない、ふさわしくない人の12個の特徴とは?

目次

  1. 1)リーダーシップがない人
  2. 2)1人で何でもこなせる人
  3. 3)特定の人にえこひいきをする人
  4. 4)喜怒哀楽が激しい人/気分屋な人
  5. 5)人に嫌われるのを嫌がる人/事なかれ主義の人/八方美人な人
  6. 6)自己管理ができない人/報連相ができない人
  7. 7)ハラスメントをする人/ハラスメントに気づいていない人
  8. 8)立場が上の人に極端にへこへこする人
  9. 9)時代の変化に合わせる人ができない人
  10. 10)失敗や苦労した経験が少ない人
  11. 11)お酒を飲むと性格が豹変する人
  12. 12)自分の成長・出世にしか興味がない人
  13. 「勤務年数が長いから管理職に」はもうやめよう
こんな人は管理職にしちゃダメ!キケンな特徴6選
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

1)リーダーシップがない人

部下を指揮・管理する立場にある管理職には、リーダーシップが求められる。リーダーシップを一言で表すなら「統率力」や「指導力」だ。部下を目標に導きながらうまくやる気を引き出し、プロジェクトを円滑に前進させていく能力が求められるといえよう。

リーダーシップがない人を管理職に据えると、その部署に与えられたプロジェクトが計画通りに進まないケースが増えるほか、成果の質も低くなりがちだ。リーダーシップがある人材かどうかを判断するためには、管理職に昇進させる前に小さなプロジェクトをいくつも担当させてみると良いだろう。

2)1人で何でもこなせる人

あなたの周りに、1人でどんな仕事でも効率的に器用にこなせてしまう人物はいないだろうか。組織の中の1人のプレイヤーとしては、そのような人物の存在は非常に心強い。しかし、このような人物が管理職としても有能かどうかについては、全く別の話だ。

1人で何でもこなせる人は、人に仕事を頼んだ経験が少ない分、部下を動かす力に乏しいケースがある。そのため、いざ管理職になっても「面倒くさいから自分でやってしまおう」と、多くの仕事を自分で抱え込んでしまいがちだ。これでは部下が育つ機会が失われるし、チームとして大きな成果を挙げることも難しくなる。

3)特定の人にえこひいきをする人

良いチームとはどんなチームだろうか。さまざまな要件があると思うが、そのひとつに挙げられるのが「良い人間関係が構築されていること」ではないだろうか。

チームを率いる管理職の人物が特定の部下にえこひいきする人だと、チーム内で良い人間関係が構築されにくくなる。チーム内のメンバーの中で「なんであの人ばっかり」などと、余計な軋轢が生まれてしまうからだ。

自分が気に入っている部下をつい、えこひいきしたくなるのは、多くの人に共通する気持ちかもしれない。しかし、その感情を乗り越えてこそ、管理職としての責任をこなしていける。

4)喜怒哀楽が激しい人/気分屋な人

チームは個人の集まりだ。そのため、一人ひとりが自分の能力を最大限発揮できるようなメンタリティでなければ、チームの総合力も高まっていかない。

管理職の人が喜怒哀楽の激しい気分屋の場合、それぞれが自分の能力を最大限発揮しにくくなる。「失敗したら激怒されるかも…」と萎縮してしまうからだ。部下を叱ることが必要なシーンももちろんあるが、感情に任せた理不尽な怒り方は、部下のパフォーマンスを大きく低下させる。

ちなみに、その人物が管理職ではなくても、喜怒哀楽が激しい気分屋の人がいることは、組織にとって決してプラスにならない。そのため企業としては、怒りの感情をコントロールするための「アンガーマネージメント」の研修などを積極的に導入していきたいところだ。

5)人に嫌われるのを嫌がる人/事なかれ主義の人/八方美人な人

管理職になったら、勇気を持って組織が抱える問題に立ち向かわなければならない。そのため、人に嫌われることを避ける人、事なかれ主義の人、八方美人な人は管理職に向いていない。

部下を指導するときは、「嫌われてもその部下が育つのであれば」といった気概が必要だ。当然、部下に対する優しさも必要だが、優しさだけでは部下は育たない。そして事なかれ主義では、いつまで経ってもその組織が抱える問題が解決されない。

6)自己管理ができない人/報連相ができない人

自己管理ができない人も管理職に向いていない。頻繁に遅刻をし、自分の業務の進捗も管理できず、報連相(ほうれんそう)もうまくできない…という人では、管理職として部下のお手本になれないし、何より自己管理ができないのに他人の管理ができるわけがない。

7)ハラスメントをする人/ハラスメントに気づいていない人

今も昔も「ハラスメント」は会社で存在しないに越したことはない。特に近年はパワハラやセクハラに対する批判の声が高まっており、ハラスメントが存在する企業は人材の定着も進まない上、ハラスメントの実態がFacebookやX(旧Twitter)などのSNSを通じて伝わると、企業イメージも大きなダメージを受ける。

こうした観点から、ハラスメントをしている人や自分がハラスメントをしていることに気がついていない人は、管理職に据えるべきではない。では社内で発生することが想定されるハラスメントとしては、具体的にはどのようなものが挙げられるのか。以下、代表例を挙げる。

  • セクハラ(セクシャル・ハラスメント)
  • パワハラ(パワー・ハラスメント)
  • マタハラ(マタニティ・ハラスメント)
  • モラハラ(モラル・ハラスメント)
  • アルハラ(アルコール・ハラスメント)
  • ジェンハラ(ジェンダー・ハラスメント)
  • スモハラ(スモーク・ハラスメント)

このうち「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」は3大ハラスメントと呼ばれており、被害を訴える人も多い。

職場におけるセクハラについて、厚生労働省の資料で「『職場』において行われる、『労働者』の意に反する『性的な言動』に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、『性的な言動』により就業環境が害されること」と説明している。

パワハラは6類型化されており、「精神的な攻撃」「身体的な攻撃」「過大な要求」「過少な要求」「人間関係からの切り離し」「個の侵害」と分類される。

8)立場が上の人に極端にへこへこする人

管理職になる人間に求められることとしては、「公正さ」がある。「会社」によって良いこと、「社会」にとって役立つこと、「お客様」にとってプラスになることなどに対しては、自分の都合とは関係なく的確な判断を下すべきだ。

しかし、立場が上の人に極端にへこへこする人などは、こうした判断ができない。なぜかと言うと、「長いものに巻かれる」ことに重きを置き、自分の出世や保身を第一に考えて行動をするからだ。こうした人が管理職になると、会社にも社会にもお客様にもマイナスの影響が出かねない。

9)時代の変化に合わせる人ができない人

誰しも、過去の良い思い出は忘れたくないし、一人の人間として生きていくために自分の経験則をいかすのは当たり前だ。しかし、過去や経験にすがり過ぎると、時代の変化に合わせて自分を変えていけなくなる。時代に合わせて自分が変わっていかないと、管理職としての役目を果たすのが難しくなる。

たとえば若手社員を育成するシーンで、自分がかつて「アメとムチ」で育てられたからといって、その方法で指導を叱り口調で指導を行うと、しばらくしてその若手社員は会社を辞めるかもしれない。

上位と部下の人間関係に関する価値観は、昭和、平成、令和と時代が変わる中で、大きく変わってきている。特に最近のZ世代は「共感」を大事にする人が多い。頭ごなしに怒鳴りつけるような育成方法を御法度だ。まずは若手社員の考え方を理解しようと努めることができる人材を管理職にしたい。

10)失敗や苦労した経験が少ない人

できれば、挫折や失敗、苦労を経験した人を管理職として登用したい。こうした経験がない人は、部下が挫折や失敗をしたとき、そのときの気持ちを分かった上で正しい指導をすることがしにくい。

そのため、管理職にする候補の人材を社内でピックアップする際には、過去の失敗を一律に人事考査における減点項目と決めるのは、ややもったいない。(もちろん、その失敗を教訓にして成長できているような人材でなければダメではあるが…)

11)お酒を飲むと性格が豹変する人

「普段、職場ではとてもいい人なのに、お酒が入ると…」。こういった悪い評判がある人材も管理職に据えるのは避けたい。お酒が入るとつい強気になって、パワハラやセクハラをしてしまう人は結構いる。

管理職であっても、多少の「笑い上戸」や「泣き上戸」であれば、その人の性格の一つとしてユーモアな話として片付けられるが、お酒の席で強い言動でパワハラをしているシーンがスマホのカメラで撮影され、SNSで炎上したら…と考えると、ぞっとする。お酒を飲むと性格が悪い方に豹変する人は、管理職にするべきではない。

12)自分の成長・出世にしか興味がない人

企業というのは、自分の成長だけでは発展していかない。社員一人一人の成長の総和と、チームワークの向上によって、強い組織となっていく。そのため、自分の成長、自分の出世にしか興味がない人は、組織を引っ張っていける人材にはなれない。そのため、管理職になるのも向いていない。

「勤務年数が長いから管理職に」はもうやめよう

会社という組織において、誰を管理職に昇進させるかは、非常に重要だ。野球のチームを思い浮かべてみれば分かりやすい。誰が監督かによって、そのチームの順位は大きく変わる。高校野球では、新しい監督に変わった途端、一気に甲子園に出場できるチームになった例もある。

そのため企業においては、管理職の適性があるかを見極める評価シートなどを用意しておくべきだ。そのような評価シートは、管理職にふさわしくない人物を昇進させないことに役立つだけではなく、管理職を目指す人材にとっては、身につけるべき能力を示す指針にもなる。

日本企業においても年功序列の企業文化が徐々に崩壊しつつある。その流れにあるいまだからこそ、「勤務年数が長いから」といった安易な理由で管理職を決めるのは、やめにしたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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