MA Channel:ちょっとためになるコラム
(画像=加藤 優思/stock.adobe.com)

日本M&AセンターはASEAN第四の拠点として、2020年3月にマレーシア駐在員事務所を開設しました。日本の中堅・中小企業が海外進出するために適した環境が広がっています。ASEANではシンガポールに次ぐビジネス環境の良さと多民族国家で魅力的なマレーシアをご紹介します。

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多様性と消費市場が魅力的なマレーシア

現在、日本を含めた世界各国とASEANとのクロスボーダーM&Aは増加しています。その中でも特に集中しているのが、シンガポール、ベトナム、マレーシアの3ヵ国です。ASEAN進出において注意が必要な点は各国の商習慣や法制度に適応することですが、ビジネス環境が整っているマレーシアは適応しやすい国に挙げられます。マレーシアの特徴は何といっても、多様性にあります。マレー系や中華系など他民族国家でさまざまな宗教・食習慣などが交錯する独特の文化が魅力であり、活力ともいえます。ロングステイしたい国では10年以上にわたり上位を走る人気国。物価水準、治安、インフラ、気候、医療、現地の人のフレンドリーさなど高い総合評価がその理由です。安定的に成長を続けるASEANの優等生として知られています。

評価が高いビジネス環境

「投資家保護の整備」、「電力需給」、「建設許可の取得」などビジネス環境の良さもASEANではシンガポールに次ぐ位置にランクされており、海外企業が進出しやすい土壌が広がっています。 マレーシアのビジネス上の魅力は、

(1)若い労働力と中間層の増加による魅力的な消費市場
(2)トップレベルのビジネス環境
(3)親日国
(4)ハラル・マーケットへの参入

以上4点が挙げられます。
まず年齢別人口は20代が最も多く、若手労働力の増加は雇用の確保だけではなく中長期的な消費市場としても魅力的です。英語は公用語ではありませんが、多くのビジネスシーンで通じ、先進国同様のインフラ環境も後押しします。1980年代にはマハティール元首相がルックイースト政策で日本をモデルに経済政策を進めた縁もあり、両国間で産官学の交流が盛んとなりました。穏健なイスラム国家としても知られ、ハラル・マーケット参入の足掛かりとしても期待できる環境です。

M&Aでも魅力的な土壌

マレーシア国内のM&Aは年間200~400件前後で推移し、成約案件は10億円以下の小型の取引が中心です。海外企業案件のM&Aが目立つシンガポールに対して、マレーシアでは国内企業同士のM&Aが多くなっており、M&Aの土壌が醸成されているといえます。日本企業とのM&Aは2000年以降で約200件、ここ数年では年間約20件のペースで進んでいます。日系企業の工場進出は50年以上の長い歴史があり、M&Aはこれからの市場といえます。良好なビジネス環境から、会計・財務の透明性は確保され、M&Aの難易度はASEANでは比較的ハードルが低いといえます。新興市場ともいえるハラル・マーケットなど、新事業への参入も可能であり、総じて日本の中堅・中小企業にとってM&A対象国としての魅力的な国となります。

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(日本M&AセンターがASEAN M&Aのノウハウを紹介 / 画像=MA Channel:ちょっとためになるコラム)
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尾島 悠介(おじま・ゆうすけ)
海外事業部 ASEAN推進課 マレーシア駐在員事務所 所長
大手商社を経て、2016年日本M&Aセンターに入社。商社時代には3年間インドネシアに駐在。2017年よりシンガポールに駐在し現地オフィスの立ち上げに参画。以降は東南アジアの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援に従事。2020年にマレーシアオフィス設立に携わる。現地経営者向けセミナーを多数開催。
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