法人税,節税,方法一覧
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

会社を経営するうえで大きな悩みとなるのが、税金の負担が大きいことです。

会社として利益が出なければお金が無くなってしまいますが、儲かっても税金を支払うと結局お金が無くなってしまうため、利益を出したうえで何とか節税をしたいと考えるのが普通です。

ここでは、法人税を節税する方法を解説していきます。

法人税の節税に必要な知識もあわせて解説するので、これから会社を大きくしていきたいと考えている人は、これらの知識を活かした経営を行ってください。

法人税を節税するために重要な「所得」とは

ほとんどの人は、法人税の額を減らすためには、会社の利益が減ればいいはずと考えると思います。

この考え方自体は大きくは間違っていないのですが、厳密には会社の利益が減っても法人税が減らないケースがあるため、まずは法人税の計算の基礎となる金額について説明します。

実は法人税の額は、会社の利益に税率を乗じて求めているわけではありません。

法人税の額を計算する際には、利益とは異なる「所得」に税率を乗じています。

「利益の金額=収益-費用」で計算されるのと同じように、「所得の金額=益金-損金」として計算されます。

所得金額を求めるためには、何が益金や損金になるかを把握しなければなりませんが、その内容は法人税法や関連する法令に規定されています。

会社が作成して金融機関や株主などに公表する決算書は、会社法や様々な会計基準にしたがって作成されるため、所得と利益の額はぴったり一致することはありません。

法人税法にもとづいて計算する所得の大きな特徴は、見積計算を認めないことです。

例えば、会社の決算書に賞与引当金が計上されているかと思います。

この賞与引当金は、翌事業年度に支払われる賞与のうち、当該事業年度の費用とすべき金額を決算書上に計上しているものです。

実際には賞与は支払われていませんし、どの程度の額が支払われるのかも確定していませんが、合理的に見積もった金額を決算書上に計上すべきとされているのです。

これに対して、法人税法は賞与引当金を認めません。

どれだけ決算書に賞与引当金が計上されていても、それに伴って発生した金額を所得から控除することはできません。

賞与に関して法人税法が損金とすることを認めるのは、実際に支払った金額だけなのです。

いくら賞与引当金を計上して会社の利益を抑えたとしても、法人税は少なくなりません。

肝心なのは所得をいかに少なくするかです。

特に、決算書上は費用として認められるものであっても、法人税法上は損金にならないものが多くあるため、これらの金額に注意しなければならないのです。

具体的な節税の方法⑴支出金額ゼロでできる節税

まずは、損金を増やすために支出をすることなく法人税を抑える方法です。

そんなにいい方法があるのかと思われるかもしれませんが、何か特別なことをするわけではありません。

資本金が1億円を超える法人が、その資本金を1億円以下にするだけです。

法人税法上、資本金が1億円を超える会社を大法人といい、1億円以下の会社を中小法人といいます。

法人税法の取扱いは、資本金の額が1億円を超えるか1億円以下であるかによって大きく異なります。

税率の違い

大法人の法人税率は23.2%です。

一方、中小法人の場合、所得金額が年800万円までは15%(2019年4月1日開始事業年度以降は19%)、所得金額が年800万円を超える部分については大法人と同じ23.2%となります。

年800万円までの所得について、大法人と中小法人では法人税額が約65万円(2019年4月1日開始事業年度以降は約32万円)もの差があるのです。

また、事業税や住民税についても、資本金の額が1億円を超えると中小法人に適用されるより高い税率(超過税率)が課される自治体があります。

交際費の定額控除限度額

大法人が支出する交際費は、接待飲食費を除いて原則損金にはなりません。

これに対して中小法人の場合、年間800万円までの金額であれば内容に関わらず損金となります。

まとまった交際費の支出がある大法人の場合、中小法人になることで税負担を減らすことができます。

繰越欠損金の控除限度額

法人の所得がマイナスになると、法人税は発生しません。

また、青色申告の承認を受けている法人であれば、マイナスとなった金額は翌年度以降10年間繰り越すことができ、翌年度に発生した所得金額から控除することができます。

この時、中小法人であれば、発生した所得金額の全額を前年度から繰り越された欠損金で控除することができるため、法人税がゼロになることもあります。

しかし大法人の場合、繰越欠損金が多額あっても、発生した所得の50%までしか控除することができず、法人税がゼロになることはありません。

欠損金の繰り戻し還付

法人の所得は毎年変動するため、前期に所得が発生して法人税を納めていたが、今期は所得がマイナスとなって法人税が発生しないということがあります。

この時、青色申告の承認を受けている中小法人であれば、前期に納付した法人税の額を今期の赤字(欠損金)を使って還付してもらうことができます。

この制度を欠損金の繰り戻し還付といいます。

欠損金の繰り戻し還付を受けるためには、法人税の申告書とは別に繰り戻し還付の請求書を提出しなければなりません。

繰り戻し還付を受けなければ欠損金は繰り越されて、翌期以降の所得から控除されますが、必ずしも所得が発生するとは限りません。

また、赤字となって資金繰りが厳しい状況の中で、前期に支払った法人税を還付してもらうのは大きな意味があります。

この欠損金の繰り戻し還付は、大法人の場合、適用を受けることができません。

貸倒引当金の計上

この内容は後で詳しく説明します。

減資をするために大きな支出は必要ありません。

ただ、公告や債権者保護のプロセスを経なければならないため、1か月以上の時間が必要です。

減資の手続きをするのであれば早めに準備をしておきましょう。

具体的な節税の方法⑵損金を増やして節税

法人税,節税,方法一覧
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

法人税法の計算の基礎となる所得金額を減らせば、法人税法の額も減ります。

所得金額を減らす方法として最も簡単なものは、損金を増やすことです。

ただ、損金を増やすために必要のないものを購入したり、人件費を増やしたりしていては、支出の増加でかえって資金繰りに苦労することとなってしまいます。

現在の支出や会計処理を見直して、損金を増やす方法がないか考えてみましょう。

売掛金などの債権を適正に評価

売掛金や受取手形などの債権について、法的に回収ができない場合や、資金繰りなどの影響で回収が滞っている場合には、その債権の一部ないし全部を貸倒損失として処理し、あるいは貸倒引当金を計上して損金とすることができます。

貸倒損失を計上する場合

貸倒損失を計上するケースには、大きく分けて3つのパターンがあります。

(イ)貸倒損失を計上しなければならないケース

決算書上は貸倒損失を計上していなくても、法人税申告書を作成するうえでは貸倒損失として損金計上しなければならない場合です。

貸倒損失として損金処理しなければならないのは以下のような場合です。

A法的整理により債権額の切捨てが決まった場合

取引先が破産手続きや民事再生を行ったことにより、保有する債権の一部が切り捨てられることがあります。

この場合、その切り捨てられた部分は回収不可能となるため、貸倒損失として損金の額に算入します。

B債権者集会等で債権額の切捨てが決まった場合

債権者集会で債権の切捨てが決定されると、Aの場合と同様に債権の回収はできなくなります。

そのため、切り捨てられた部分の金額を貸倒損失として損金の額に算入します。

C取引先の債務超過が相当期間継続しており、その間回収努力をしたが回収できないため、内容証明郵便で債務免除を通達した場合

取引先から期日どおりに債権の回収ができないことは、決して珍しいことではありません。

しかし、債権の回収ができないからといってすべての場合に貸倒損失が認められるわけではありません。

債務超過の状態が相当期間継続しており、債権の回収が不可能であると認められる場合のみ、債務免除の通知に記載した金額を貸倒損失として損金処理することが認められます。

ただ、実際には取引先が債務超過に陥っていることを確認するのは簡単なことではありません。

仮に決算書を入手できたとしても、その決算書に計上されている土地や有価証券などの資産を時価で評価しなければならないため、そのハードルは非常に高いものとなります。

もし、債務超過となっていない取引先に債務免除を行い、貸倒損失として損金処理してしまうと、損金と認められない金額が発生する可能性があります。

特にCのケースについては慎重に判断する必要があります。

これらのケースに該当する貸倒れが発生したときは、必ず損金処理する必要があります。

もしその処理を忘れてしまった場合は翌年に貸倒れ処理すればいい、というわけにはいきません。

もし貸倒れの事実が発生した年度に損金処理を忘れてしまった場合、当初提出した申告書を正しい内容に修正する手続き(更正の請求といいます。)を経なければならなくなります。

更正の請求を行うには余分に書類を作成する必要があるほか、税務調査の呼び水となってしまう可能性もあるため、貸倒れの事実が発生した際には忘れずに損金処理しましょう。

(ロ)損金計上できるもの

債務者の資産状況、支払い能力などを鑑みて債権の回収が不能となる事実が明らかになった場合、その事実が明らかになった事業年度において貸倒損失として損金処理することができます。

担保があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金処理することはできません。

回収不能となる事実とは、債務超過や破産、強制執行に限らず、経営者の死亡や行方不明、天災や震災の発生、経済状況の急変などが考えられます。

ただし、実際にはこれ以外にも様々な要因で債権の回収が不能となるケースがあります。

どのような理由で債権回収が不可能となったのか、その理由が分かるように書類を整えておかなければなりません。

また、その判断は客観的な事実にもとづくものである必要があります。

(ハ)損金計上が認められるもの

継続的に取引を行っている取引先の資産状況や支払い能力が低下したために取引を停止した場合で、その取引先との最後の取引から1年以上経過したときには、その時点での売掛債権の残高から1円の備忘価額を控除した残額を貸倒損失として損金処理することが認められます。

担保がある場合には担保の処分を行い、それでも回収しきれない金額を貸倒損失とすることができます。

この取引には、取引先への売上の計上だけでなく債務者からの代金の回収も含まれます。

そのため、わずかな金額でも弁済を行っている債務者についてはこの規定を根拠に貸倒損失を計上することはできないため注意が必要です。

また、遠方の取引先からの債権回収が滞っている場合には特別な規定があります。

同一地域の債務者から債権の回収を行う際に、その債権の取り立てに要する旅費などの方が債権の額より大きい場合で、督促を行っても回収ができない場合には、その売掛債権の残高から備忘価額1円を控除した残額を貸倒損失として損金処理することができます。

いずれの場合も、継続的な取引を行っている相手先であることが条件となっています。

不動産の売買代金や貸付金の回収不能についてはこの規定を適用することができないため、誤って適用することのないようにしましょう。

ロ貸倒引当金

債権額のうち一定の割合の金額について、将来的に回収できない可能性があることを見越して、あらかじめ費用計上しておくことがあります。

これを貸倒引当金といいます。

税法上、貸倒引当金の計上方法には大きく2つの方法があり、損金算入が認められる金額の上限が定められています。

(イ)個別貸倒引当金

債務者が破産手続きの開始や再生手続開始を申し立てた場合、更生計画認可の決定を受けた場合など、今後債権金額の回収が極めて困難になると予想される場合には、その事由ごとに一定額の貸倒引当金を計上し損金とすることが認められます。

A更生計画認可決定、再生計画認可決定、特別清算に係る協定の認可決定等

金銭債権の額のうち5年を経過するまでに弁済を受けることとなっている金額を控除した残額について、貸倒引当金を計上することができます。

B債務者の債務超過が相当期間継続し事業に好転の見通しがないこと、また災害や経済事情の急変により多大な損害が生じたことなどの理由で、金銭債権の一部につき回収の見込みがない場合

金銭債権のうち当該回収の見込みがない金額について、貸倒引当金を計上することができます。

C更生手続き開始、再生手続き開始、破産手続き開始、特別清算開始の各申立て等

金銭債権の額の50%に相当する金額について、貸倒引当金を計上することができます。

A、B、Cいずれの場合も、担保がある場合にはその担保を処分し、金銭債権の弁済に充当できると見込まれる金額を控除した後の金額となります。

(ロ)一括貸倒引当金

個別に回収不能と見込まれる事情は発生していないが、過去の回収実績などを踏まえて、一定額が回収不能となることを想定して計上する引当金です。

法人税法上は、2つの繰入率のいずれかを選択することができます。

A実積率

過去3年間の貸倒損失の発生額と金銭債権の残高から何%程度の債権が将来的に貸倒れとなる見込みがあるかを計算し、貸倒引当金を計上する方法です。

B法定繰入率

法人税法上、業種ごとに繰入率を定めているため、その率を金銭債権の残高に乗じて貸倒引当金の額を計算する方法です。

業種 法定繰入率(%)
卸売業及び小売業 1
製造業 0.8
金融業及び保険業 0.3
割賦販売小売業 1.3
その他の事業 0.6

法定繰入率を用いれば、過去3年間に貸倒れの実績がない法人でも貸倒引当金を計上することができます。

貸倒引当金を計上して損金算入が認められるのは、中小法人に限られます。

大法人については、個別貸倒引当金・一括貸倒引当金のいずれも損金としては認められないため、間違えないようにしましょう。

在庫や貯蔵品の見直し

会社に保管されている在庫品については、仕入れた金額より高い金額で売ることで利益の源泉となります。

しかし中には、思ったような金額で売却することができず、そのまま保管されていることがあります。

在庫は会社においてあっても何の利益も生み出しません。

そこで、売れ残った在庫を処理することで会社の利益を圧縮し、法人税の節税につなげる方法がります。

イ値引き販売を行う

仕入れた金額より安い金額でもいいので、今ある在庫を処分することです。

商品のまま置いてあると、将来定価で売れるかもしれないという淡い期待をしてしまうものですが、実際にはその値段で売れなかったために在庫となってしまっているのです。

そのまま置いておいても、会社に利益にもなりませんし、節税につながるわけでもありません。

安い値段でもいいので、今ある在庫を現金に換えることが重要となります。

仕入金額より安く売ることができれば、その分会社の利益を減らすことができ、節税につながります。

また、現金収入を確保することができるため、納税資金や新たな商品の仕入代金を確保することが可能となるのです。

値引き販売とは違う方法で在庫の処分を行っても、節税にはならないケースがあります。

例えば、今ある在庫はそれほど安売りしない代わりに、次回来店時に使えるクーポンを渡し、あるいは次回以降に利用可能なポイントを通常より多く付与するといった方法です。

このような形で在庫を処分した場合、今後の来客が増加する可能性はありますが、ただちに節税につながることはありません。

節税を意識して在庫の処分を行うのであれば、まずは値引き販売を行うと覚えておきましょう。

ロ商品を廃棄する

在庫を決算セールのような形で値引き販売しても売れ残ってしまう場合、あるいはブランド価値を維持するために値引き販売を行わないこととしている場合などは、在庫の商品を単純に安売りすることはできません。

しかし、在庫をそのまま持っていても法人にとっていいことはないため、廃棄処分する必要が出てきます。

在庫を廃棄処分する際には、産廃業者からマニフェストと呼ばれる廃棄証明書を入手しなければなりません。

また、廃棄する商品の写真を残しておくことで、どれだけの商品を廃棄したかをより分かりやすく証明することができます。

商品の廃棄損がある場合、税務調査があれば間違いなく論点となります。

その際、マニフェストなどの書類がない状態で廃棄したことを証明するのは難しいため、証拠書類は確実に残しておきましょう。

ハ商品評価損を計上する

決算書に載っている商品の評価額は、実際にその商品を購入した際の仕入金額をもとにしています。

長年売れ残っているような商品は、実際にはそれだけの価値がない場合がほとんどですが、在庫の評価を行わずに購入時の評価のまま決算書に計上している会社が圧倒的に多いかと思います。

これは、法人税法が規定する在庫の法定評価方法が最終仕入原価法となっているためです。

最終仕入原価法とは、同じ種類の在庫については、その事業年度中に仕入れた金額のうち最後に仕入れた金額(単価)を用いて評価を行う方法です。

当初仕入れた金額から評価額を変える必要はなく、購入時の金額が後から見ても分かる利点があります。

しかし、実際には仕入金額以下の金額でしか売れないと分かっていても、実際の仕入金額で評価しなければならないため、会社にとっては損失の計上が先送りになっているような状況です。

そこで、まずは在庫の評価方法についての届出書を税務署に提出し、低価法を選択できるようにします。

低価法を採用すれば、在庫の評価額が下がっている場合にはその下がった金額で評価を行い、仕入金額との差額を商品評価損として損金計上できるのです。

商品を決算セールなどで安売りしている場合には、そのセール価格を時価とすることができます。

低価法を採用すると、当初の仕入金額より低くなった時価がいくらかという点で税務署と見解の相違がみられるケースが多々ありました。

しかし、セール価格であれば客観的な材料となるため、税務署に対抗することができます。

決算セールを行って、その後評価損を計上するという流れで、節税を行うようにしましょう。

有価証券の時価評価

会社で有価証券を保有している場合があると思います。

有価証券については、商品と同じく購入時の価額で評価するのが法人税法上の考え方です。

しかし、保有している有価証券や投資信託、社債などの時価が大きく目減りしてしまうことも珍しくないため、損出しする方法を考えます。

イ有価証券を売却して売却損を計上する

もっとも単純な方法ですが、現金を増やすことができるうえ、税務上の争点となることもないため、確実に節税効果を期待できる方法です。

もう少し待てば含み損が解消するかもしれないと考えると、含み損を抱える有価証券を売却するのは葛藤があるかと思いますが、法人税額を減らしたうえで納税資金を確保できること、また本業に影響のない部分での節税ができることから、節税策を検討しているのであれば積極的に実行すべきです。

ロ有価証券評価損を計上する

売却したくても売却できない株式や、買手がつかない株式については、評価損を計上することを検討します。

ただし法人税法上は、有価証券評価損の計上は原則認められないため、計上にあたっては多くの要件をクリアしなければなりません。

(イ)上場有価証券の場合

上場有価証券の場合は、取引所で形成された客観的な時価が存在します。

そのため、取得価額と決算日時点の時価を比較して、時価が取得価額の50%を超えて下落していること、時価の回復の見込みがないことをもって、有価証券評価損を計上することができます。

このうち回復する可能性がないことを証明するのは、どうしても主観的な判断に陥りやすいといえます。

以前は2期連続して決算時点で50%を超えて下落していることを判断材料の1つにするといった考え方もありましたが、現在では証券アナリストなど専門家の判断や個別の企業情報、市場環境の動向などあらゆる側面を勘案して判断することとされています。

どこまでの材料があれば認められるのか判断に迷う部分もあるため、上場有価証券の評価損を計上する際には、多くの材料を集めるようにしましょう。

(ロ)非上場有価証券の場合

非上場有価証券の株価の算定は非常に難しい問題です。

しかし、実際には債務超過になり、あるいは資金繰りに苦労している非上場会社は多くあるため、その株価を何らかの方法で評価する必要があります。

法人税法上は、特別清算開始、破産手続きの開始、再生手続きの開始など法的整理が開始されることが決定した場合に、非上場有価証券の評価損を計上し損金とすることを認めています。

このようなケースは決して多くはありませんが、法的整理に移ったのであれば客観的な事実に基づいてその評価損を計上することができるため、忘れないようにしましょう。

また、非上場有価証券の純資産価額が取得時の純資産価額に対して50%以上下落している場合にも、評価損を計上することができます。

純資産価額の算定にあたっては、株主の権利にもとづいて対象会社の決算書を決算ごとに入手し、その金額を算定しなければなりません。

なお、この純資産価額の判定にあたっては、上場有価証券のように回復可能性を検討する必要はないため、両者を混同しないようにする必要があります。

設備投資の内容を細かく精査し耐用年数を短縮

大規模な設備投資を行ったり、複数の種類の固定資産を一度に取得したりした場合、その会計処理が煩雑になるため、まとめて1つの資産として計上してしまうことがあります。

固定資産台帳には「○○設備一式」などとして載せておけば、会計上も税務上も問題になることはありません。

しかし、このような固定資産の計上方法は会計処理が楽になる一方で、法人税を多く支払っている可能性があります。

というのは、本来取得した資産ごとに資産を計上し、固定資産台帳に登録すると、その資産の種類に応じた耐用年数を適用して減価償却の計算を行うこととなるからです。

例えばテナントを出店した際に行った設備投資として、電気設備にかかる工事と店内のディスプレイにかかる工事を行ったとします。

この全体を1つの電気設備工事として認識すると、耐用年数は15年になります。

これに対して、工事を金額に応じて2つに区分し、電気設備工事と店用簡易装備として認識すると、電気設備は耐用年数15年、店用簡易装備は耐用年数3年となります。

その結果、毎期計上する減価償却費の計算は大きく変わり、区分して計上した場合の方が早く損金とすることができるのです。

工事の請求書や購入した資産の請求書を見ると、雑費として共通経費が発生していたり、全体の金額から値引きがしてあったり、いくつかの資産に区分するのは決して楽な作業ではありません。

しかし、できるだけ区分して計上することで、実態にあった償却計算を行うことができるようになります。

また、区分して固定資産台帳に計上することで、その後資産を除却したり売却したりする際にも、こまめに損失を計上することができます。

1つにまとめて計上している固定資産の一部を除却しても、その部分だけ抜き出して除却損を計上することは難しいため、資産計上する最初が肝心なのです。

また、先の例のように耐用年数15年の資産と耐用年数3年の資産をまとめて1つの資産に計上した場合に、長い耐用年数で償却した場合には法人税の払い過ぎということになりますが、全体を短い耐用年数で償却した場合は過少申告ということになってしまいます。

その結果、不足した税額に加えて延滞税や加算税などのペナルティも支払わなければなりません。

単に法人税を払いすぎないだけではなく、正しい申告をするためにも固定資産の区分を適切に行うようにしましょう。

中古資産の購入で耐用年数を短縮

固定資産を購入する際、中古資産でも機能的に問題ないのであれば積極的に購入すべきと考えられます。

中古資産をおすすめする理由は、まず新品の資産に比べて価格が安いことです。

資産の取得価額はいずれ減価償却により損金となりますが、そのすべてを損金にするためには何年もの時間がかかります。

借入をして購入するような場合だと、借入利息を支払い、借金の返済をしているのに節税効果はそれほど大きくないという状態になるため、慢性的な資金不足に陥る原因にもなりかねません。

できるだけ少ない金額で資産を購入できるのであれば、それに越したことはないのです。

そして、もう1つ中古資産が節税になる理由は、耐用年数が短くなることです。

中古で購入した資産の耐用年数は、資産の種類ごとに定められている法定耐用年数とは異なる見積耐用年数を用いることとされています。

原則はその資産の使用可能期間にもとづいて償却をすることとされていますが、簡便的に以下の計算式で耐用年数を計算することが認められます。

中古資産の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

法定耐用年数の全部を経過した中古資産を購入した場合は、経過年数×0.2

※いずれの場合も1年未満の端数は切捨て、2年に満たない時は2年とします

例えば、法定耐用年数6年、経過年数4年の乗用車を購入した場合の見積耐用年数は(6年-4年)+4年×0.2=2.8年→2年となります。

定率法で耐用年数2年の場合、償却率は1.000です。

つまり、期中取得の場合の月数按分は考慮しなければなりませんが、全額を損金とすることも可能となるのです。

中古市場で広く取引されている車両運搬具や機械装置であれば、ニーズに合った中古資産を取得することも難しくないでしょう。

耐用年数が1年、2年変わるだけでも節税効果は想像以上のものになります。

ぜひ中古資産の購入を検討してみてください。

30万円未満の減価償却資産を購入した場合の損金算入

取得価額が30万円未満の固定資産を購入した場合、年間300万円未満となる金額までは全額をその取得した事業年度の損金にすることができます。

この制度を「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。

この制度を利用することができる中小企業者とは、資本金1億円以下の法人で、資本金の額が1億円を超える1つの大法人が株式の50%以上を保有していない、あるいは複数の大法人が株式の2/3以上を保有していないものをいいます。

単に資本金1億円以下の要件だけではないことに注意してください。

また、この制度を利用した場合、法人税法上は全額を損金とすることができますが、償却資産税の対象となることには注意が必要です。

特に、取得価額が10万円超20万円未満の一括償却資産は償却資産税の対象にはならないため、少額減価償却資産の特例の適用対象とする資産の選定しだいでは、償却資産税の税額が大きく変わってしまう可能性があります。

償却資産税の耐用資産である器具備品や機械装置については一括償却資産とし、償却資産税の対象とならない建物、車両運搬具、ソフトウェアについては少額減価償却資産の特例を利用すると、そのメリットが大きくなるといえるでしょう。

固定資産の管理状況を確認

固定資産の管理状況に関してまず確認すべきなのは、実際にオフィスや工場にある固定資産と、固定資産台帳上の固定資産を照らし合わせて、すでに処分された固定資産が固定資産台帳に残ったままになっていないかです。

古くなった固定資産を除却した際、そのことがきちんと経理担当者や顧問税理士に伝えられていないために、固定資産台帳から消去されていないことが多くあります。

固定資産台帳に本来ないはずの固定資産が計上されていると、除却損として計上すべき損金が計上されていないこととなります。

また、償却資産税の対象になる資産である場合には、余分に償却資産税を支払っていることとなります。

固定資産の実態と固定資産台帳の内容が一致していることを確認しておきましょう。

固定資産の実査は、法人の決算期と年末の年2回行うといいでしょう。

決算のタイミングでは、固定資産の計上もれと除却・売却の処理もれを確認します。

また、年末には償却資産税の申告を踏まえて、固定資産の新規取得や除却のほか、市町村を超えた移動がなかったかについても確認しておくべきです。

固定資産の実査を行う際には、実在するが使用していない固定資産がないかについても確認しておくといいでしょう。

実際に使用していない固定資産を今後廃棄処分することが可能なのか、廃棄処分することが難しい場合には、有姿除却という形で除却損を損金経理することができないかについて検討する必要があります。

使用していない固定資産を売却

事業に利用していない固定資産について、廃棄処分することができないか検討すると先に説明しましたが、売却可能な固定資産であれば売却することも視野に入れておきましょう。

含み損を抱える資産であれば、売却によって損出しすることができ、さらに現金収入を手にすることもできます。

また、含み損のない固定資産を売却すると所得が増えるため、かえって法人税の負担が増えてしまいますが、帳簿価額と売却代金の差額が益金となるため、売却代金の全額が益金となるわけではありません。

使用していない固定資産については、売却あるいは廃棄処分のいずれかの方法で処分していく必要があります。

買掛金や未払金の計上

法人の決算書は、基本的に1年間に実現した収益とその間に発生した費用を集計して利益を計算することとされています。

また、法人税法の所得計算も、法人の行った収益費用の計算を基礎として行われます。

しかし、中小企業の中には現金を支払ったタイミングで損金を計上することとしている法人も少なくありません。

実際の商取引においては、1か月の間に発生した仕入金額や費用をまとめて翌月以降に支払うケースが多いにもかかわらず、損金の計上が適正に行われていないのです。

また、相手先から送られてきた請求書の金額にもとづいて計上すればいいというわけでもありません。

毎月の請求書を締めるタイミングは会社によって異なるため、例えば3月分と書かれた請求書の集計期間が2月21日~3月20日分ということも考えられるのです。

このような場合、3月決算の法人は3月21日~3月31日分の請求金額をさらに翌月の請求書や納品書などから拾い出す必要があるのですが、面倒くさいからといって計上していないケースがあります。

適正な買掛金・未払金の計上で、損金計上できる金額が変わり、法人税の節税につながるのであれば、多少の労力はかかっても買掛金・未払金の計上は適正に行うべきです。

決算賞与の未払計上

決算の数字をある程度精度の高い予想をしてから金額を決めることができる、数少ない節税策です。

会社の利益が予想以上に大きくなり、多額の法人税が発生すると予想される場合、税金を取られるくらいなら従業員に還元しようと考える経営者もいると思います。

通常、賞与は支払った事業年度の損金となるのですが、決算のタイミングで未払計上した賞与について一定の要件を満たせば、その未払計上した事業年度の損金とすることを認める制度があります。

決算賞与として、未払計上した事業年度の損金にするための要件は以下のようになっています。

イその支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること

ロ各人別に通知した賞与の額を、その通知をしたすべての使用人に対し、通知した日の属する事業年度終了の日から1月以内に支払っていること

ハその支給額について通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

また、決算賞与の支払いに伴い発生する社会保険料についても損金算入することができます。

未払給料の計上

給与計算を実際に行っている人であれば分かるかと思いますが、給料の計算は1月単位で行っていても、1日から月末までの期間で行っている会社ばかりではありません。

むしろ、給料計算の締日は月末ではなく15日や20日という会社の方が多いかもしれません。

このように給料の締日が月末でない場合、給料を支払ってから決算月の締後の給料を未払計上することで損金とすることができます。

例えば3月決算の法人で、給料の締日が毎月15日となっている場合、3月中に支払われる給料は実際には3月15日分までの給料であり、3月16日から3月31日まで半月分の給料は、未払計上しない限り損金になりません。

締後の給料を忘れずに未払計上しましょう。

社会保険料や労働保険の未払計上

給料の支払いに伴って発生する健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、給料を支払った翌月末日に支払うこととなっています。

そのため、決算を行えば必ず1月分の社会保険料は未払となります。

また、決算月の末日が土日や祝日になる場合には、2月分の社会保険料が未払計上されていなければなりません。

しかし、実際には支払った時に損金としている会社も多いため、未払となるべき金額が損金経理されていない場合があるのです。

また、労災保険料と雇用保険料からなる労働保険は健康保険料などの社会保険料とは計算の方法が異なります。

毎年7月10日を期限として、その年の4月1日から3月31日までに支払われる給料・賞与の額を予測し、その金額に対して発生する労働保険料を概算払いすることとされています。

その後、実際の給料の支払額が確定する翌年3月末日において実際の労働保険料が計算できるため、概算で支払った金額との差額を求めることができます。

この時、仮に概算払いした労働保険料が実際の支給額にもとづいて計算した金額より少ない場合には、不足している金額を未払計上して損金の額に算入することができます。

3月決算の法人だけでなく、4月、5月、6月に決算期を迎える法人については、早めに労働保険の計算を行うことで、法人税の節税につなげることができるのです。

具体的な節税の方法⑶資産構築による節税

法人税,節税,方法一覧
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

本来、節税のために支出をして損金を増やすのは、お金を減らすこととなるため意味がありません。

しかし、将来的に支払った金額の一部でも戻ってくるのであれば、支払時に損金経理したことで得られる法人税の減額分と将来のリターンによって、実質的に大きなプラスを得られるのです。

中小企業倒産防止共済に加入する

中小企業倒産防止共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済です。

その特徴は、掛金の全額が損金となる共済であり、掛金の総額は800万円までと定められています。

掛金の月額は5,000円から20万円まで5,000円刻みで選択することができます。

売掛金などの債権が回収困難となった場合に、最大8,000万円まで共済金の貸付を受けることができます。

また、業績不振となった場合には、一次貸付金としてその時点の解約手当金の95%の範囲内で貸付を受けることができます。

さらに、40か月以上共済金を払い込むと、解約手当金として払い込んだ掛金の100%の返金を受けることができます。

仮に40か月に満たない場合でも、12か月以上払い込んだ場合には80%の解約手当が返金されることとなっています。

掛金を支払った際に損金となっているため、その節税効果を考えると、12か月の払込でも実質満額以上の返金を受けていることとなるのです。

また、民間の保険会社に支払う生命保険とは違い、国が運営する独立行政法人に対して支払う点も、加入する際の安心感につながっていると思います。

短期的に加入しても損をしないという点、そして実際に共済の内容を考えると節税だけでなく安心して企業経営を行うためにも利用する価値が高いといえそうです。

レバレッジドリースに投資する

レバレッジドリースとは、船舶や航空機を保有するファンドに出資して船舶等の所有権の一部を取得するものです。

その後、当該船舶や航空機を船会社や航空会社にリースし、リース料収入を受け取ったファンドからその収益の配分を受けることができます。

しかし、特に投資した直後は償却費の計上が多額になるため、収益どころか多額の赤字となるのです。

その結果、ファンドの赤字により出資した金額について評価損が計上され損金が計上されることとなります。

シナリオどおりに進めば、最終的にファンドが船会社や航空会社から得るリース料と船舶や航空機の売却収入により、赤字は解消され出資した金額が戻ってきます。

そのため、出資金額の評価損として損金の額に計上された金額による節税の効果を享受することができるのです。

ただし、必ずシナリオどおりにいくとは限りません。

船舶や航空機が売却前に沈没・墜落してしまい、出資金額を全く回収できないこともあるのです。

また、ファンドに出資する金額は1,000万円以上と多額であることや、最終的に出資金額が戻ってくるまで数年かかることから、資金繰りに余裕のある法人に限定した節税策といえそうです。

具体的な節税の方法⑷会社の状況に合わせた節税

ここであげる節税策は、どの会社でも適用できる可能性はあるものですが、実際にはその会社の状況によって実行できるものと実行できないものがあります。

自社のおかれた状況を客観的に見て、実行できるものを選択するといいでしょう。

設備投資を行う

業種によっては大量に設備投資を行ったり、定期的に新たな設備に更新したりしなければならない会社があると思います。

設備投資は通常、固定資産の取得になるため、多額の資金を必要とする一方で、投資した事業年度においてはわずかな金額しか損金にならず、結果的に法人税の負担はそれほど減らないというケースが多いかと思います。

そこで国は、様々な形で設備投資をした会社の法人税額を減らすような政策を実施しています。

おもな減税の内容は2つあります。

1つは投資金額に応じて法人税の額から控除する特別控除、もう1つは投資した固定資産の減価償却を通常より多く認める特別償却です。

特別控除は法人税の額から、その投資金額の○%という形で決められた一定の額を控除することができます。

特別控除の適用を受けて控除された金額は、翌事業年度以降の法人税額で取り戻されることはないため、純粋な減税となります。

ただし、法人税額の20%というような上限が設けられているため、発生している法人税額が少ないとそれほど大きなメリットにならない場合があります。

特別償却は、取得した固定資産について通常の償却とは別に30%というような割合の償却を認めるものです。

設備投資の額が大きいと、その分償却費として損金計上できる金額も大きなものとなります。

特別償却は将来的に減価償却費として計上できる金額を取得した事業年度に先に計上しているだけであり、トータルで考えれば法人税額の負担が減るわけではありません。

ただ、固定資産を取得した直後で、資金繰りが苦しくなる時に適用できれば法人税の負担を一時的に減らすことができるメリットはあります。

具体的の制度の内容は、毎年のように見直しが行われています。

設備投資を行えばだれでも適用できるわけではなく、要件を満たすかを確認しなければなりません。

また、証明書が必要なものや事前に経済産業局に届出が必要なものもあるため、特別控除や特別償却を適用しようとする場合には、設備投資の内容に応じた対応をしていく必要があります。

役員退職金を支払う

法人税法上、退職金を支払うとその支払った事業年度に損金経理することとなります。

役員退職金の額は一般的に大きな金額になることが多いため、まとまった金額を損金とすることができ、節税効果を得ることができます。

問題は、退職する役員がいるかどうかです。

以前の商法にもとづいて設立された株式会社の場合、取締役は3名以上必要とされています。

また、現在の役員が抜けるのは経営上不可能ということも考えられます。

実際に考えられるのは、現在の社長が会長や相談役に退き、息子(娘)が社長に就任するケースや、非常勤取締役が退任するケースなどです。

このうち最初のケースは、事業承継を考えている会社についてどのタイミングで社長交代を実行するかという問題となります。

会社の経営が順調に推移しており安定して利益が出ているのであれば、どこで社長交代を行っても問題はないのでしょうが、会社の数字に波がある場合には、利益が出そうなタイミングで役員退職金を支払うことができるよう、その時期を見極める必要がありそうです。

また、社長が代表権のない会長や相談役に退くだけでは、役員退職金を損金とすることはできません。

代表を退いた人が経営上の意思決定に関わらないこと、役員報酬の額を半分以下にすることが、役員退職金として認められるために必要な条件となります。

特に中小企業で同族会社の場合、会長に退いたからといって完全に経営に関わらない状態とするのは難しいといえます。

また税務署は、税務調査の際には必ず役員退職金を問題にします。

特に、代表を退いた後も何らかの形で経営に関わっている可能性が高いと考えて、その証跡を探そうとします。

そのため、分掌変更による役員退職金を支払う場合には、税務調査に耐えうる状況と資料を作成する必要があります。

従業員を役員にする

現在の役員を辞めさせるのが難しいのであれば、逆に従業員から役員に登用することを考えてもいいかもしれません。

従業員から役員に身分が変更になると、従業員であった期間の退職金を支給することができます。

ただし、従業員から役員になるのはいいことばかりではないと理解してもらう必要があります。

従業員と会社との関係は雇用契約にもとづくものであり、従業員が一方的に不利益な取り扱いを受けないように保護された立場となっています。

しかし、役員と会社の関係は委任契約にもとづくものであり、会社の業績や不祥事に対する責任を負わなければなりません。

そのことを理解して役員にならないと、後から様々な問題が起こる可能性があるため、役員の登用については慎重に考えるべきです。

役員報酬の見直し

法人税法上、役員報酬の額を事業年度の途中で変更すると、一部の金額を損金の額に算入することができなくなります。

これは、役員報酬を決定するのが役員自身であり、報酬の額がお手盛りにならないようにするためです。

また、役員報酬が法人の利益の調整弁として使われることを防止するねらいもあります。

原則的に役員報酬の額を変更できるのは、株主総会の決議が行われてからと考えられており、事業年度開始後3か月以内に行わなければならないとされています。

所得が予想より大きくなりそうだからといって、決算間際に役員報酬を引き上げることは認められないため、役員報酬で節税を行うのは難しいのです。

また、役員に対して賞与を支給しても、基本的に損金にはなりません。

中小企業で役員賞与が損金となるのは、事前確定届出給与に該当する場合のみです。

この事前確定届出給与とは、事業年度開始から3か月以内に開催される株主総会において役員賞与の支給をあらかじめ決議しておき、その旨を税務署に届け出たものです。

賞与といっても、利益が出た場合には多く支払い、利益が出なかった場合には少なくしか支払わないということは認められません。

前もって支払う金額や時期を決めておかなければならないため、こちらも節税のために利用することはできないのです。

しかし、役員報酬を支払っている会社が、あらかじめ利益計画を綿密に行い、これくらいの利益(所得)になりそうだと予想を行ったうえで役員報酬の額を決定すれば、法人税の額を抑えることは可能です。

また役員賞与の制度がある会社で、役員賞与の金額や支給時期が事前に決められているのであれば、税務署に届出をして損金算入できるようにするか、賞与の支給を取りやめる代わりに毎月の役員報酬を増やすことで、法人税の負担を減らすことができます。

人員の増加や人件費の増加による減税

拡大基調にある会社の場合、毎年のように新しい人材を採用していることでしょう。

また、定期昇給や時間外手当・賞与の額の増加により、人件費の負担が毎年増えているという会社もあるかもしれません。

国の政策として、働く人の所得を増やす方針が打ち出されており、従業員に対して支払った給与や賞与の額が増えている会社は、法人税の額が減税となる制度があります。

中小法人の場合、前期の従業員に対する給与・賞与の額と今期の従業員に対する給与・賞与の額を比較して1.5%以上増加していること、そして前期の初月から今期の最終月まで毎月給与の支給を受けている従業員に対する給与・賞与の支給額が、前期より今期の方が増えていることの2つの条件を満たせば、全従業員に対する給与・賞与の支給額の増加額×15%を法人税の額から特別控除することができます。

ただし、控除できる額は法人税額の20%が上限とされているため、人件費を増やしただけ減税となるわけではないことには注意が必要です。

なお、大法人の場合は人件費の増加に加えて一定の設備投資を行っていることが要件とされています。

また、中小法人・大法人とも、従業員に対する教育訓練費の額が増加しているなどの追加の要件を満たせば、税額控除となる金額が増えます。

人件費の増加が見込まれる場合には、あらかじめ制度の詳細を確認しておき、税額控除の適用が受けられるように準備しておきましょう。

具体的な節税の方法⑸支出の前倒し

法人税,節税,方法一覧
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

最後に紹介するのは、損金となる支出を今期中に行い、今期中に役務の提供を受けるものです。

本来、節税のために支出を増やすのは意味がないどころか、むしろマイナスになると考えられるのですが、もともと翌期以降に行う予定だった支出を前倒しして今期の損金に取り込むのであれば、今期の法人税の節税になります。

注意が必要なのは、単にお金を支払っていればいいわけではなく、役務の提供が完了していなければならないことです。

逆に、代金の支払いが完了していなくても未払計上することが認められるため、決算間際に慌てて支払いをするのではなく、役務の提供が完了するようなスケジュールで動くことが大切です。

修繕費の支出

当初は翌期以降に予定していた建物や機械装置の修繕を、前倒しして今期中に実施すれば修繕費を損金の額に算入することができます。

修繕費を今期の損金とするためには、修繕工事が今期中に完了している必要があります。

工事が完了したタイミングで完了報告書を受領し、いつ工事が終わったのかを証明できるようにしておきましょう。

また、修繕を行う場合で注意しなければならないのは、修繕工事が必ず損金になるとは限らないことです。

その内容によっては新規の資産取得、あるいは資本的支出に該当するものとして償却計算を行わなければなりません。

修繕費として損金算入できるかどうか、そして工事が期中に完了することを事前に確認しておきましょう。

求人費や広告宣伝費の支出

求人広告の費用や自社商品の広告は、今期中に行った方がいいとか翌期でなければ行うべきでないなどはありません。

もし会社の予算の関係で見合わせているのであれば、資金の許す限りは前倒しして広告宣伝を行うべきといえます。

節税という理由だけで広告宣伝を行ったとしても、結果的に優秀な人材を獲得できる可能性や多大な収益をもたらす可能性があります。

無駄遣いになってはいけませんが、節税目的で損金を計上するのであれば、将来の売上増加につながる可能性のあるものに使うべきです。

まとめ

ここにあげた多くの節税策は、いずれもすべての会社で実行可能なものばかりです。

しかし、節税のためと思ってあらゆる手段を講じると、お金が足りなくなってしまいます。

節税になれば何をしてもいいわけではないため、間違えないようにしましょう。

会社を取り巻く状況は常に変化しています。

あまりに利益が出るために節税をしようと思って始めたものが、将来会社の足かせになってしまうことも十分にあります。

節税のために何かを始めるのであれば、今が良ければそれでいいと考えることなく、長期的な視点を持って将来の会社のためになるものを選択しましょう。

また、無駄遣いはかえって会社のお金を減らしてしまう結果となるため、余分な費用を支出することのないよう気を付けましょう。(提供:ベンチャーサポート税理士法人