世界規模で企業と働き手の架け橋になる。コロナ禍でも2,300名超を採用するエンジニア企業

デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速するなか、IT技術者の人材不足が深刻となっている。技術者の母数を増やさない限り、日本のデジタル化は進まない。そんな課題を解決するために未経験人材を自社で雇用し、毎年数千人規模の技術者を輩出している企業がある。株式会社アウトソーシングテクノロジーだ。育成した技術者は、同社が開発したソリューションと共に提供することで、その運営改修を行う専門性の高い技術者として企業へ派遣している。代表取締役の茂手木 雅樹氏に事業にかける思いを聞いた。

茂手木 雅樹氏
茂手木 雅樹(株式会社アウトソーシングテクノロジー代表取締役社長)
1978年生まれ。2004年に独立し、複数のIT関連企業を立ち上げた経験を持つ。
2006年にはアウトソーシングテクノロジーの前身となるグレイスケールを設立、さらなる事業拡大を目指し2012年にアウトソーシングにグループインした。
2014年にはアウトソーシングテクノロジー代表取締役社長に就任し、「IT技術者の需給ギャップ」を解消すべく、高度デジタル人材の育成・派遣事業で人材業界の業態変革を推進している。

人材+アルファのサービスを提供

――アウトソーシングテクノロジーさんの事業概要をお聞かせください。

茂手木 大きく「技術者派遣事業」と「イノベーション支援事業」の2つの事業があります。

「技術者派遣事業」では、人材のプラットフォームとして機械・電気電子・半導体・IT、ソフトウェア・建設・医薬など、幅広いセグメントの技術者が所属し、取引先企業へ派遣しています。

一般的に技術者派遣は、技術者をリクルートして企業へ派遣するビジネスモデルですが、当社は経験者のみならず未経験の人材を正社員として雇用して育成し、働きながら勉強して技術者として一歩を踏み出してもらうところからサポートしています。

例えば、2020年の新卒採用数はグループ合計1,850名、2021年は2,364名を採用しました。この採用数は日本でもトップクラスで、今年は理系の採用数で日本1位となりました。当社は未経験者からエンジニアを生み出すビジネスモデルの先駆者といえます。

なぜ当社がこれだけの人材を採用できるかというと、多くのお取引先にご協力いただいているからです。実際には未経験の人材が数カ月で一人前のエンジニアになることは困難です。そこで企業には0.5人前のエンジニアを2年後、3年後の成長を見越して受け入れていただいています。

「イノベーション支援事業」は、さまざまな業界で、少子高齢化による人手不足や熟練者から若い世代への技術伝承など、人材に関する課題を抱えています。当社では、人材と最先端テクノロジーをセットにしたソリューション・サービスを展開し、現場の課題解決に取り組んできました。

企業のDXが進む中で、DXは「効率化」にとどまらず、デジタル活用による「価値創出」の領域に取り組もうとする動きもあります。当社は、こうした企業のイノベーティブな挑戦を、「人」と「テクノロジー」の力で支援しています。

――イノベーション支援としてシステム開発サービスや独自ソリューションも提供していますが、なかでも力を入れている取り組みはありますか?

茂手木 わかりやすいところでは省人化の取り組みがあります。たとえば手書きで記録をするような現場での作業があると思いますが、ヘッドマウントディスプレイを着用すると自動的に記録されるようなイメージです。当社では産業別にさまざまな現場の作業を分析して、省力化を図るソリューションとそれを扱う専門性の高い技術者をセットにして派遣しています。

具体例を挙げますと、2020年7月に長谷工コーポレーションさんと日本マイクロソフトさんと共同で、マンションの外壁タイルを検査するためのソリューション「AR匠RESIDENCE(エーアールタクミレジデンス)」を開発・発表しました。

このソリューションは、検査者がヘッドマウントディスプレイを装着してマンション内を移動すると、該当箇所で点検箇所や危険箇所がグラス内に表示されます。また、歩くことによって3D画像が生成され、老朽化したポイントの位置情報などを記録。図面とデータを合成し、自動で報告書が作成されます。これまで2名で行っていたマンション外壁タイルの打診検査が1名で行えるようになり、さらに事務作業も削減することができます。

人材の需給ギャップを解決したいと会社を設立

――創業までのキャリアを簡単に振り返っていただけますか?

茂手木 大学卒業後、1年ほど会社勤めをしてから2004年に起業しました。当時は企業のホームページやパソコンの導入が盛んな時期でしたので、それらを支援する業務からスタートしたところ、たくさんの仕事をいただくことができました。

ところが技術者が足りず、ご依頼を受けられないことが重なるようになりました。需要があってもそれを担える人材がいない。技術者不足の課題を強く感じました。当社の仕入れ先メーカーも同様の課題を抱えていたことから、徐々に技術者派遣に携わるようになったことが経緯です。

――2012年にM&Aによりアウトソーシンググループに参画した理由は?

茂手木 会社の成長スピードに物足りなさを感じたからです。ITエンジニアのニーズは高く、たくさん人材を確保すれば業績を伸ばすことができましたが、もっとスピーディーに成長したいと考えていました。

上場による資金調達で事業を拡大することも検討しましたが、それよりも潤沢な経営リソースを持っている企業と一緒になるほうが成長スピードが数十倍速いと判断し、アウトソーシンググループに入ることにしました。

私はアウトソーシングテクノロジーの経営者に就任し、アウトソーシンググループのリソースや信用をもとにM&Aや事業投資など、かなり積極的に事業展開させていただいて現在に至っています。

――アウトソーシンググループに参画してからの8年間を振り返っていかがですか?

茂手木 アウトソーシンググループに加わって同社のリソースが活用できたことで、アウトソーシングテクノロジーグループとして拠点は4拠点から全国117拠点に増え、新卒採用のほか中途採用あわせて年間6,000名超を採用するなど、桁違いの成長ができました。さらに、コロナ禍によりDXのニーズがさらに高まっていることから、今後さらに当社が培ってきたものが大いに活かせるチャンスと捉えています。これからやれることの大きさは、8年前と比べて大きく広がっていると感じています。

――最近はM&Aも積極的に行っていますね。

茂手木 はい。全方位で産業毎の課題を解決するために、ここ数年は特定の産業に特化したノウハウを持っている会社のM&Aを中心に行っています。新たに仲間になっていただいた会社さんと当社のテクノロジーを掛け合わせ、お客様に新しい価値を提供することは重要な戦略だと捉えています。

――M&Aに対する世間のイメージは以前と変わりましたか?

茂手木 私がアウトソーシンググループに参画した当時は、一般的にM&Aに対してネガティブイメージがありました。最近はかなり変わってきましたね。お互いに手を組むことでスケールしようというポジティブなM&Aも多くなったというのがここ数年の印象です。M&Aがオープンになってきたことはとても良いことだと思っています。

グローバルな人材プラットフォームをつくる

――経営者として大切にしていることはありますか?

茂手木 足元の事業に深く関心を持たないようにしています。特定の技術や領域を好きになるとこだわりが強くなってしまい、公平な立場で事業を見ることができなくなるからです。スタッフにはそれぞれ興味を持ってやりたいことをしてもらい、私は常に全体を調整できるように心掛けています。

ドライに聞こえるかもしれませんが、最後の決断は私がしなくてはならないことも多いので、自分の気持ちをニュートラルに保つことは経営者として大事なポイントだと考えています。

――最近の技術者派遣業界の動向についてどのように見ていますか?

茂手木 少し前までの技術者派遣は、お客様のニーズに合わせて技術者を派遣することが仕事で、市場は1兆円とも1兆5,000億円ともいわれるなかでのゼロサムゲーム。シェアの奪い合いでした。

ところがRPAの技術者派遣の増加に見られるように、DXの広がりと共にテクノロジーの領域は大きく広がっています。最近では技術者派遣の枠を超えて産業自体の効率化を視野に、すべての産業にアクセスできる状態になっています。

――事業を通じて実現したいことはありますか?

茂手木 グローバルな人材プラットフォームをつくりたいと考えています。技術者が不足しているのは日本だけではありません。世界各国が抱える課題です。一方でアジアや東欧などには仕事が欲しいと思っている技術者がいます。その需給ギャップを埋めて技術者たちに働き甲斐を与えたい。世界規模で働きたい人と働き手を求める企業の架け橋になることにおいて、当社が貢献できることは無限にあると思っています。

当社は急速に事業が伸び、人材の規模も拡大しています。ガバナンスを強化し、グローバル社会の一員として社会貢献することが数年後のビジョンです。

――社長個人として目指す姿がありましたら教えてください。

茂手木 技術者の需給ギャップについては、世界中に課題を感じている経営者さんや技術者の方がたくさんいます。できるだけ早く日本を飛び出し、世界中の企業と手を取り合って大きな力に変えていくことに携わりたいと考えています。

<企業情報>
会社名:株式会社アウトソーシングテクノロジー
URL:https://www.ostechnology.co.jp/
代表者:代表取締役 茂手木 雅樹
設立:2004年12月
事業セグメント:国内技術系アウトソーシング事業
事業詳細:R&Dに特化した【機械・電子・電気・ソフトウェア】の技術者派遣及び開発請負
※次世代自動車・デジタル家電・ロボティクス・医療機器の研究開発、生産、技術開発など
職業紹介業務(専門職の職業紹介)
例:カーオーディオチューナー製造・販売 電子部品、完成品の受託生産(テレビ基板、PC光学ドライブ、無線オーディオ、カメラ、無線監視装置)
企業向けネットワーク、コンピュータ及び情報通信システム関連のハードウェア・ソフトウェア・サービスの輸出入、販売、設計・構築、保守・その他技術サービスなど

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