こんにちは元国税調査官、ベンチャーサポートの桑原です!
はじめは誰もが持つ税務調査のイメージ
税務調査と言うとどんなイメージを抱きますか?
「怖い」「お金を取られる」「税務署職員が踏み込んでくる」
そんなイメージが一般的な税務調査のイメージではないでしょうか?
一昔前になりますが、伊丹十三監督が「マルサの女」という映画を作り、大ヒットしました。
国税局査察部、通称「マルサ」に勤務する女性の活躍を描いた映画です。
この映画の中では、宮本信子演じる主人公は脱税を摘発するためにゴミ袋の中を漁ったり、朝一番からガサ入れをしたり、本棚をひっくり返したりしています。
経営者はみんなこんな経験をしなければいけないのでしょうか?
そうであれば、税務調査って本当に怖いですね。
本来の税務調査の実態を知って安心する!?
驚いたところで、安心してください!
実際の税務調査の99%はこのような調査はされません。
「税務調査」と一口で言っても何種類もの調査方法があるのです。
マルサの女のように有無を言わさずに踏み込んでくる調査は「強制調査(査察調査」と言われ、巨額で悪質な脱税を摘発するために捜査令状を持ってやってくるものです。
国税庁のHPによりますと平成20年のマルサの査察は全国で211件です。
全国で行われる税務調査全体の割合から言うと1%もありません。
ただし、マルサの査察が入ると約75%が「告発」されます。
つまり脱税として刑事告訴されるのです。
1件あたりの平均脱税額も1億6300万円となっており、相当に巨額で悪質な案件であることがわかるかと思います。
こういった「強制調査」に対して、通常の税務調査は「任意調査」と言われます。
「強制」ではなく、あくまで納税者の「任意」に基づいて行われます。
とは言っても、実際には断ることはできません。
ですが、強制調査のようなムチャな調べ方はされません。(まぁ、紳士的でない態度を取る税務署職員も結構いますが・・)
税務署の職員がオフィスに来て、帳簿書類を調べ申告が正しかったかどうかを確認するのが一般の税務調査です。
結構単調なものですよ、実際は(笑)。
このように税務調査は大きく2種類に分かれます。
でも、どっちにしても断ることはできないので、税務署から調査依頼があったときは諦めて税務調査を受けるしかありません。
税務調査は過去何年分まで調査される?
では、税務調査では過去何年分を調査されるのでしょうか?
通常は過去3年分。
ですが、不正行為があった場合などは最大7年前まで遡られることがあります。
「もう昔のことだから」と安心はできないのです。
ただ7年間遡られるのは相当悪質な不正があった場合で「普通は3年、悪くて5年、最悪7年」というのが実情です。
税務調査は「正しい経理が行われているかどうかの確認」が建前ですが、実際は「税金を取ろう、取ろう」とする調査官が多いです。
なぜなら手柄(増差所得)を立てた調査官は税務署内で評価が高くなり、出世するからです。調査官に「ノルマ」はないのですが、手柄が多い人が出世するので、結果的には数字に追われているのです。
調査官もサラリーマン。
家に帰れば奥さんも子供もいるのです。
生活のために出世しないといけない。
そのためには税金を取って帰らないといけないというわけです。
これが調査官の現実です。
どうですか?税務調査が少しイメージできましたか?
では次の章では「どんな会社に調査が来るのか」についてお伝えしていきます。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)