多額の税金,法人,節税対策
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

節税は、個人はもちろん会社経営者など、誰もが考えることです。

税金の頭を悩ます人や会社は多いと思います。

特に、会社の経営者、役員、財務担当者などにとっては、節税は経営に直接かかわる切実な問題です。

ただし、きちんとした知識の下で、的確な節税を行わないと、自分は「節税」のつもりでやったことを、税務署からは「脱税」と捉えられてしまい、指摘を受けたり、ペナルティが科されたりする場合がありますから、十分な知識が必要です。

ここでは、会社、法人が取るべき「節税対策」とはどのような方法か、どのような方法が有効かなど、詳しくご説明いたします。

法人に関係する税金

節税対策についてご説明する前に、主に法人に課される7つの税金について、ご説明いたします。

法人税は、法人の所得(主に売上-経費)に課される税金です。

税額は、所得金額に法人税率をかけた金額です。

人に課される税金の場合で言えば、「所得税」に当たります。

商法を基礎とする企業会計においては、確定決算における「収益」と「費用」を決算の主な項目としていますが、税法に基づいて法人税を算出する税務会計においては、「所得」と「損金」、「益金」が主な項目となります。

「益金」は「収益」から「益金不算入」を引いて、「益金算入」を加えたものです。

「損金」は、「費用」から「損金不算入」を引いて、「損金算入」を足したものです。

「所得」は「損金」より「益金」が大きい場合の差で、「損金」より「益金」が小さい場合には、赤字となります。

これを式に表すと、以下のようになります。

・収益-益金不算入+益金算入=益金
・費用-損金不算入+損金算入=損金
・益金-損金=所得(ただし益金>損金の場合)
・所得×税率=税額

税率は、以下のとおりです。

資本金が1憶円未満法人では、所得金額800万円以下は「15%」の税額、800万円を超える場合は「25.5%」の税額です。

資本金が1憶円以上の法人では、所得金額に関係なく、一律「25.5%」の税額です。

納付は年に1回で、納める法人税額が20万円を超える場合には、「中間申告」しなければなりません。

法人住民税は、法人が地方自治体に納める税金です。

人に課される税金の場合で言えば、「住民税」に当たります。

この「法人住民税」は、次の3つを合算した金額になります。

均等割(1ヵ月当たり約7万円)と法人割(法人税額×約20%)と利子割(金融機関からの利子×20%)です。

なお、均等割は、たとえ法人が赤字でも、必ず納税しなければなりません。

なお、地方自治体によって、税額はやや異なりますが、大きな税額の違いはありません。

納付は、法人税と同じく、年1回です。

法人事業税は、「所得金額×税率」で計算される金額です。

税率は、2~5.78%の範囲になっています。

この税金は、「損金」(詳しくは後述)として計上することができるために、損金で計上することができれば、次年度の法人税が安くなります。

地方法人税は、「基準法人所得割額又は基準法人収入割額×税率」で計算される税金です。

税率は40%以上で、法人事業税と同額程度です。

この地方法人税も、損金計上することができますので、損金に計上することができれば、次年度の地方法人税が安くなります。

消費税は、「売上×税率」で計算される税金です。

税率は、ご存知のように現在8%ですが、2019年10月から10%に上がる予定です。

固定資産税は、法人が所有する土地や建物などの固定資産に課される税金です。

「固定資産税評価額×標準税率」で計算され、年4回納付します。

所有する固定資産が多いほど、税額は高くなりますから、不動産を購入する場合には、十分注意しなければなりません。

なお、固定資産ですから、「固定資産=不動産」と思っている人が多いかもしれませんが、大きな機械なども固定資産に該当しますから、設備投資を行う際にも注意が必要です。

所得税は、法人が受け取る株式の配当金、金融機関からの利子に対して、課される税金です。

法人税とは別に、配当金、利子などを法人の事業以外で得た収入を所得と見なして、課税されます。

なお、所得税では、利子所得、配当所得、事業所得、給与所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得、退職所得、一時所得、雑所得の10個の所得に対して課税されるものですが、その所得に応じて、計算方法が異なってきます。

例えば、事業所得の場合、収入金額から必要経費を差し引いたものが所得となり、その所得に課税されます。

また、給与所得のように、給与所得控除という「概算経費」を使われる場合もあります。

所得税は、これらの所得を合算して、超過累進税率をかけて税金をかけます。

しかし、分離課税という他の所得とは別に、超過累進税率ではなく、15%などの定率で課税される所得もあります。

節税対策①:キャッシュフローの把握

具体的な節税対策検討し、実行する前に、前もって準備しておくことがあります。

それは、法人の「キャッシュフロー」を的確に把握しておくことです。

この作業を前もってやっておかないと、自分の法人が今後どのような節税対策をやっていけば良いのか、なかなか見えてきません。

ここで「キャッシュフロー」の意味とは、何かですが、これは法人におけるお金の出入りのことです。

このお金の「入り」と「出」をきちんと把握し、お金の「流れ」をきちんとわかっているかどうかで、その後の節税対策の選択と実施の成功が左右されると言っても、過言ではありません。

では、「キャッシュフロー」の把握のために、一体何が必要なのか?それは、「資金繰り表」というものを作成することです。

「資金繰り」、つまりお金がどこから入ってきて、どのような名目で出ていくかという、まさに人間でいえば、血液の流れのようなものです。

この「資金繰り表」ですが、新たに事業を始める、運転資金が不足している等、資金が必要な時に、金融機関から借り入れを行う際にも必要となりますので、この機会に是非作成しておくことをお勧めします。

実際に「資金繰り表」を作成する際には、次の3つのポイントがあります。

それは、「何にいくら資金を使っているのか」、「無駄な出費はないのか」、「回収できる資金は現在あるのか」の3つです。

ます「何にいくら資金を使っているのか」ということですが、法人を運営するに当たり、どの科目、費用、経費にいくら使っているのかを把握することは、基本中の基本です。

また、「無駄な出費はないのか」と言うことですが、事業を行う際に問題となるのは、無駄遣いです。

特に、経営に直結する無駄遣いは、法人の命取りになる可能性がありますので、注意が必要です。

さらに、「回収できる資金は現在あるのか」ですが、売掛金や貸金などを回収できずにそのままにしておくと、これも命取りになる可能性があります。

この3つを意識して「資金繰り表」を作成すれば、法人の資金の流れを把握することができ、自分の会社はどこを重点に置いて、節税すればよいかが見えてくるはずです。

この「資金繰り表」が完成し、法人の「キャッシュフロー」を把握したら、次はいくらいよいよ「節税計画」の作成です。

どこから、どのような順番で節税対策を行えば、効率よく、効果的な節税を行うことができるかを決めていくことになります。

次の項目からは、具体的な節税対策をご説明いたします。

節税対策②:未払い金の扱い

未払い金とは、法人が年度内にサービスを受けるもののうちで、実際の支払いが翌年度になる費用のことを言います。

実際に支払うのは、翌年度になりますが、この未払い金は年度内の「損金」として扱うことができます。

「損金」とは、この後に何度も出てきますが、文字通り「損をしたお金」、つまり出費ということです。

つまり、実際にはお金を支払ってなく、手元にある状態でも、帳簿上では出費として計上できるのです。

「損金」として計上できるということですから、「経費」として売り上げから控除することができ、その分所得を減らすことができます。

つまり、それだけ節税できるということになります。

この方法を取れば、短期的な節税効果が期待できますし、この後の年度以降も続けていけば、その節税効果は、半永久的に持続させることが可能となります。

具体的には、次の費用について、未払い金(損金)として扱うことが一般的です。

・従業員の給与…従業員の12月分の給与などで、支払いが翌年度になる分は年度内の未払い金として、計上することができます。

・不動産などの賃借料…建物や土地に関する12月分の家賃などで、支払いが翌年度になる分は、年度内の未払い金として、計上することができます。

・水道光熱費…法人の経費で、12月分の水道代、電気代、ガス代などで、支払いが翌年度になる分は、年度内の未払い金として、計上することができます。

・通信料…法人の経費で、年払い(年に1回の支払い)にしている通信料などは、1年分の金額を未払い金として、年度内に計上できる可能性があります。

未払い金を年度内に「損金」として計上すれば、損金計上のミスが防ぐことができる、ルールを徹底することで節税計画が立てやすくなる、年度内により多くの現金を保留することができるなど、多くのメリットがあります。

この「未払い金」を利用して、年度内により多くの現金を残すことができれば、その分新規事業に使うなど、ビジネスチャンスが増える可能性があります。

節税対策③:前払い費用の扱い

「前払い費用」とは、法人が支払う費用の中で、支払いを先にして、サービスを後で受ける費用のことです。

先程の「未払い金」の逆だと考えれば、わかりやすいと思います。

この「前払い費用」について、「短期」に該当する費用の場合には、年度内の「損金」として計上することができます。

ただし、この「短期前払い費用」の特例については、以下の条件をすべて満たさないと適用されませんので、注意が必要です。

・費用を支払った日から、1年以内にサービスを受けなければなりません。
・一定の契約に従って、継続的にサービスを受けなければなりません。
・支払額が極端に多くなく、あまり重要性が高くないという基準に該当しなければなりません。
・一度ではなく、今後も同じ支払い方法を継続していかなければなりません。

例えば、ある法人が通信料を今まで毎月の支払いにしていましたが、年払い(年に1回払い)に変更することにします。

このことで、この法人は、決算月の前に通信料を前払いすることになりました。

今後も、同じような支払い方法で、通信料を支払っていく予定です。

上の例では、先程の特例の四つの条件をすべて満たしていますから、「短期前払い費用」の特例の対象となります。

このことによって、通信料を年度内の損金として計上することができますから、次年度に納める税金をその分、抑えることができるのです。

この「短期前払い費用」の特例も、先程の「未払い金」と同様に、継続して行うことができる「節税対策」です。

ただ、この特例を利用する際には、次の点に注意する必要があります。

弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、いわゆる「士業」の報酬については、サービスの質が変わる可能性があるという理由のため、特例に対象外となります。

つまり、士業の仕事は案件ごとに、難易度、内容が変わってくるため、報酬が一定していないということになります。

なお、節税になるからと言って、新たな継続契約を結んでしまうと、かえって余分な費用、手間がかかるなどの恐れがあります。

そうなったら、本末転倒になってしまいますから、注意が必要です。

節税対策④:不良債権の扱い

「債権」とは、法人、または個人にお金を貸し、その返済を求めることができる権利のことです。

この反対が「債務」です。

「債権」はお金を貸したこと、「債務」はお金を借りたことだと思っている人が多いと思いますが、これは正確ではありません。

例えば、AさんがBさんに業務を委託する契約をしたとします。

この場合、Bさんは委託された業務を行わなければなりませんし、AさんはBさんに、委託した業務をやってくれたことに対して、委託料を支払わなければなりません。

もしBさんが契約どおりに業務を行ったのに、AさんがBさんに委託料を支払わなかった場合には、当然BさんはAさんに対して、委託料を請求することができます。

この場合の「請求できる権利」を債権と言うのです。

一方で、先にAさんはBさんに委託料を支払ったのに、Bさんがなかなか委託業務をしてくれないとします。

この場合、AさんはBさんに委託業務を行うように「請求できる権利」があります。

これも、先程と同じく「債権」と言うのです。

法人の場合では、主に売掛金、貸付金などが「債権」に当たります。

「売掛金」とは、先に商品やサービスを提供したにもかかわらず、支払いを後にした状態で、いまだに回収できていない代金などを言います。

継続的な取引がある場合、いちいち商品を引き渡したり、サービスを施したりするたびに、お金を精算していては、煩雑になります。

そこで、一般的には、「月末締め、翌月末払い」などと決めて、一度に代金を精算します。

この場合、商品を引き渡したり、サービスを施していたりしても、まだその代金の支払い時期が来ていないものを売掛金と呼ぶのです。

継続した取引ですから、一度や二度支払いが遅れても、長い付き合いと思って、支払いを待つことが多いと思いますが、さすがに数ヵ月間の支払いがないと、経営を圧迫するだけではなく、「ちゃんと支払ってくれるのか」と疑心暗鬼になってしまいます。

それだけ、どの会社も売掛金には神経質になっています。

売掛金の入金を当てにして、他への支払いを行うつもりなのが、支払いがないばかりに、自分の会社が支払うべき所へ支払えなかった場合には、自分の会社の信用問題になってしまいます。

そういう意味では、特に中小企業においては、売掛金の管理はもちろん、売掛金の対象となっている会社の経営状態にも、いつも気を配っておく必要があります。

「貸付金」は、法人が他の法人や個人にお金を貸した状態で、いまだに返済されていない金銭を言います。

ある程度、経営に余裕が出てくれば、他の会社や個人にお金を貸す場面も出てきます。

特に、長年お世話になっている取引先の会社からお願いされれば、貸さざるを得ない場合も出てきます。

それは、ある意味で仕方のないことで、逆に自分の会社も借りざるを得ないことがあるかもしれないからです。

そして、「不良債権」とは文字どおり、回収することが困難な債権のことです。

売掛金の支払い時期や貸付金の返済時期が経過しているのに、なかなか支払いしてくれない状態を言います。

不良債権は、そのまま回収せず放置しておけば、経営そのものを圧迫することになりかねません。

したがって、早急に回収する必要があります。

しかし、相手方に何度も督促しても、なかなか回収できない場合、あるいは相手の居所がなかなかつかめない場合には、その「不良債権」の回収をあきらめて、「損金」として計上するという方法があります。

ただし、不良債権である売掛金を損金に計上するためには、次の三つの条件をクリアする必要があります。

ア)債権の相手方が失踪したり、死亡したり、行方不明であったりする場合
イ)法律の規定に基づいて、処理した売掛金の場合
ウ)債権の相手方と最後に取引を行ってから、1年以上経過しているような場合

上記のアとイの条件を満たす売掛金は、すぐにでも損金として計上することができます。

もし、色々手を尽くしても回収することが不可能であると判断すれば、早めに損金に計上する方が、法人としても大きなメリットがあるはずです。

ただし、上記のウの場合には、すぐに損金として計上することはできません。

最後の取引から、1年以上経過しなければならいからです。

それでも、回収することができない債権をさらに1年以上も放置することはできないと考える法人も多いと思います。

その場合、「債権放棄」という方法があります。

債権を放棄、つまり債権の相手方に対して、もうこれ以上は請求をしませんという意思表示をすることです。

特に、相手の法人と色々手を尽くしても、一切連絡が取れない、あるいはこれ以上請求すれば、相手が訴訟を起こす可能性があるといったトラブルに発展しそうだなどの場合には、特に債権放棄を検討してみる必要があります。

債権放棄することで、「貸倒金」として計上することができます。

これによって、節税ができるのです。

なお、債権放棄をする場合には、債務者である法人に対し「内容証明郵便」に債権放棄する旨を記載し、発送すれば問題ありません。

これは、電話やはがきだと証拠が残らないからです。

「内容証明郵便」は、同じ文面を3通用意して、郵便局に行き「『内容証明郵便』で送ってください」と依頼します。

この時、「『配達証明』を付けますか」と聞かれます。

「配達証明」とは、相手方に届いた日時を発送者に連絡してくれる制度です。

後で相手方が「そのようなものは受け取っていない」と言われないためにも、是非「配達証明」付きで郵送しましょう。

また、相手方が既に住所地にいない、あるいは何度配達しても不在だった場合には、「内容証明郵便」が戻ってくる場合がありますが、その際にもなぜ戻ってきたのかがわかるようになっていますかから、大切に保管しておきます。

いずれにしても、売掛金を損金に計上するには、後でトラブルにならないためにも、それ相応の証拠を残しておく必要があります。

例えば、計上する前に念のために、再度「請求書」を送り、期日までに回収できなかった証拠を残しておくことも、一つの方法です。

節税対策⑤支出のタイミング

法人の税金は、基本的に収入が多ければ多いほど、高くなります。

したがって、収入を減らせば減らすほど、それだけ税金が安く、節税できることになります。

そのためには、「支出のタイミング」に十分気を付けることが重要です。

例えば、高額な設備や機器を設置する場合、建物の大幅な修繕や修復をする場合、建物を新築する場合、あるいは不動産を購入する場合など、多額な支出がある場合には、その時期を十分検討する必要があります。

そのような場合のタイミングとしては、できるだけ法人の収益が大幅に増える時期に行うことです。

例えば、業績が大きく伸びて、このままいくと、かなりの収益が見込めるような年があったとすれば、そのタイミングで、以前から考えていた設備を購入する、あるいは本社の大幅なメンテナンスを行うなど、多額な支出になるようにするのです。

そうすることで、支出が大幅に増えて、結果的に法人の所得を下げることができ、大幅な節税効果が期待できることになります。

ただ、いくら節税したいがために、やたらと多額な支出は、結果的に法人の経営を苦しめることになります。

あくまでも、決して思いつきではなく、長年検討している設備投資や不動産の購入、ビルのメンテナンスなどを行うべきです。

長期的な視野に立って、多額の設備投資、建物の修繕、不動産の購入を検討する上で、大幅な黒字が見込める時期に行うという観点で、この節税対策を行いましょう。

節税対策⑥減価償却の活用

法人には、建物や大きな機器など、年数を経るごとに、その価値が下がっていく、いわゆる「固定資産」があります。

この固定資産は、1年ごとに資産価値が下がっていきますから、複数年かけて経費として計上することができます。

経費にできるということは、それだけ節税することができるのです。

このような経費の処理方法のことを「減価償却」と言います。

減価償却の計上方法、つまり固定資産を何年で償却、0円にしていくかは、固定資産の種類によって、異なります。

例えば、パソコンは4年、車は6年というように、法律でその資産の「耐用年数」が決められています。

この耐用年数については、「国税庁」のホームページに掲載されています。

以下に、いくつかの例を示します。

※()の中は年数。

1.建物

ア)木造・合成樹脂造のもの

・事務所用のもの(24)
・店舗用・住宅用のもの(22)
・飲食店用のもの(20)
・旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの(17)
・公衆浴場用のもの(12)
・工場用・倉庫用のもの(一般用)(15)

イ)木骨モルタル造のもの

・事務所用のもの(22)
・店舗用・住宅用のもの(20)
・飲食店用のもの(19)
・旅館用・ホテル用・病院用・車庫用のもの(15)
・公衆浴場用のもの(11)
・工場用・倉庫用のもの(一般用)(14)

ウ)鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの

・事務所用のもの(50)

・住宅用のもの(47)

・飲食店用のもの
 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの(34)
 その他のもの(41)

・旅館用・ホテル用のもの
 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの(31)
 その他のもの(39)

・店舗用・病院用のもの(39)

・車庫用のもの(38)

・公衆浴場用のもの(31)

・工場用・倉庫用のもの(一般用)(38)

2.車両

・自動車(2輪・3輪自動車を除く。)
 小型車(総排気量が0.66リットル以下のもの)(4)

・貨物自動車
 ダンプ式のもの(4)
 その他のもの(5)
 報道通信用のもの(5)
 その他のもの(6)

・2輪・3輪自動車(3)

・自転車(2)

・リヤカー(4)

3.器具・備品

ア)家具、電気機器、ガス機器、家庭用品(他に揚げてあるものを除く。)

・事務机、事務いす、キャビネット
 主として金属製のもの(15)
 その他のもの(8)

・応接セット
 接客業用のもの(5)
 その他のもの(8)

・ベッド(8)

・児童用机、いす(5)

・陳列だな、陳列ケース
 冷凍機付・冷蔵機付のもの(6)
 その他のもの(8)

・その他の家具
 接客業用のもの(5)

・その他のもの
 主として金属製のもの(15)
 その他のもの(8)

・ラジオ、テレビジョン、テープレコーダーその他の音響機器(5)

・冷房用・暖房用機器(6)

・電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気・ガス機器(6)

イ)事務機器、通信機器

・謄写機器、タイプライター
 孔版印刷・印書業用のもの(3)
 その他のもの(5)

・電子計算機
 パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)(4)
 その他のもの(5)

引用元:国税庁 耐用年数表

「減価償却費」の具体的な処理方法は、以下のとおりです。

例えば、24万円で新品のパソコンを購入したとします。

先ほど説明したように、パソコンの耐用年数は4年ですから、この24万円を4年かけて、徐々に0円にしていくことになります。

つまり、(24÷4=6)で、1年間に6万円の減価償却費を計上することができます。

そして、5年目以降は、パソコンの耐用年数が終了し、価値が0円になりますので、パソコンとしての減価償却費を計上することができないということです。

一方で、中古のパソコンを購入した場合でも、減価償却費として計上することができます。

中古品の場合の耐用年数は、次のように計算します。

・耐用年数が経過している中古品…耐用年数×20%
・耐用年数が残っている中古品…(耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)

例えば、新品から2年経過した中古車を法人が購入したとします。

新品の耐用年数は6年ですから、購入した中古車の耐用年数は、次のような式で計算することができます。

(6年-2年)+(2年×20%)=4+0.4=4.4年

中古品の耐用年数は、小数点以下は切り捨てになりますから、この中古車の耐用年数は、4年ということになります。

例えば、この中古車が120万円だった場合、(120÷4=30)で、1年で30万円の減価償却費を計上できることになります。

このように、わざわざ新品を購入しなくても、中古品でも減価償却費を計上することができますから、固定資産を購入する際には、中古品を選ぶことも節税対策の一つです。

また、30万円以下の減価償却資産の場合は、複数年にわたって計上する必要はなく、購入した年に一括して損金で計上することができます。

これを「少額減価償却の特例」と言いますが、以下の条件を満たす必要があります。

・法人の資本金が1億円以下であること。
・法人が青色申告をしていること。
・減価償却資産の合計額が300万円以内であること。

このような条件ですから、基本的にこの特例は、中小企業が対象となります。

ただ、節税になるからと言って、無理に減価償却資産を購入することは、法人の経営を圧迫することになりますから、よく考えて購入する必要があります。

節税対策⑦保険の活用

法人が保険に加入することも、節税効果が期待できます。

支払う保険料を経費として計上できる他に、次のようなメリットがあります。

例えば、「中小企業基盤整備機構(中小機構))の「経営セーフティ共済」という保険がありますが、この保険制度に加入すると、取引先の法人が倒産などした場合には、50万円~8,000万円の貸付を受けることができます。

中小企業は、取引先も中小企業の場合が多いので、このような保険に加入しておけば、安心です。

もし取引先の会社が倒産して、仕入れができなくなり、売り上げが落ちても、貸付を受けることで、被害を最小限に食い止めることができます。

この保険の詳細は、次のとおりです。

・借入れ可能金額…掛け金の10倍まで(ただし、上限は8,000万円)
・担保、保証人…不要
・毎月の掛け金…5,000円~20万円(この範囲で自由に設定できる)
・掛け金の上限…800万円
・返済時の金利…約1.0%
・加入条件…事業開始から1年以上経過

このように、掛け金を5,000円から20万円までの範囲で、自由に設定することができますから、売り上げが高い年には、掛け金を多めにすることで、節税対策となります。

さらに、この保険に加入して、12ヵ月以上掛け金を支払い続ければ、解約の際に、「解約返戻金」が受け取れます。

通常の解約の場合、支払期間に応じて、次のような「解約返戻金(払い戻し率)」の金額が規定されています。

・支払い期間(1ヵ月~11ヵ月)…0%
・支払い期間(12ヵ月~23ヵ月)…80%
・支払い期間(23ヵ月~29ヵ月)…85%
・支払い期間(30ヵ月~35ヵ月)…90%
・支払い期間(36ヵ月~39ヵ月)…95%
・支払い期間(40ヵ月以上)…100%

つまり、40ヵ月以上支払いを続けていれば、支払った掛け金を無駄にすることはありません。

しかも、月々の掛け金を損金に計上できますから、節税することもできます。

ただ、月々の掛金の上限は20万円という決まりですから、年間に損金として計上できる金額は、最大でも240万円となります。

この中小企業倒産防止共済掛金で、貸付を受けられるような場合は、以下のとおりです。

・取引先が、取引停止処分を受けた場合。
・取引先が、私的整理をした場合。
・取引先が、破産手続きを開始した場合。
・取引先が、災害によって不渡りを出した場合。
・取引先が、特定災害によって、支払い不能の状態に陥った場合。

上記のとおり、例えば、取引先が自らの意思で、夜逃げをしたような場合には、貸付が適用されませんので、その点は注意しておく必要があります。

また、法人保険というものもあります。

これは、法人に向けの生命保険・医療保険のことですが、この保険の特長は支払った保険料の2分の1は損金として計上できることです。

しかし、この保険の場合、後で保険金や解約返戻金を受け取った場合、「益金」、つまり「収入」となることです。

したがって、保険金を支払っている段階では「節税」になりますが、保険金や解約返戻金を受け取ると、逆に税金を余分に支払うことになりますので、十分注意が必要です。

法人保険を節税対策として活用するためには、被保険者へ退職金を支給するなどの工夫が必要です。

以上、2つの保険をご紹介しましたが、保険を使って節税対策を行う場合、以下の条件をクリアする保険であることが大切です。

・保険に解約返戻金があること。
・税制改正によるリスクが少ない保険であること。
・節税面以外にもメリットがある保険であること。

なお、法人が保険に加入するメリットは、節税以外にも次のような事柄があります。

・医療保障や賠償保障などが備わっており、経営の上で安心できる
・解約返戻金を利用することで、資金調達ができる
・保険が充実していることで、従業員が安心できる

節税対策⑧役員給与の扱い

法人の人件費の中で、最も高額な費用の一つは、役員の給与です。

この役員の給与を「定期同額給与」という方式に変更することで、給与を「損金」に計上することができるのです。

つまり、節税することができます。

この「定期同額給与」とは、毎月決まった額を役員に支給することです。

また、役員の賞与(ボーナス)についても、次の条件を満たせば、損金として計上でき、節税対策となります。

・年度開始から4ヵ月以内に、金額、支給時期を決定しておく。
・金額、支給時期を年度開始から4ヵ月以内に、税務署に届け出る。
・届け出たとおりに、役員の賞与を支給する。

このような役員の賞与を「事前確定届出給与」と言いますが、上記の条件が設定されているのは、役員に対して、できるだけ多額の賞与を設定し、大きな節税を行うといった「不正」を防ぐためです。

もし、税務署に届け出た金額、支給時期と異なって支給されれば、損金として計上できませんから、十分注意する必要があります。

節税対策⑨決算賞与の扱い

従業員の賞与も、法人の人件費うち、大きな比率を占めます。

仮に決算期間近であっても、従業員に対して「決算賞与」として支給すれば、その金額を損金として計上でき、節税対策となります。

ただし、「決算賞与」を損金として計上するには、次のような条件が必要です。

・法人が賞与を全部の従業員に支給すること
・法人が、全従業員に対して、決算期までに支給額を通知すること
・法人が、決算期末1ヵ月以内に、賞与を支給すること

この「決算賞与」は、決算の直前でも実施できる方法です。

したがって、次年度の資金繰りを考えて、駆け込みで行うことも可能です。

節税対策⑩資産の見直し

法人が持っている資産を見直すことで、節税対策となる場合もあります。

資産に係る「売却損」、「除却損(廃棄損)」、「評価損」を計上すれば、所得額が減り、節税することができます。

まず「売却損」ですが、これは帳簿価格よりも安い価格で、資産を売却した場合、その差額である損失のことです。

「除却損(廃棄損)」は、資産を廃棄する際に発生する損失のことです。

また、「評価損」は、これは帳簿価格よりも安い価格で、有価証券などを売却した場合、その差額である損失のことです。

つまり、法人が保有している資産を売却したり、処分したりする際に、上記の損金を計上できる可能性があるということになります。

一度法人の資産を見直して、売却や処分を行う必要があります。

その際に、不要固定資産と棚卸資産という点に注目して、検討してみましょう。

まず「不要固定資産」ですが、これは、現在では法人に事業に関して使用していない固定資産のことです。

例えば、既に使わなくなったパソコン、支店を閉鎖した法人の店舗などです。

このような資産がある場合、帳簿価格よりも安く売れば、その差額を「売却損」として計上できます。

また、処分、破棄をした場合には、「除去損」として計上できます。

この場合、ソフトウェアなどの無形の固定資産を処分した場合でも、計上することができます。

ただし、「除去損」として計上する場合には、廃棄した証拠を残しておく、無形の固定資産については今後使用しないことを明確にするといった条件を満たす必要があります。

また、固定資産が天災などで破損して、資産価値が大幅に下がった場合には、その下がった価格分を評価損として、計上することができます。

もう一つの「棚卸資産」ですが、これは、法人が持っている商品、製品、原材料、仕掛け品などで、言い換えれば「在庫」のことです。

もし在庫の商品、製品をセールなどで安く販売すれば、その差額は「売却損」として計上できます。

また、在庫の商品、製品などを処分すれば、「廃棄損」として計上できます。

さらに、棚卸資産が帳簿価格よりも下がれば、「評価損」として計上することができますが、この場合、次の3つの条件を満たす必要があります。

・棚卸資産が天災などで大幅に損傷したこと
・棚卸資産が大幅に陳腐化したこと
・棚卸資産が破損、品質変化、型崩れを起こしたこと

実際に使っていない固定資産や棚卸資産は、思い切った売却したり、処分したりすることで、節税対策となります。

特に、不要な不動産は使わなくても経費が必要ですし、在庫は売れないままでも保管料などが必要になりますから、早急に処分を検討することをお勧めします。

節税対策⑪事業年度の変更

通常、法人の事業年度は、「4月1日~翌年3月31日」です。

ただ、これは国の事業年度に合わせたもので、法人で、例えば「1月1日~12月31日」としても構いません。

つまり、法人で決めることができるのです。

もし現在、決算時期と繁忙期とが同じ時期であれば、事業年度を変更してみることも、節税対策となり得ます。

決算時期だと、どうしても節税対策に取り組む時間も、精神的な余裕もありません。

そこで、繁忙時になりかかる時期を事業年度の開始にして、繁忙期を過ぎた事業年度の途中で、節税対策を講じることができるはずです。

ただし、事業年度は、法人の定款で規定しているはずですから、株主総会などの決定機関で提案して、承認を得る必要があります。

主な手続きの流れは、次のとおりです。

・株主総会を開催し、議決権の過半数を持つ株主に出席してもらう
・事業年度の変更を提案し、3分の2以上の賛成を得る
・株主総会の議事録を作成する
・税務署に定款の変更を届け出る

節税対策⑫:車両の受け入れ

「車両の受け入れ」によって、節税できることもあります。

例えば、個人が所有する自家用車でも、法人の「商用車」として使用することで、車の購入代金を経費にして処理することできます。

他にも、ガソリン代、自動車保険の掛け金、高速道路料金、駐車場代など、すべて経費として計上できるため、節税できるのです。

自家用車を所有している人は、自動車保険料とのバランスを考えながら、車両の受け入れを検討する必要があります。

なお、自家用車を社用車にする場合には、「法人名義」で車両を登録した方が良いでしょう。

これは、税務署が法人の調査に入ることを念頭に置いたものです。

また、自家用車を社用車にした場合、自動車保険のプランが変わり、保険料が高くなる可能性があります。

ですから、実際に社用車にする前に、保険会社の担当者に相談をした上で、決めた方が良いでしょう。

また、購入する車が、新車なのか、それとも中古車なのかによって、節税の効果が異なります。

減価償却ともかかわってきますので、十分に検討した上で、決めた方が良いでしょう。

節税対策⑬:広告宣伝費の活用

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

広告宣伝費を活用して、節税する方法があります。

なぜなら、広告宣伝の範囲はかなり広く、費用が大きければ、高額の経費を計上することができるからです。

一言で、広告宣伝費と言っても、次のように、実に多種多彩です。

・新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどで広告宣伝する費用
・ポスター、チラシ、ダイレクトメールにかかる作成や印刷、発送などの費用
・会社案内、パンフレット、カタログにかかる作成や印刷、発送などの費用
・求人広告費用
・ホームページ作成費用
・リスティング広告やバナー広告などのネット広告費用
・社名入りのカレンダー、手帳、ボールペンなどの作成費用

例えば、東京の大動脈「山手線」の中吊り広告は、平日2日間だけで、シングル(片面)210万円、ワイド広告には420万円の費用が、かかります。

また、都バスのフルラッピング広告の場合、平均60~400万円(年間)の費用です。

なお、高額な宣伝媒体の代表格である新聞やテレビCMでは、新聞は見開きセンター広告で2,000万円~4,000万、テレビは1回のスポットCMで40万円~60万円程度かかるといわれています。

また最近は、ネット広告が主流になっていまが、「Yahoo!JAPAN」のトップページに1週間広告(大型のバナー)を掲載すれば、約850万円の費用がかかります。

一方では、地域の折り込みチラシ、フリーペーパー、ダイレクトメール、メール広告などは、それほど高額ではありません。

節税対策⑭:教材・商材に購入

高額な教材、商材を購入することで、節税になります。

高額な教材、商材とは、例えば社内で使うソフトウェア、社内教育に使用する教材、仕事をする上で役に立つ書籍・その他資料などです。

もし必要な教材、商材があれば、期末にまとめて購入することで、経費として計上し、節税することができるはずです。

ただ、あまりに高額な教材や商材を購入すると、これは費用なのか、それとも一括償却資産になるのか、あるいは固定資産税、または「少額減価償却資産の特例」が適用になるのかなど、色々と問題が出てきます。

それぞれ費用や処理方法をきちんと理解した上で、どの科目に計上できるのか、どのように処理したら適切かなど、十分に注意する必要があります。

以下に、金額の処理方法をまとめています。

・経費…10万円まで
・一括償却資産…20万円まで
・少額減価償却資産の特例…30万円まで(中小企業のみ)
・固定資産…30万円以上の可能

以上のように、10万円までの経費は、費用として処理できます。

しかし、利益を出したい時には、一括償却資産、あるいは固定資産としても計上できます。

また、購入価格が、20万円未満の減価償却資産は、「一括償却資産」となります。

この場合、一般的に、3年かけて減価償却を行います。

なお、少額減価償却資産と固定資産は、「固定資産税」が課せられますので、注意しましょう。

節税対策⑮:社員旅行の実施

社員と一緒に出かける社員旅行は、福利厚生費として計上できますので、実施することで、節税対策になります。

ただし、社員旅行という名前で、何週間、何ヵ月も旅行に出かけてしまっては、きちんとした経費とは、認められません。

したがって、福利厚生費として計上できるようにするためには、以下の要件を満たしていなければなりません。

社員旅行・慰安旅行の定義とは、

・旅行期間は4泊5日まで
・全従業員の半数以上が参加していること
・支店、部署ごとの社員旅行・慰安旅行についても、半数以上が参加していること
・原則的に1人10万円までの社員旅行・慰安旅行であること

※金額は税法で特に決められていないので、あくまでも目安の金額

となっています。

ただし、金額については、税法では具体的な決まりがありません。

したがって、「原則10万円以下」を基準にすることが、望ましいということになります。

また、「福利厚生費」として計上できるものは、社員旅行・慰安旅行以外に、親睦会、新宴会、忘年会などがあります。

以下に、「福利厚生費」に該当するものを列記いたします。

・社員旅行・慰安旅行
・出張手当
・交通費(公共交通機関を利用する場合は、1ヵ月10万円まで)
・保養所・別荘
・社宅(賃料の50~80%)
・新年会、忘年会、親睦会
・残業代の食事
・クラブ・サークル代
・資格取得資金

なお、福利厚生には、「平等性」がなければなりません。

従業員の一人一人が、公平になるようにして、特定の従業員だけが優遇されては、福利厚生の意味がなくなります

さらに、費用の限度額については、社会通念上で妥当とされる金額によって、「福利厚生費」とするようにしなければなりません。

節税対策⑯:別会社の設立

会社の経営が順調であれば、という条件付きになりますが、別会社を設立することで、大きな節税効果が生まれます。

まず、別会社を設立することが節税につながる理由ですが、以下の8つの理由があります。

①軽減税率が適用されることになる
②消費税が免税されることになる
③退職金などの費用を計上することができる
④二つに会社の決算日をずらすことで、二社の間で利益が回転できる
⑤関連会社の共同購入を経費として計上することが可能になる
⑥交際費が多く使えるようになる
⑦特例の適用効果が増えることになる
⑧独立採算によって、経営が効率化されることになる

それでは、一つ一つ見てきましょう。

①軽減税率が適用されることになる

資本金が1億円以下の会社の場合で、年800万円までの所得については、15.0%の軽減税率が適用されることになります。

これにより、子会社の数をできるだけ多くすることで、その分の軽減税率により、節税対策が行えることになるのです。

②消費税が免税されることになる

新たに会社を設立した場合には、設立から2期までの間は、免税事業者となり、消費税は免除、つまり支払わなくてもいいことになります。

また、年間の売上高が、1,000万円未満の場合には、消費税がずっと免除されるますので、それだけで大きな節税効果が、期待できることになります。

③退職金などの費用を計上することができる

同族会社、つまり家族や親族で会社を経営しているような場合には、現在の会社を退職して、新たに設立した会社に入社するという方法を取れば、その人に退職金を支払うことができます。

この退職金を経費に上げることができますから、その分の節税ができます。

④二つに会社の決算日をずらすことで、二社の間で利益が回転できる

現在の親会社と、新たに設立する子会社の決算日を大きく引き離すことで、仕事を二社の間で発注し合うことができます。

これにより、利益をうまく回転させることができますから、利益を受ける側の会社が、お金の流れをコントロールすることが容易になります。

⑤関連会社の共同購入を経費として計上することが可能になる

先程もご説明しましたが、中小企業の場合には、30万円未満の少額減価償却資産は、その全額を経費として、計上することができます。

新たに子会社を設立して、共同で資産を購入すれば、30万の二倍、60万円まで、経費として計上することができることになります。

それによって、必要な備品を効率よく購入できるだけでなく、設備投資も確実に行うことができます。

⑥交際費が多く使えるようになる

新しく設立した会社でも、今までの会社以外に、交際費、接待費として使える枠が、大きくなります。

したがって、子会社と親会社とで合算すれば、今までよりも多くの交際費、接待費が使えることになります。

⑦特例の適用効果が増えることになる

景気対策の一環として、一時的ではありますが、「新たな会社の設立」に対して、特例が設けられることがあります。

例えば、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という制度では、取得価額が30万円未満である減価償却資産の場合は、1年間で最大300万円までは、損金として計上することが認められているのです。

これにより、親会社と子会社の二社分になると、1年間で最大600万円までを損金として計上できることになります。

⑧独立採算によって、経営が効率化されることになる

親会社とは別に、新たに会社を設立して、子会社を作れば、「独立採算制」を取ることができます。

これによって、部門ごとの損益が明確になりますから、今まで以上に効率の良い経営を行うことができます。

なお、この節税方法、子会社を設立する方法がお勧めの規模の会社、時期などは、以下のとおりです。

・事業規模…中小企業から大企業まで
・節税できる額…それぞれの会社の規模や数によって異なる
・おすすめ時期…一般的に設立はいつでも構わないが、親会社の決算時期とできるだけ引き離して設立した方は効果が大きい
・メリット…節税効果が大きくなり、税率が低くなる。

また、交際費、経費などが今までよりも多く使うことができる。

さらに、特例措置の恩恵を受けることができる

・デメリット…会社が増えることで、地方税の負担が増えることになる。

また、赤字の場合は、節税ができなくなる。

さらに、消費税の還付が受けられないことになる

また、子会社の規模、事業内容にもよりますが、設立することで、「人材確保の助成金」を 受けることもできます。

まとめ

法人の節税対策は、いかに所得を減らすかという一言に尽きます。

そのためには、まず法人の「キャッシュフロー」を今一度洗い直し、現金と「出」と「入り」をもう一度検討します。

また、未払い金、前払い金、保険を上手く処理したり、あるいは不要な固定資産を売却、処分したりなど、様々な方法があります。

自分の法人の実情に合った方法を施していくことが大切です。(提供:ベンチャーサポート税理士法人