税務調査,トラブル,対応策
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こんにちは、ベンチャーサポートの桑原です!

実際の税務調査の現場にトラブルはつきものです。
大事なお金が取られるか否かの瀬戸際、ヒートアップするのも当然でしょう。
この章では税務調査の現場で起きるトラブルと、その対応策をご紹介させていただきます。
もし同じような状況が将来起きたときには思い出してください。
きっとお役に立てるかとおもいます。

1 無礼で傲慢な調査官が来た!

税務調査,トラブル,対応策
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

最近税務署の職員は、紳士的な人が増えました。

新人の税務署職員は、研修でも紳士的な対応を取るように指導されるそうです。
ですが、やはり調査官もいろいろ。中には偉そうな態度を取ってきたり、高圧的な態度を取ってきたりする人がいます。

こんなときはどうしたら良いのでしょう?
文句を言っても良いものなのでしょうか?
それともじっと我慢すべきなのでしょうか?

結論から言うと、「抗議してもOK」です。
まずは調査官本人に言います。「任意調査に協力しているのに怒鳴ったりするのはどうなのですか?」みたいな注意をしてください。それでも態度が良くならなかったり、逆に怒り出したときは最終手段。
その調査官の勤務する税務署に電話して「統括官」に伝えるのです。「統括官」というのは調査官の上司です。現場では「課長」とも呼ばれ、調査を統括する責任者のことです。この統括官に直接電話を入れれば、調査官もタダでは済まされません。調査官もサラリーマンです。上司の評価は気になります。

また「納税者との折衝能力」も調査官の重要な評価の一つです。その「折衝能力がない」と思われるのは、なんとしても避けたい。「態度を直していただけないなら統括に電話を入れさせてもらいますよ」と言うのも一つの対抗策ですね。で、直らないなら本当に電話をする。
調査官の態度に腹が立っても、悪態で対抗しないでくださいね。話がこじれていく一方です。

こちらは紳士的に攻めましょう!

2 突然税務署が来た!

税務調査,トラブル,対応策
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務署は事前の連絡なしで突然来ることがあります。

こんなとき、どう対応すれば良いのでしょうか?
帰ってもらうことも可能なのでしょうか?

この答えは「税務調査の種類による」ということになります。
税務調査には「強制調査」と「任意調査」があります。「強制調査」というのは国税局査察部、通称「マルサ」が調査するケースです。
「マルサ」が動くのは悪質で巨額な脱税の疑いが濃い場合のみです。強制調査は会社だけではなく、社長の自宅や工場などにも同時に踏み込まれます。この場合、裁判所の捜査令状を持ってきますので調査を拒否することはできません。
「強制捜査」のときはすぐに顧問税理士に連絡して、対応を任せるしかありません。

これに対して「任意調査」で突然来たときは基本的に追い返すことができます。
任意調査の場合は社長の都合などで調査が不可能である等の事情を説明して、日を改めてもらうことができるのです。
ただし、税務署も人員と時間を割いて来ているので簡単には帰りません。少しで良いから資料が見たい、会社の概況だけでも聞かせてほしい、と食い下がってくると思います。そういうときは税理士にすぐに連絡して、税理士に交渉を任せるのが良いでしょう。

経験が豊富で税務署に対する気概をもっている税理士ならば、毅然とした態度で税務署と対応するはずです。

3 調査のせいで本業に支障をきたす!

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務調査は通常2日間あります。

その間社長はずっと社内にいなければいけないのでしょうか?
ただでさえ忙しい社長業の2日間は大きいです。場合によっては本業に支障をきたすこともあります。それでも税務調査に付き合わなければいけないのでしょうか?

このような場合、社長はずっと税務調査に付き合う必要はありません。
普段通りに仕事をしたり、外出をしても大丈夫です。調査官に事情を説明すれば社長不在でも調査は進みます。

ただし、一日目の午前中は社長が調査に同席してください。
一日目の午前中は「概況調査」と言われ、会社の概況や受注から入金までの流れなどの説明を求められるのです。また調査官は社長の人柄や趣味なども調べます。
この間だけは社長がいないと調査が始まりませんので、予定を空けておく必要があるとお考えください。それ以降は席をはずしても大丈夫。

税務調査で席をはずしても調査結果が悪くなるということもありませんし、逆に税理士に全ての交渉を任せる方が安心です。「餅は餅屋」と言いますが、税務調査は税理士に全て任せるほうが結果的に良い結果になる可能性が高いです。

もちろん、税務署と戦う税理士に限りますが・・。

4 事務所が狭いので調査のスペースがない!

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務調査は基本的には会社で行われます。
しかし、お店などをしておられる方ですと場所の確保ができないこともありますよね。

こういった場合はどうすれば良いのでしょうか?
実は場所に問題があるときは、税務調査を別の場所で受けることもできます。
具体的には顧問税理士の事務所や税務署の中でも可能です。

税務署にとっては税理士事務所の中での調査は完全な「アウェー」ですが、結構やってくれます。ベンチャーサポート税理士法人でも何度もやっています。
ただし税務署は必ず一度は会社やお店を見たがります。一日目の最初にお店や事務所を見て、午後から移動というケースが多いようですね。

事前に連絡しておくことが必要ですが、こういった方法も可能ということを知っておいてください。

5 前の調査では通ったのに今回否認された!

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務調査は通常3年~7年に一度、定期的にあるものです。
設立してから10期にもなると、2回、3回と税務調査が来ているということも珍しくありません。
ただし、税務調査はその都度別の調査官が調べにきます。すると、前回の税務調査では指摘されなかった内容が、次の税務調査では指摘を受けるということも出てくるのです。

こういった場合はどうすればよいのでしょうか?
こういった場合、残念ながら「前回は指摘がなかった」という理論は通らないのです。
一度はOKが出ていたのに、後から否認というのは常識的な感覚ではありえないことですが、税金の世界では通ってしまうのです。

これは税金の世界の特殊性に原因があります。税金の世界は「グレーゾーン」という領域が非常に広いのです。つまり解釈次第で「クロ」にもなるし「シロ」にもなるということです。調査官の主張が勝てば「クロ」、税理士の主張が勝てば「シロ」。そんな問題が日常茶飯事なのです。

とは言っても、前回の調査の結果は「武器」にはなります。
顧問税理士が税務署と戦う気概を持っていれば、その事実を武器にして戦うことは可能です。グレーゾーンについての対策は「ドキュメントの整備」が有効です。税務署は否認するためには否認を立証しなければいけません。逆にいうと会社側では否認されない理由を立証しなければいけないのです。このときに大きな助けになるのが「ドキュメント」、つまり「文書で残しておく」ということです。
たとえば高額なブランド品を贈答品として得意先に送る必要があったとき、そのままだと税務署は「プライベートな買い物を経費にしているのでは?」と疑ってきます。ですが、相手先の名前や日時、贈答品の送り状などがあれば「証拠」になります。

税務署に疑われるかな、と思ったときは何かしらの証拠を残しておくことにしましょう。

6 個人の通帳も見せて欲しいと言われた!

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(画像=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

法人の税務調査で社長や役員の個人の資産も調べられることがあるのでしょうか?

実は個人の通帳を調べられることはよくあります。それどころか最近の税務調査では事前に個人の通帳を銀行に照会して、持ってくることもあります。

「これってプライバシーの侵害では?」と思われるかもしれません。
税務署が持っている「質問検査権」という権力は非常に強力なものなのです。銀行といえども税務署からの要求があれば、預金者の承諾なしで通帳を開示するのです。

ただし税務署の職員は守秘義務があります。
業務上で知りえた情報を外に漏らしたり、自分のために使ったりはしないということです。
結局見せないという理由が付けられないのです。調査官から個人の通帳の開示を求められたときは堂々と公開するのが良いでしょう。逆に見せないと怪しまれるだけです。

素直に開示して心証を上げていくことが得策です。

7 パソコンや机の中まで見たいと言われた!

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務調査では社長のパソコンや机の中も調査したいと言われることがあります。

机の中やパソコンの中は秘密の宝庫。
税務署はこの中に「利益調整」の証拠がないか疑っているのです。無理に利益を減らすと必ず矛盾が出ます。たとえば在庫金額を減らしたりすると、例年よりも粗利益率が下がってしまい不自然さが出るのです。
そういった「やってはいけない処理」をした場合、社長は本来の数字がわからなくならないように、メモや資料を残してしまうことが多いのです。
「本当の在庫金額」がわからないと社長自身が混乱してしまいますので、「本当の在庫表」を作ったりするということです。いわゆる「裏帳簿」ですね。

こういった証拠は社長のパソコンや机の中に隠されていることが多いのです。ただし調べると言っても、税務調査官が直接机の中やパソコンを調べることはしません。社長の後ろに立って、あくまで社長に操作をしてもらうのです。
こういった場所は任意の税務調査であれば拒否することも不可能ではありませんが、「見せられないものがある」と調査官が疑ってかかることにつながりかねません。基本的には開示して身の潔白を示すほうが良いでしょう。

逆に言うと、税務調査のときに机の中やパソコンが見られても困らないように、税務調査前には整理しておくことをお勧めします。

8 取引先まで調査に行かれた!

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税務調査では自社と取引がある取引先まで調査をされることがあります。

これを「反面調査」と言います。
たとえば自社で「外注費」として計上している経費が、取引先で同じ金額できちんと計上されているかどうか、などを調査するのです。商売は当然「買う側」と「売る側」で同じ金額の処理がなされるはずです。
ですので、万が一自社で経費の金額を水増ししても、先方を調べれば金額が正しいかどうか一発でわかるのです。

これが矛盾しているということは脱税をしているということ。
この調査で嘘がばれてしまうのです。

反面調査は調査官が必要と判断すれば行われます。具体的には調査官が直接得意先に調査に行くこともあれば、文書で調査することもあります。
得意先に税務署が調査に行くというのは、なんとなく得意先に迷惑を掛けるようで嫌ですよね。税務調査に詳しくない得意先の方であれば、「何か悪いことでもしているのではないか?」と疑われることもありえるかもしれません。
得意先に対する信用を損なう危険性もありますので、できることなら避けたいものです。

しかし、残念ながら反面調査は受けざるを得ないのです。
反面調査の必要性については、過去に何度か税務裁判が行われています。反面調査は過去の判例でも「正当性」が認められていますので、拒否することはできません。
得意先には事情を説明して納得していただいておくようにしてください。税務調査のせいで信用にキズがついたら、踏んだり蹴ったりですね。

税務署に文句を言っても何もしてくれませんので、事前にしっかり対策をしておいてください。

9 追徴された税金が高額で支払えない!

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税務調査で残念ながら追徴金が出てしまった場合は、税務署の指摘事項について修正申告書を提出し追徴金を支払うことになります。

税務調査は通常3~5年分が対象です。
ということは数年前の税金の追徴を受けると、今現在資金が減っていて追徴金を支払うのが難しくなっている可能性もあります。

こういった場合どうすれば良いのでしょうか?
こういった場合、税務署に相談に行くと分割払いでの納付に変更してもらえます。ただし税金を減らしてくれるわけではありません。あくまで待ってもらえるだけです。
さらに分割払いにすると「延滞税」という利息のような税金が別途かかります。

利息は年利14.6%!(修正申告書を提出した日から2ヶ月は約4%です)
すごい高金利です。そういったことを考えると安易に分割払いを選択するのはお勧めできません。

どうしてもお金がない場合の最終手段とお考えください。(提供:ベンチャーサポート税理士法人