マーケティングにフレームワークを活用すると、効率的に戦略を立てられるだけではなく、戦略自体のブラッシュアップにもつながる。本記事では特に役立つフレームワークをケース別にまとめたので、効果的な戦略を打ち出したい経営者はぜひ参考にしてほしい。
目次
マーケティングにフレームワークを使う必要性
新たなメディアやネットサービスなどの台頭により、現代のマーケティング戦略は年々複雑化している。そのため、単に社内でアイデアを持ち寄るだけでは、最適なマーケティング戦略を立てることは難しい。
そこでぜひ活用したいものが、今回解説するさまざまなフレームワークだ。マーケティング戦略の策定時にフレームワークを使うと、主に以下のようなメリットが発生する。
・思考が整理される
・明確な判断軸ができる
・アイデアベースのものを形にしやすくなる
・社内で戦略を共有しやすくなる
ただし、フレームワークには多くの種類があるため、目的や状況に応じてうまく使い分ける必要がある。ここからは主なケースに分けて、マーケティングに役立つフレームワークを紹介していく。
市場分析や現状分析に活用できるフレームワーク
効果的なマーケティング戦略を打ち出すには、自社理解をより深めなくてはならない。そこでまずは、市場分析や現状分析に役立つ3つのフレームワークを紹介する。
3C分析
3C分析とは、「自社・競合・顧客」の3つの要素を整理することで、自社の強みや弱み、業界内でのポジションなどを分析するフレームワークである。具体的には以下のような形で各要素を書き出し、商品・サービスのブラッシュアップへとつなげていく。
3C分析において各要素を書き出す際には、「客観的な事実」にこだわる必要がある。主観的なものが含まれると、現状ではなく願望をまとめた分析になってしまうためだ。
特に自社環境は主観的な内容になりやすいので、その点に注意しながら作業を進めていきたい。
4C分析
次に紹介する4C分析は、買い手側(消費者)の視点に立って自社の強み・弱みを分析するためのフレームワークだ。4C分析では「顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーション」の4つに分けて、自社製品の特徴を分析していく。
ちなみに、上記の枠組みに他社製品に関する要素を書き出せば、客観的な視点で競合分析も行える。
SWOT分析
「内部要因・外部要因」を同時に分析したい場合は、SWOT分析も役立つフレームワークになる。SWOT分析では「強み・弱み・機会・脅威」の4つの項目に分けて、自社の環境要因を内外から分析する。
上記のすべての項目を書き出したら、次は複数の項目を組み合わせて今後の戦略を考えていく。例えば、「強み×機会」のように組み合わせると、自社の強みをチャンスに活かすための戦略を打ち出しやすくなるはずだ。
消費者理解に役立つフレームワーク
企業のマーケティング戦略における土台は、あくまで消費者のニーズや行動モデルでなければならない。そこで次からは、消費者理解に役立つ2つのフレームワークを紹介していく。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、自社が抱える問題をツリー状に分解することで、より具体的な原因や課題を把握するためのフレームワークである。
上記の通り、ロジックツリーは分解するほど(右に行くほど)具体性が増す構図になっている。比較的シンプルなフレームワークだが、各要素を分解する際には「客観的な視点」にこだわる必要があるので、常に消費者の立場をイメージしながら問題点・課題点を分析していきたい。
DECAX
SNSやネットサービスの活用を検討している企業は、DECAX(デキャックス)と呼ばれるフレームワークを積極的に活用したい。DECAXとは、SNSなどにおける消費者の行動を予測して書き出すことで、最適なマーケティング手法を見極めるためのフレームワークである。
上記の通り、DECAXは全体でひとつのサイクルになっているため、このサイクルがうまく回るように各要素を改善・修正していく。
目標設定やブラッシュアップに役立つフレームワーク
ここまで紹介したフレームワークを活用しても、適切かつ現実的なマーケティング目標を立てることは難しい。そこで次からは、目標設定やブラッシュアップに役立つフレームワークを紹介する。
SMARTの法則
SMARTの法則は、「具体性・計測可能性・達成可能性・関連性・期限」の5つの観点から目標を見直すためのフレームワークである。これらの観点から目標を改善・修正すると、実現できないものや抽象的なものを排除できるため、より具体性・実現性のある目標を設定しやすくなる。
企業によっては上記のほか、「同意は取れているか(Agreed upon)」や「合理的な目標かどうか(Reasonable)」、「やりがいがあるか(Rewarding)」などを加えることもある。要素を追加するほど目標の具体性・実現性が高まるので、そのほかの要素も状況に応じて使い分けたい。
PDCAサイクル
目標を設定した後には施策を進めることになるが、この施策についても効果検証を済ませた上で、日々改善していかなければならない。そこでぜひ活用したいものが、「計画・実行・評価・改善」を繰り返すPDCAサイクルだ。
・計画…実行するマーケティング戦略を策定する。
・実行…策定した戦略を実行する。
・評価…実行した戦略を客観的な視点で評価する。
・改善…評価分析の結果をもとに、戦略を改善する。
上記の通り、PDCAサイクルでは「計画→実行→評価→改善」のサイクルを繰り返すことで、マーケティング戦略や施策を見直していく。同じサイクルを繰り返すことに疑問をもつかもしれないが、マーケティングを取り巻く環境は時期によって大きく変わるため、PDCAサイクルは非常に効果的なフレームワークになり得る。
ちなみに、消費者のニーズや価値観、技術などの移り変わりが激しい業界では、とにかく実行(Do)に移すことが重要になる。計画(Plan)に時間をかけ過ぎると動けない状態になってしまうため、該当する企業は早めにPDCAサイクルを回すように意識しておきたい。
OODAループ
臨機応変さが求められる業界では、次に紹介する「OODAループ」も効果的なフレームワークになる。もともとは軍事用として使用されていたものだが、柔軟性に重きを置いている点が現代のマーケティングにマッチしているため、最近では多くの企業がOODAループを実践している。
・観察…内部環境や外部環境を観察し、自社の現状を認識する。
・状況判断…観察した結果をもとに、自社のポジションや強みなどを見極める。
・意思決定…状況判断の結果をもとに、具体的な施策や戦略を考える。
・行動…意思決定した内容を実行する。
ちなみに、OODAループでは「観察→状況判断→意思決定→行動」の順にこだわる必要はない。
例えば、状況判断が間違っていた場合は意思決定から逆戻りし、マーケティングの軸となる部分をブラッシュアップしていく。
つまり、PDCAサイクルよりも変化に強い特性をもっているため、ニーズなどの移り変わりが激しい業界では積極的に活用していこう。
フレームワークはあくまで手段のひとつ
フレームワークはさまざまな場面で役に立つが、あくまで戦略を立てる手段のひとつに過ぎない。また、必ずしも正しい結果が出るとは限らないため、マーケティング戦略はさまざまな視点からブラッシュアップすることが重要になる。
複数のフレームワークを活用する方法も効果的なので、まずは本記事で紹介したものを組み合わせながら、マーケティング戦略の土台を構築していこう。