消費税還元,宣伝,広告,禁止
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

「消費税還元」をうたう宣伝・広告が禁止なことを知っていますか?

消費税法の一部が改正され、消費税の税率が、従来の5%から2014年4月に8%となり、2015年10月には更に引き上げられて10%となる予定です。

注意しなければならないのは、今回の消費税率引き上げに合わせて、事業者が円滑かつ適正に消費税分の価格転嫁ができるように、新しく「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税還元セール禁止特措法)」が成立したことです。この法律で、セールを行うときについやってしまいがちなことが禁止されています。違反すると、指導や勧告、または企業名が公表される可能性があります。その内容について説明します。

消費税還元セール禁止法の5つのポイント

1.消費税の転嫁を拒否する減額、買いたたきなどの行為の禁止
納入業者に対して消費税分を上乗せしないように強要することが禁止されます。

2.消費税を還元するなど消費税に関連して安売りを行う宣伝や広告の禁止
平成26年4月1日以降、全ての事業者に対して消費税還元をうたうセールの宣伝・広告が禁止されます。

3.「総額表示」義務の緩和「外税表示」「税抜き価格の強調表示」が可能
総額表示に加えて、「外税表示」「税抜き価格の強調表示」が可能になります。

4.中小企業が共同で価格転嫁することや、 表示方法を統一することが可能
独占禁止法の例外として、業界団体や組合等で転嫁方法や表示方法を統一的に決定できるカルテルが認められます。

5.消費税転嫁対策のために国などに課せられた3つの責務
国民に対する消費税引き上げの趣旨徹底などの広報と違反通報者の保護、および違反行為などの防止の態勢の整備を国、および都道府県が責任をもって行います。

消費税還元などをうたったセールの広告・宣伝禁止

消費税還元をうたう広告・宣伝が禁止されます。その禁止の表示の詳細内容は次のとおりです。
1.「消費税を転嫁していない」旨の表示
例:
・消費税は転嫁しておりません。
・消費税は当店が負担しています。

2.「消費税分を対価から減額する」旨の表示
例:
・消費税率の上昇分を値引きします。

3.「販売にあたり消費税分に相当する経済上の利益を提供する」旨の表示
例:
・消費税の金額に相当する金額のポイントを付与します。このポイントは次回の購入時に利用できます。

これらに類する表示を行って宣伝・広告すると、指導・助言、勧告などの対象になるばかりではなく会社名が公表される可能性があります。消費者のために行った行為でも違反行為が公表されると企業イメージが悪化することも考えられるので注意が必要です。

なお、より具体的な例については、消費者庁の「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」が参考になります。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/

違反にならない表示方法とは

消費税との関係が少しでも認められる可能性のある広告・宣伝は控えなければなりません。しかし、「消費税還元セール禁止特措法」に対して、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長やイオンの岡田社長など経済界からの強い反発が多く出たので、政府は、単なる「春の応援セール」「3%値下げ」「8%還元」など消費税と直接関係のない表現はこの法律に違反しないとコメントをだしています。

参考:
消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント
http://www.jcci.or.jp/chusho/mihiraki.pdf

消費税還元セール禁止特措法は憲法違反?小売業界の猛反発で早くも政府が譲歩
http://biz-journal.jp/2013/05/post_2074.html

(提供:ベンチャーサポート税理士法人