MA Channel:ちょっとためになるコラム
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日本M&Aセンターは若手経営者120名を対象に「若手経営者の経営実態とM&Aに関する意識調査」を実施しました。調査の結果、約7割の若手経営者が、M&Aに対してポジティブな印象を持っており、約半数の50%以上経営者が実際にM&Aを検討したことがあるという結果となりました。
M&Aを検討した理由としては、25.0%が「自社にないサービス等を補完するため」、20.0%が「大手の傘下に入るため」、16.7%が「会社の存続のため」など、譲受・譲渡両方を検討しており、事業承継だけでなく、企業成長の手段としてもM&Aが浸透していることがわかりました。
また、主な事業における一番の課題として、「営業」をあげる方が23.3%、「自分に次ぐ経営層」をあげる方が20.8%となっており、若手経営者が経営者を重要視していることが分かりました。(日本M&Aセンター意識調査)

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調査概要

調査概要:若手経営者の経営実態とM&Aに関する意識調査
調査期間:2021年7月19日〜同年7月21日
調査方法:インターネット調査
有効回答:34歳以下の起業家

約7割の経営者がM&Aに好意的

「Q.1 M&Aに対するイメージを教えてください。」(n=120)と質問したところ、「良い」が28.3%、「どちらかと言えば良い」が38.3%という回答となりました。

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・良い:28.3%
・どちらかと言えば良い:38.3%
・どちらかと言えば悪い:9.2%
・悪い:4.2%
・わからない:20.0%

若手経営者の2人に1人はM&Aを検討したことがある

 「Q.2 これまで、M&Aを検討したことがありますか。(複数回答)」(n=120)と質問したところ、「自社にないサービス等を補完するためにM&A検討したことがある」が25.0%、「大手の傘下に入るためにM&Aを検討したことがある」が20.0%、「会社の存続のため、M&Aを検討したことがある」が16.7%という回答となりました。

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・自社にないサービス等を補完するためにM&A検討したことがある:25.0%
・大手の傘下に入るためにM&Aを検討したことがある:20.0%
・会社の存続のため、M&Aを検討したことがある:16.7%
・検討したことがない:37.5%
・M&Aを知らない:12.5%

経営課題の1位は「営業」23.3%で最多、次いで「自分に次ぐ経営層」20.8%

「Q3 あなたが現在行っている主な事業における一番の課題は何ですか。」(n=120)と質問したところ、「営業」が23.3%、「自分に次ぐ経営層」が20.8%という回答となりました。

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・営業:23.3%
・自分に次ぐ経営層:20.8%
・採用:17.5%
・プロダクトを作る人の不足:11.7%
・バックオフィス業務(内部管理体制):9.2%
・その他:8.3%
・特にない:9.2%

起業成功の基準は「時価総額、売上がある一定まで達したとき」が約4割

 「Q4 ご自身の会社がどのようになったら成功したと思われますか。(複数回答)」(n=120)と質問したところ、「時価総額、売上がある一定まで達したとき」が37.5%、「社会から広く認知され、利用されていると感じたとき」が36.7%、「社会に対して、貢献していると感じたとき」が35.8%という回答となりました。

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・時価総額、売上がある一定まで達したとき:37.5%
・社会から広く認知され、利用されていると感じたとき:36.7%
・社会に対して、貢献していると感じたとき:35.8%
・従業員が安定して収益を得て、楽しそうに仕事をしているとき:30.8%
・買収したいという企業がでてきたとき:17.5%
・その他:6.7%
・わからない:3.3

起業目的は「自分で何かを成し遂げたかった」「まだないサービスをつくりたかった」「自己責任でストレス無く仕事をしたかった」など様々

「Q5 起業した目的を教えてください。(自由回答)」(n=120)と質問したところ、「自分で何かを成し遂げたかった」や、「まだないサービスをつくりたかった」など117の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・34歳:自分で何かを成し遂げたかったから。
・31歳:社会福祉への貢献。
・31歳:自分の力でどこまでできるか試してみたかった。
・21歳:自由と夢のため。
・30歳:自分の理想とする訪問介護をしたかったから。
・34歳:自分の力でだけで誰にも迷惑を掛けず、自己責任でストレス無く仕事をしたかったから。
・25歳:まだないサービスをつくりたかった。
・22歳:お金を稼ぎたかったから。
・24歳:自分の仕事環境を持ちたいから。

総評 日本M&AセンターIT業界支援室長 竹葉聖

日本では、事業承継におけるM&Aの機運が高まっており、中小企業のM&Aは年間3,000~4,000件のペースで推移しています。また、事業承継型M&Aの増加に伴い、近年、成長戦略型M&A(成長志向型M&A)という考え方も関心を集めています。

成長戦略型M&Aとは、単独では実現しえない非連続な成長を目的としたM&Aのことで、大手企業のグループに入るケースなどが挙げられます。大手企業のグループに入ることで、そのアセットをフルに活用することができ、単独では実現することができなかった事業の拡大や新規事業等に取り組むことができ、成長を目指す企業にとって多くのメリットがあります。
また、日本M&Aセンターでも、近年成長戦略型M&Aを検討されているお客様からのご相談が多く、M&Aに対する認識、活用方法が変わってきていると現場でもひしひしと感じています。
今回の若手経営者の意識調査でも、M&Aを検討したことがあると回答いただいた方の中で、自社のサービスの補完や大手企業のグループに入るとお答えいただいた方は約45%にのぼり、今後は、より成長戦略型M&Aを実施する企業が増加すると推測しています。

日本M&Aセンターは、事業承継型M&Aに対する支援を行うことはもちろんのこと、さらなる成長を目指す成長戦略型M&Aに対しても支援を行い、今後も企業の存続と発展に貢献してまいります。

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竹葉 聖(たけば・きよし)
業界再編部IT業界支援室長
公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立ち上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム(株)とAIベンチャーの(株)RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を担当。
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