「良い会社」に何が必要か、という研究は昔から行われています。
有名なのは1983年に刊行された『エクセレント・カンパニー』(トム・ピーターズ、ロバート・ウォーターマン著)です。当時、超優良企業であった世界的な国際企業に共通する8項目がこの書籍で発表されました。
しかし、この書籍で研究対象となった超優良企業の多くがその後、深刻な苦境に陥ったことはよく知られています。つまり、「良い会社」になれても、「良い会社」であり続けることは極めて難しいということです。
経営者は「良い会社」になる条件を知ると同時に、「良い会社」ではなくなる原因を知る必要があります。
「良い会社」になる5つの条件
「良い会社」はいろいろな定義が可能です。
しかし、最低限「収益性や成長性が高いこと」、そして「事業が長く継続すること」、および「従業員のモラルが高く働き甲斐のある組織であること」が必要です。ここでは、古野庸一氏らの著書(『「いい会社」とは何か』)を手がかりに、「良い会社」になるための条件を考えてみます。
1.時代の変化に適応できる自己変革能力・行動力があること
事業を継続させるには、変化の激しい環境変化に対応しなければなりません。
2.顧客に密着していること
真の変化を行うには顧客目線での発想が必要で、そのために顧客密着が要求されます。
3.人を活かす経営、自主性と起業家精神にあふれていること
従業員のモラルが高いことで、収益性・成長性、顧客変化への対応が可能になります。
4.長期ビジョンによる経営が行われていること
これは、事業を継続させ、従業員のモラルを高めるために必要な、経営者に求められるリーダーシップの一つです。
5.社会貢献が意識されていること
社会貢献を強く意識することは、顧客を理解し、従業員のモラルを上げ、企業の存在意義が高まり、事業(企業)の継続につながります。
これらは、昔から言われていることで特に目新しいものではありませんが、実行するのはなまやさしいことではありません。
行動できるレベルにブレークダウンするとともに、経営トップの強いリーダーシップが必要となります。
「良い会社」が「良い会社」でなくなる理由
「良い会社」になった会社が、時代が変わると赤字で青息吐息となり、人員整理を余儀なくされて普通の会社になってしまう事例が多く見られます。
そして、徐々に「良い会社」であり続けられる期間が短くなってきています。以前は、一旦、「良い会社」となって高いシェアを取り、業界のリーディングカンパニーとなった会社は、半世紀はリーディングカンパニーであり続けられたと言われています。
しかし、今や平均すると10年程度まで短縮しています。「良い会社」を継続できないのは、「良い会社」になったからです。
矛盾した表現ですが、人間で言えば、健康に良いことを全て実践して健康になった人が、自分のやり方や身体を過信して、身体が不調になっても医者に診てもらわないで、重大な病気になるようなものと言い換えることができます。
「悪い会社」になる4つの原因とは
「良い会社」が「良い会社」でなくなる理由は、表面的には競争力の低下や他社の新しい製品に置き換えられるなどの理由によりますが、本質的には「良い会社」であったがために「悪い会社」になる原因が芽生えるためだと言われています。その原因は以下の4つがあげられます。
1.自社のやり方に対する過信
我々は優良企業であるという過度な自信で現実を直視しなくなる。
2.自社が正しいと言う思い込み
優良企業であるという自負で変化が起きていても、それを無視し顧客に自社製品を押しつける。
3.官僚化による意思決定などの遅延
自社中心にビジネスが回るため、全てに組織が硬直化しスピード感を失う。
まとめ
「良い会社」であるための条件は分かりやすいので、いかに実行するかが経営者に問われます。一方、「良い会社」である続けることは、「良い会社」である条件を常に追及しつつ、「良い会社」であることを自己否定して常にマーケットの声に耳を傾ける姿勢を持つことが必要です。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)