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日本M&Aセンターが行うM&A大学。
その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーにTHEOWNER編集部がインタビュー。今回は横浜信用金庫 融資部本業支援室 副調査役 大庭洋祐氏にお話を伺った。

M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

出向に来られる前のご経歴を教えてください。
出向前は、営業店で法人営業を行っておりました。今まで5店舗経験したのですが、その間に中小企業診断士の資格を取る為に半年間、学校へ通わせてもらいました。学校から支店にもどり、数か月経った頃、支店長から日本M&Aセンターに出向へ行ってみないかとお話を頂きました。

そういった資格取得に向けて金庫がサポートしてくれる制度があるのですね。
そうですね。中小企業診断士の1次試験を専門学校に通って取得し、その後、半年間、中小企業大学校の中小企業診断士養成課程に通いました。学校での受講生は40人~80人くらいでしょうか。商工会や金融機関の人が多かったと思います。当金庫では、中小企業診断士以外にも様々な資格取得に対しての支援制度が整っています。

今回の本部(M&A部署)への異動は希望されていたのですか?
特に希望していたわけではありませんでしたので、聞いた時は大変驚きました。しかし、以前から、私自身、専門性の高い部署で仕事がしたいと思っておりましたので、面白そうだなと感じましたね。

横浜信用金庫さんのホームページを拝見すると、M&Aの成約事例も多いようですね。
M&A業務は平成12年からやっております。信用金庫業界では先進的に取り組んでいたようで、当時、当金庫でM&Aを担当していた先輩は、日本M&Aセンターの分林会長や三宅社長と一緒に案件を担当したと聞いております。それくらい前からM&Aの取り組みをしておりました。

現在、M&Aチームの構成はどのようになっておりますか?
当金庫は、融資部としてM&Aに取り組んでおり、担当は3名、M&A専任は2名体制ですね。

私が出向を終えた頃はコロナの融資対応が急務であった為、私自身も出向を終えてから1年間はM&A業務ではなく営業店で新型コロナウィルス融資対応をメインに行っておりました。その融資対応が一段落した頃から、営業店でもM&A・事業承継についての対応も始め、1件、譲渡案件の受託に繋がりました。

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M&A大学卒業後、現在の取り組みについて

M&A大学に参加されていかがでしたか?

私は、M&Aの経験・知識もなく参加しましたが、半年間の出向期間の最初の1か月の講義で、しっかりと知識がついたと思います。現在実際に、その知識を活かしながらお客様対応ができているのかなと思いますね。研修で学んだことは大変内容が濃く、現在の自信にも繋がっています。

M&A大学で学んだ中で、主に何が役にたっていると感じますか?
担当コンサルタントに同行訪問させてもらった際のお客様対応が大変勉強になりましたね。

こういう状況にはこういった話をするだとか、リスクも事前にしっかりと考えた上で話し方を考えることを学びました。知識はある程度自分で勉強すれば学ぶことができますが、実際にお客様対応を見せてもらったことは現在の業務に大変役に立っていると思います。

出向中は他の金融機関とのつながりが出来たと思いますが、現在はいかがでしょうか?
そうですね。色々な金融機関の方が出向に来られていたので、横のつながりが出来ました。現在はなかなかお会いすることは無いのですが、日本M&Aセンターさんが行っている「全国信用金庫事業承継・M&A研究会(しんきんファミリー)」とかで、またお会いできると良いなと思います。最近はオンラインでの開催でしたが、また今後、直接顔を合わせて情報交流できる場があるとすごく良いと思いますね。

今後やっていきたいことなどはありますか?
当金庫のM&A担当の人員も限られておりますので、ある程度、M&Aニーズに対して前裁きができる営業店の人材育成を積極的にやっていきたいと思っております。情報整理やニーズ喚起については営業店にお願いし、それを基にこちらで対応していくことができるといいのですが、現在は情報がそのまま営業店から上がってきて同行依頼に応えるということも多く、今後はヒアリングシートや情報整理ツール等も作って対応していきたいなと考えています。

事業承継・M&Aニーズが増えていることは肌で感じておりますので、早急に色々と整備・対応していきたいと思います。

M&Aに関する人材育成は課題となっていることが多いと思います。
そうですよね。現在当金庫では、新しい取り組みとして、営業店から1か月、本部にトレーニーとしてきて勉強してもらい、M&Aを含むソリューション部門の前捌きができる人材を育成することを始めました。

そういった本業支援に関して意識の高い人を、月に2名ほど本部で育成して、営業店に戻ってからは営業店の他のメンバーに勉強したことを共有してもらうなど、地道ですが育成を進めています。トレーニーに来てくれた営業店からの情報は、ある程度整理されたかたちであがってくるので、この取り組みの成果を感じます。

トレーニーの前半で、ソリューション全般に関する知識を勉強したり、実際現場をみて勉強をしてもらい、後半には、営業店の事業承継・M&Aニーズのあるお客様への提案書を作成して、最後は一緒にお客様へ提案に行きます。ニーズは確実に増えているので、営業店での対応も含めて、仕組み作りをより進めていけると良いかと思います。

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