今回は「経費になるもの」と「ならないもの」の判断の仕方についてお伝えしていきたいと思います。
経費になるかならないかは、経営者なら誰しもが興味あるテーマです。
また税務調査でも必ず争点に上がる点でもあります。
ですが税法では「○○は経費になる、○○は経費にならない」と、はっきりとは規定していないのです。
というより、規定できないのです。
なぜなら世の中に無数にある商売ごとに、「経費になるものならないもの」を明文化することはできないからです。
そこで大枠として「売上を上げるために直接的に必要なものは経費」としています。
つまり「経費になるか、ならないか」は、解釈次第でどちらにでもなる「グレーゾーン」が非常に広い問題なのです!
ではいったいどのように考えれば良いのか。
そこで今回は具体例を出しながら、よくあるケースについて考えていきたいと思います。
「スーツ代、カバン代、くつ代、腕時計代、メガネ代」
最初に考えたいのは「スーツ代、カバン代、くつ代、腕時計代、メガネ代」などの身だしなみを整えるためにかかる支払いについてです。
結論から言いますと、これらはすべて経費になりません。
残念ながら、これらはグレーゾーンにすらならず、確実に経費に入らないのです。
仕事をする上で必須のものなのに、納得いかないですよね。
実はこれらの「スーツ代、カバン代、くつ代、腕時計代、メガネ代」などは、個人の所得税の計算過程で、年収に応じて計算された金額を「概算金額」として自動的に控除されているのです。
これを専門用語で言いますと「給与所得控除」と言います。
この規定は日本中の給与所得者がスーツ代などの経費を集計して所得税を計算しようとしても不可能ですので、設けられた規定です。
年収500万円で給与所得控除が154万円、年収1000万円で給与所得控除が220万円になります。
普通に考えると、年間のスーツ代以上の金額が所得控除されているのです。
ですので「法人では経費に落とすことができない」ということになります。
「旅行代金」
旅行代金は「社員も含めた全員で行く」と福利厚生費として経費になり、「役員だけでいくと」と経費になりません。
ですので、設立当初など社員がいない会社では経費にならないのです。
ただし旅行ではなくて「出張」の場合は別です。
旅行と出張の違いは「仕事に関係しているか否か」です。
たとえば「研修会があった」「見本市が開かれる」「買い付けにいく」などのように、売上を上げることに貢献する場合は「出張」として経費になります。
「出張」の場合は現地での写真やパンフレットなど、後から税務署に疑われたときに対抗できるような資料を保存しておいてください。
ちなみに単なる「現地視察」は経費にはなりませんので、その点もご注意ください。
「借入金の返済」
銀行から借りたお金の返済や、友人から借りたお金の返済は経費にはなりません。
厳密に言いますと「利息」は経費になるのですが、「元本」は経費にならないのです。
お金の貸し借りについては、お金の借りたときに「収益」にならない代わりに、返済しても「経費」にはならないということになっています。
「香典代、結婚祝い」
香典や結婚祝いなどは、相手が得意先の場合は「交際費」として経費になります。
この場合は領収書などはなくても、相手先と日付を出金伝票に書いておくなどしておくと経費に入れることができます。
ただし身内や会社に関係のない人に対するものは経費になりません。
ちなみに社員に対する香典代や結婚祝いは社内に「慶弔規定」が設けられており、その規定どおりに支給されたのであれば「福利厚生費」として経費になります。
「領収書が残らない電車代など」
電車代などは切符を買っても領収書が出ないですよね。
ではどうすれば経費にできるのでしょうか?
答えは「出金伝票を作る」です。
「出金伝票」とはコクヨなどの文具メーカーが販売している会計帳票で、この用紙に「日付、金額、どこからどこまで乗ったか」を記載すれば領収書代わりになります。
「出金伝票」の代わりにエクセルで用紙を作成してもOKです。
電車代は「日付」「金額」「どこからどこまで」の3つを記載していれば、基本OKとお考えください。
最近はプリペイドカードやクレジット機能のついたICカードの明細などを保存しておいても、経費に入れることができます。
このほかビジネスをしていればいろんな支払いが出てきます。
「経費になるかならないか」は、税務署の慣習や商売の内容などいろいろな要素で判断しないといけないものです。
悩むことがあったときは、ぜひお気軽にベンチャーサポートへお問い合わせお願いします。
ではまた!(提供:ベンチャーサポート税理士法人)