節税編の第1回はいろいろな節税のテクニックをお伝えする前に、「これを知っていないと節税の効果が出ない」という節税の大前提についてお話をしておきたいと思います。
賢い節税を実行するために、必ず押さえておかなければいけない大前提が2つあります。
(1) 自社の利益を、毎月きちんと把握すること
(2) 年間節税スケジュールに沿って、確実に実行すること
当たり前のことなのですが、この2つを知らずに節税はできません。
もしくは意識しないで節税をしても、お金が残りません。
少し内容を見てみましょう。
まずは(1)についてです。
毎月の売上、経費、利益を、きちんと把握することが第一歩です。
これを「月次決算」といいます。
現時点で、いくら利益が残っているのか? どんな経費を払っているのか?
そんな自社の特長を知ることが大切です。
実は、利益が残っていないのに、お金のかかる節税をしようとする人もたくさんいます。
そうならないためにも、(1)は基本中の基本ということで意識するようにしてください。
この月次を行うためには、当然のことながら毎月遅れないように会計を進めていく必要があります。
ベンチャーサポートへ資料やデータを遅れずに送って頂く最大の理由が、節税を考えるためであると言えるかと思います。
もし遅れがちな方は、早目に担当と対策を考えていきましょう。
次に(2)についてですが、「節税には時期がある」ということを知っていただきたいと思います。
利益が出たと言っても、決算が終わってからでは節税はできません。
常に、前もって決算をシミュレーションしておくことで、慌てずに適切な節税をすることができるのです。
それでは、どの時期に、どんな節税を考えていけばいいのか?
ここからは、それを1つずつ見ていきましょう。
決算3ヶ月前にやるべきこと
決算の3ヶ月前に必ずやるべきことは、「決算対策シミュレーション」です。
ベンチャーサポートでは全顧問先で「決算シミュレーション」を行っていますが、それがないと最終利益が見えてきません。
シミュレーション予想した残り3ヶ月の予想利益と、すでに確定している9ヶ月分の利益を合計して、決算の予想利益のシミュレーションを行います。
残った予想利益を見ながら、残りの3ヶ月間で、どのような節税対策が可能かを検討するのです。
このシミュレーションは決算の3ヶ月前だけではなく、2ヶ月前、1ヶ月前にも、毎月シミュレーションをし直します。
これをきちんと行っていれば、決算終了日には「自分の会社の今期の売上、利益がほぼわかっていて、払うべき税金も把握している」という状態が作れます。
これが理想の状態あり、かつ、あるべき状態です。
そして決算シミュレーションをベースに、いつにどんな節税を講じるかの予定を決定していきます。
決算直前
決算直前にすべきなのは、節税の実行漏れがないかの最終チェックです。
3ヶ月前のシミュレーションのときにも利用する「節税チェックリスト」ですが、必ずするようにしましょう。
細かい節税は次回以降にお話をさせていただきますが、以下のような節税をキチンとできているかを確認します。
役員の追加
車両の受け入れ
倒産防止共済
小規模企業共済
中退共
家賃年払い
サーバー代年払い
広告宣伝費
旅費規程
事業年度の短縮
売掛金等の貸倒れ処理
在庫の評価損
有姿除却
消耗品の購入
社員旅行
決算賞与
社内規定の整備
健康診断
社会保険料を1ヶ月分未払計上
HPデザインの発注
最終仕入単価の引き下げ
決算期末直前の発送を遅らせる
売上の計上基準の変更
予約販売や着手金等の前受金がないか確認
人材投資促進税制の対象となる費用の支出
決算終了後3ヶ月以内
決算が無事終了して、定時株主総会を開く前にやるべきことがあります。
それが「役員報酬シミュレーション」です。
節税の中でも、役員報酬の金額を決めるのは最も重要なポイントです。
これをいい加減に決めていては、いくら細かい節税の手法をたくさん行ったとしても、効果は知れています。
この役員報酬は期限が明確に決められています。
「決算終了後3ヶ月以内」です。
お忙しい時期と重なる方もいらっしゃるとは思いますが、この役員報酬だけは時間を掛けて是非しっかり決めて下さい。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)