節税対策,税金の世界
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

税金の世界は「知らない人は損をして、知ってる人が得をする」税金は払いたくない、脱税はいずれバレる

「税金なんか出来る限り払いたくない!」
これは多くの経営者の方の本音ではないかと思います。
まあ、あれだけ税金の使い道のひどさがいたるところで報道されていれば、そう思うのも正常なことだと思います。

税金を払いたくないと思った方がよくやってしまうことが2つあります。
1. 脱税する
2. お金を使って節税する
では、この2つのパターンの例を見てみましょう。

田中さんは会社設立後、順調に売り上げを伸ばし利益もある程度出るようになりました。

「税金なんか払いたくない。せっかく稼いだのに、税金で持っていかれるなんてバカらしい。」
「税務署が来る?うちくらいの規模ならいちいち細かく調べたりしないだろう。」
「税務署なんて怖くない。俺は大丈夫だ。」
田中さんは軽い気持ちで2つの方法で利益を少なくすることにしました。

1つは売上を抜く方法。
いつも入金してもらっている会社の通帳とは別に通帳を作って、単発ものの売上や遠隔地のお客さんの売上の振込指定口座をこの通帳にするという手口です。
「この通帳をみせなきゃ大丈夫。ばれっこないよ。」

もう1 つは、人件費を多くする方法。
実際にはいないアルバイトの給料を計上して、経費を多くする架空人件費と言われる方法です。
「簡単だな、給与明細を自分で書いとけばいいだけだもんな。」
田中さんは自信満々でした。

そんなある日のこと・・・・

ピンポ~ン

「はい、どちら様ですか?」
「○○税務署の山田です。田中さんですか?」
「・・・・・・・・・・」
「田中さんの確定申告についてお伺いしたいことがあるのですが。」
「・・・・・・・・・・」
それは突然のことでした。いきなり家に税務署の人がやってきたのです。
「田中さん、ちょっといくつかお聞きしたいことがありましてね。」
「は、は、はい。」
税務署員は、帳簿や通帳・領収書などの会計資料を見せて欲しいということでした。
「田中さんの通帳を銀行から取り寄せてみたんですけど、どうもこの通帳の入金が帳簿には反映されていないようなんですが?」
「えぇ?そんなはずはないですよ。」
「そんなはずないことないでしょう。これは明らかに意図的ですよ。しらばっくれてると大変なことになりますよ。」
「・・・・・・・・」
「あと、田中さんのところの人件費ですけど、他の同業種の会社と比べると明らかに高いようなんですよね。全員の源泉徴収簿と履歴書を出してもらえますか?」
「源泉・・なんですか?履歴書もとったりとってなかったりで・・」
「一人ずつ連絡して、ちゃんと田中さんのところで働いていたかどうか確認させてもらいますよ。」
「・・・・・・・・」

結局、田中さんは売上除外と架空人件費、それ以外にも個人的経費を入れて利益を少なくしたということで、罰金をとられることになりました。

しかも手口が悪質とみなされて、重加算税という一番重い罰金を支払わされます。

もともと払うべきだった税金の約1.5 倍も払うことになり、隠していたお金は全部なくなってしまいました。

「まともにやっとけばよかった・・。逮捕されなかっただけましか・・。」

鈴木さんの会社はもうすぐ決算。

今期は好調でかなりの利益が残りそうだ。
このままだとかなり税金を持っていかれるなぁ。
そこで鈴木さんは経費になりそうなものをどんどん買うことにしました。
「ベンツ欲しかったんだよなー。買っちゃうか。」
「このソフト使うかどうかわからないけど、とりあえず買っとこう。」
「取引先の人を連れてキャバクラでも行くか。税金払うよりはましだ。」
「パソコンもとりあえず、いっぱい買っとこう。」
みるみるうちに利益は少なくなってきました。

1,000 万円残っていた利益が100 万円まで少なくなって、税金は40万円で済んだのです。
「いやー、得した、得した。」

ちょっと待ってください。確かに税金は少なくなりました。
でも、手元に残ったお金っていくらですか?
1,000 万円の益を100 万円にするために使った900 万円+税金の40 万円の940 万円が手元からなくなっています。
一方、1,000 万円で税金を払っていたら税金が400 万円で、手元には600 万円の現金が残っていたはずです。

手元に残ったものが60 万円とベンツと使わないPC とソフトウェア。
一方税金は多く取られたけど600 万円の現金。
どちらが、今後商売をしていく上で、有利だと思いますか?

鈴木さんは節税には順序があるということを知りません。
鈴木さんのやった節税は絶対にしてはいけないというわけではないのですが、その前にもっとやるべき節税があるのです。
鈴木さんがやった「お金がなくなる消費型節税」をやる前に、「お金が出て行かない節税」をちゃんと実行しなければいけません。
節税にも種類があるのです。(提供:ベンチャーサポート税理士法人