今、市場には多くの会計ソフトが出回っているが、中小企業向きの会計ソフトにはどのようなものがあるのかを比較する。
目次
会計ソフトを比較する6つのポイント
会計ソフトは、中小企業での事情を勘案して選ぶ必要がある。ここでは比較するポイントを6つ挙げる。
1. パッケージ型かクラウド型か
会計ソフトを比較するポイントのひとつは、ソフトのタイプだ。会計ソフトには、パソコンにインストールする「パッケージ型」と、サーバー上にアクセスして使う「クラウド型」がある。以下に、それぞれの特徴をまとめてみた。
【パッケージ型の特徴】
・料金は買い切りが多く、一度買ったら原則それ以上費用はかからない。
・バージョンアップした場合、ソフトのインストールを再度行う必要がある。
【クラウド型の特徴】
・料金は月額または年額というケースが多く、使っても使わなくても定期的に費用が発生する。
・バージョンアップしても追加の費用はかからない。
・バージョンアップするときに、ソフトのインストールを行う手間がいらない。
2. 他のソフトと連携できるか
会計ソフトは給料ソフトなどと連携させることによって、経理の効率化が可能だ。一般的にはパッケージ型ソフトで連携できるソフトは少なく、クラウド型は多いという傾向にある。
3. 価格
安いものでは1万円台のものから、高いものとなると何十万円するものまである。価格と機能は比例するが自社にあったソフトを見極めることとなる。
4. 経営管理機能
会計ソフトを使う最低限の目的は決算書の作成にある。しかし、経営管理に資する資料を作成するための資料を作成するときはその機能が求められる。
5. 会計処理の入力
経理担当者の簿記スキルについて、差がある。そのため、会計ソフトを比較する際には、担当者のスキルに合っているかを検討する必要がある。
6. サポートの充実
サポートもソフトによって差がある。電話でもあるか、メールでも受け付けられるかあるいは時間帯は、料金はなど利用に不安があるときは重要な要素となる。
会計ソフトその1. 弥生
数多くある会計ソフトの中で一番有名なのがこの「弥生」だ。弥生はパッケージ版、クラウド版があるが、ここではパッケージ版について紹介する。
弥生は最大のシェアを誇り、多くの税理士が対応していることで知られる。対応している税理士を探す手間が省けるのも大きな特徴だ。
価格面
機能やプランによって価格は異なるが、スタンダード版の50,000円からで (メーカー直販価格・税抜)。また、2年目からはソフトを買わなくても「あんしん保守サポート」に入れば、スタンダード版の場合は36,700円(税抜)からソフトウエアのアップデートを受けることができる。
会計処理の入力
入力方法は、基本的には手入力となる。ただし、仕訳事例を用意するなど省力化に工夫がされている。
サポート面
「あんしん保守サポート」と銘打った手厚いサポートを備えている。電話、メールでのサポートはもちろんのこと、画面共有をした上でのサポートも用意されている。
会計ソフトその3. マネーフォワードクラウド会計
クラウド型会計ソフトの有名なものの一つとして「マネーフォワード会計」がある。
価格面
マネーフォワードの価格は、月払い3,980円、年払い35,760円のスモールビジネスプランなどある。なお、この価格は会計ソフトのみならず、給与ソフトなどを含めた価格だ。
サポート面
メール、電話、チャットでの問い合わせが可能。ただし、電話、チャットは平日のみ。
会計処理の入力
インターネット上にある銀行やカードの取引明細を取得して仕訳を自動生成することが可能。入力に際しては、初心者向けに補助機能はあるものの仕訳を意識した入力が必要だ。
会計ソフトその4. freee
最後に挙げるのは、クラウド会計ソフトで「マネーフォワード会計」と並んで有名な「freee」だ。
価格面
freeeの価格は多様なものが用意されている。7月1日からとなるが、最低限の機能を使う目的のプランにひとり法人プランがあり、年額35,760円(一括払い時)からである。
サポート面
メール、電話、チャットでの問い合わせが可能。ただし、ひとり法人プランではチャットかメールに限られる。
会計処理の入力
銀行口座と連携したり、領収書をスキャン取り込んだりなどができる。ただし、freeeは仕訳を意識しなくてもいいとはなっているが、多少意識する必要はある。
多様な連携機能
freeeでは外部のクラウドサービスなどと連携が可能だ。また、それでも不足ならば自作も可能だ。
会計ソフトはそれぞれの特徴を知って自社に合うものを
ここでは、会計ソフトを選ぶ際のポイント、著名なソフトの説明を行った。それらの特徴を知り、自社にあったソフトを選んで頂きたい。
文・中川崇(税理士)