今回から2回にわけて、税務調査の現場で実際に起きるトラブルや、起業家の方からよく質問を受ける点についてご説明をさせていただきます。
もし実際の税務調査で同じような状況が将来起きたときには思い出してください。
きっとお役に立てるかと思います。
無礼で傲慢な調査官が来た!
最近税務署の職員は、紳士的な人が増えました。
新人の税務署職員は、研修でも紳士的な対応を取るように指導されるそうです。
ですが、やはり調査官もいろいろ。
中には偉そうな態度を取ってきたり、高圧的な態度を取ってきたりする人がいます。
こんなときはどうしたら良いのでしょう?
文句を言っても良いものなのでしょうか?
それともじっと我慢すべきなのでしょうか?
結論から言うと、「抗議してもOK」です。
まずは調査官本人に言います。
「任意調査に協力しているのに怒鳴ったりするのはどうなのですか?」みたいな注意をしてください。
それでも態度が良くならなかったり、逆に怒り出したときは最終手段。
その調査官の勤務する税務署に電話して「統括官」に伝えるのです。
「統括官」というのは調査官の上司です。
現場では「課長」とも呼ばれ、調査を統括する責任者のことです。
この統括官に直接電話を入れれば、調査官もタダでは済まされません。
調査官もサラリーマンです。
上司の評価は気になります。
また「納税者との折衝能力」も調査官の重要な評価の一つです。
その「折衝能力がない」と思われるのは、なんとしても避けたい。
「態度を直していただけないなら統括に電話を入れさせてもらいますよ」と言うのも一つの対抗策ですね。
で、直らないなら本当に電話をする。
調査官の態度に腹が立っても、悪態で対抗しないでくださいね。
話がこじれていく一方です。
こちらは紳士的に攻めましょう!
突然税務署が来た!
これは以前にもお伝えした件ですが、重要なので再度ご紹介します。
税務署は事前の連絡なしで突然来ることがあります。
こんなとき、どう対応すれば良いのでしょうか?
帰ってもらうことも可能なのでしょうか?
この答えは「税務調査の種類による」ということになります。
税務調査には「強制調査」と「任意調査」があります。
「強制調査」というのは国税局査察部、通称「マルサ」が調査するケースです。
「マルサ」が動くのは悪質で巨額な脱税の疑いが濃い場合のみです。
強制調査は会社だけではなく、社長の自宅や工場などにも同時に踏み込まれます。
この場合、裁判所の捜査令状を持ってきますので調査を拒否することはできません。
これに対して「任意調査」で突然来たときは基本的に追い返すことができます。
任意調査の場合は社長の都合などで調査が不可能である等の事情を説明して、日を改めてもらうことができるのです。
ただし、税務署も人員と時間を割いて来ているので簡単には帰りません。
少しで良いから資料が見たい、会社の概況だけでも聞かせてほしい、と食い下がってくると思います。
その場合には顧問税理士に連絡して、私たちに交渉を任せるようにしてください。
調査のせいで本業に支障をきたす!
税務調査は通常2日間あります。
その間社長はずっと社内にいなければいけないのでしょうか?
ただでさえ忙しい社長業の2日間は大きいです。
場合によっては本業に支障をきたすこともあります。
それでも税務調査に付き合わなければいけないのでしょうか?
このような場合、社長はずっと税務調査に付き合う必要はありません。
普段通りに仕事をしたり、外出をしても大丈夫です。
調査官に事情を説明すれば社長不在でも調査は進みます。
ただし、一日目の午前中は社長が調査に同席してください。
一日目の午前中は「概況調査」と言われ、会社の概況や受注から入金までの流れなどの説明を求められるのです。
また調査官は社長の人柄や趣味なども調べます。
この間だけは社長がいないと調査が始まりませんので、予定を空けておく必要があるとお考えください。
それ以降は席をはずしても大丈夫。
税務調査で席をはずしても調査結果が悪くなるということもありませんし、逆にベンチャーサポートに全ての交渉を任せておいてください!
事務所が狭いので調査のスペースがない!
税務調査は基本的には会社で行われます。
しかし、お店などをしておられる方ですと場所の確保ができないこともありますよね。
こういった場合はどうすれば良いのでしょうか?
実は場所に問題があるときは、税務調査を別の場所で受けることもできます。
具体的には顧問税理士の事務所や税務署の中でも可能です。
税務署にとっては税理士事務所の中での調査は完全な「アウェー」ですが、結構やってくれます。
ただし税務署は必ず一度は会社やお店を見たがります。
一日目の最初にお店や事務所を見て、午後から移動というケースが多いようですね。
事前に連絡しておくことが必要ですが、こういった方法も可能ということを知っておいてください。
今回は税務調査についての一問一答をお伝えしてきました。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)