日本の起業家ランキング2022、1位は意外な企業の創業者!
(画像=baranq/stock.adobe.com)

このほど、米経済誌「Forbes」の日本版が発表したのは、「日本の起業家ランキング2022」だ。来年、日本のビジネスシーンを牽引すると思われる起業家を選んだランキングである。このランキングはどのような基準で作成され、どのような起業家が上位にランクインしたのだろうか。

「日本の起業家ランキング2022」の選出には5項目の評価基準あり

Forbes JAPANによる「日本の起業家ランキング」は、毎年、年末に発表されているランキングだ。発表は今回で8度目となる。未上場のスタートアップの起業家が対象で、ランキング作成の基準としては次の5項目が挙げられている。

・グローバルで活躍できるか
・時価総額1,000億円を超えられるか
・成功への時間軸を重視した事業の実績・成長性
・経営者・経営チームの成熟度
・社会課題解決に取り組んでいるか
※出典:Forbes JAPAN

今年のランキングについて企画統括の眞鍋武氏(Forbes JAPAN 編集担当)は「これまでで最も上位20人の起業家を選出する議論が白熱し、多くの時間を要しました」とコメントしている。早速結果を紹介していこう。

ランキング結果を紹介!1位はSmartHRの宮田昇始氏

以下が「日本の起業家ランキング2022」のトップ10の結果だ

日本の起業家ランキング2022、1位はあの企業の創業者!

1位:宮田昇始氏(SmartHR)

1位となった宮田昇始氏は、クラウド人事労務ソフトを展開するSmartHRの創業者だ。宮田氏は昨年発表のランキングでは5位にランクインしており、順位を4つ上げて首位となった。

宮田氏が1位になった要因としては、自社を「ユニコーン」へと成長させたことが大きいとみられる。ユニコーンとは「企業価値の評価額が10億ドル以上の非上場企業」のことだ。同社は2021年6月に新たな資金調達を行ったことで、ユニコーンの仲間入りをした。

米の民間調査会社、CBインサイツによれば、同社の企業価値の評価額は現在、16億ドル(約1,800億円)だという。CBインサイツのデータでは日本企業のユニコーンは6社しかなく、SmartHRの時価総額はその中で3番目に高い。

2位:加藤勇志郎氏(キャディ)

まだユニコーンとはなっていないものの、近年急速に注目度を高めているのがキャディだ。キャディは製造業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでおり、メーカーと町工場をリアルタイムにつなぎ、Web上で受発注を行うツールを展開している。

そのキャディを2017年11月に創業したのが、東大出身の加藤勇志郎氏だ。外資系コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社後、主に製造業を支援するプロジェクトを手掛けた経歴を持つ。

2021年8月には、日本と海外のベンチャーキャピタル(VC)から80億円規模の資金調達を行い、現在波に乗っている。今後は海外展開も積極的に進める方針で、2022年はまずアジアに拠点を設ける計画のようだ。

3位:稲田武夫氏(アンドパッド)

前年のランキングで10位だった稲田武夫氏は、3位に順位を上げた。アンドパッドは建設業向けに施工管理ソフトウェアを展開しており、2位の加藤氏が製造業のDXに取り組んでいるのに対し、稲田氏は建設業のDXの旗手と言える。

稲田氏は慶應義塾大を卒業し、その後、リクルートで新規事業開発に携わった経歴を持つ。アンドパッドが展開する施工管理ソフトウェアは国内最大級のシェアを有するまでに成長し、今後もますますユーザー企業数が増えていきそうだ。

トップ10に次ぐ10人の起業家は?

ちなみに、「日本の起業家ランキング2022」では、トップ10に次ぐ10人の起業家を紹介している。以下の通りだ。この中から来年にランキング1位となる人物が登場する可能性もありそうだ。

日本の起業家ランキング2022、1位はあの企業の創業者!

次回のランキングはどんな顔ぶれに?

「日本の起業家ランキング2022」は、自社をユニコーンに成長させた起業家や、DXの推進に寄与している起業家が上位にランクインする格好となった。時代の潮流によって、注目される起業家も変わっていく。来年の年末に発表されるランキングでは、どのような顔ぶれになっているのか、今から気になるところだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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