(本記事は、及川 幸久氏の著書『伝え方の魔術 集める・見抜く・表現する』=かんき出版、2021年2月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
三日坊主のための「継続する技術」
ルーティン化のポイントは、3つの「同じ」を続けることです。
● 同じ時間
● 同じ場所
● 同じこと
たとえば、「毎朝(同じ時間)、通勤電車の中で(同じ場所)、特定の媒体をチェックする(同じこと)」というイメージです。
実践のポイントは、1日のスケジュールを思い返し、3つの「同じ」を満たす条件を考えること。
長い時間を取れることが理想ですが、現実には仕事、育児、家事、趣味などで忙しいと思いますので、5分でも10分でも構いません。
大事なのは時間の長さよりも、3つの「同じ」を満たしたうえで続けることです。続かなければ意味がないので、「これなら続けられる」と思える条件を設定しましょう。
ちなみに、時間帯は「朝」をおすすめします。夜型の生活で、朝が弱い方には不都合かもしれませんが、情報収集は朝が最適です。
情報収集は、魚の市場で早朝に新鮮なネタを仕入れる寿司職人の仕事に似ています。脳がリフレッシュしている状態で情報を見るほうが冷静に判断できますし、アイデアも浮かびやすいです。
また、「同じこと」については、「視覚」だけでなく「聴覚」で情報を得ることも選択肢になります。YouTubeの音声だけ聴く、ポッドキャストを聴くなどです。昔と違って情報を得る方法はさまざまありますので、自分が続けやすいと思うものを選びましょう。
続かない……と諦める前に
続ける期間としては、まずは2週間が目標です。私の経験上、2週間続ければ「目的を見つけ、情報収集するクセ」が自然とつき始めます。
また、「どういった記事が有益か」「フェイク情報を発信する人(メディア)の特徴」などが徐々にわかるようになります。
とはいえ、いざ実行し始めても、普通は数日で止まるものです。勉強もトレーニングも、新しいことをスタートするときは習慣化するまでが難しく、「もういいか」と諦めてしまいそうになることもあるでしょう。
そんなときに、おすすめしたいのが「3つの『同じ』を見直す」こと。
数日しか続かなかった場合、78ページで紹介した3つの「同じ」のどれかに無理がある可能性が高いです。
まずは時間や場所について見直します。
私の例でいうなら、小学生の夏休みの生活のように「時間割」を決めています。
そして、その時間割を頻繁に変更します。なぜなら、私は典型的な三日坊主だからです。これまでも「やると決めたことが続かない」ということが数え切れないほどありました。
ただ言い訳になってしまいますが、ほとんどの人が三日坊主ではないでしょうか。少なくとも、誰もが三日坊主の経験はあるはずです。
私が大切だと思っているのは、「三日坊主で意志が弱いと自分を責めない」ということ。「私は何事も続かない」「だから自分は成功しない」などと考えては絶対にいけません。
そうではなく、三日坊主で意志が弱いことを素直に受け入れて、時間や場所を変更しましょう。それでも続かない場合は、何度でもやり方を見直すのです。
私は、2016年にYouTubeでの配信を始めたのですが、最初は「トランプ・チャンネル」という名称で、トランプ大統領専門のニュースチャンネルでした。
ただ、毎日配信すると決めたものの、半年で挫折。「自分には無理だ」と思い、YouTubeは諦めました。
しかしその後、2017年の衆議院議員選挙に立候補して惨敗。その敗北感に打ちひしがれている中で、「そうだ、もう一度YouTubeに挑戦しよう」と覚悟を決めました。
そこで自分に言い聞かせたのが次の言葉です。
「三日坊主になったら、反省して一から出直せばいい」
そして、今のYouTubeチャンネルを開設しました。続かなくなったときは何度もありましたが、その度に時間と場所を見直すことにしました。ようやく現在は、朝早く情報収集し、テーマと内容をまとめて、夜に自宅で収録するルーティンになりました。
自分と相性が良いメディアを選ぶ
話を戻します。
時間や場所を変えても続かない場合、「同じこと」についても見直しましょう。
このときのポイントは、まず「自分と相性が良い媒体を選ぶこと」。
毎日特定の媒体をチェックするわけですから、「記事の内容や方向性に関心を持てない(共感できない)」とストレスが溜まる一方です。「今日はどんなニュースが出ているんだろう?」という前向きなマインドを持ち続けられるように、自分の考えや関心ごとに近い媒体を選ぶのがおすすめです。
ただ、国際情勢についての情報収集力を高めたいなら、自分とは反対の思想を持つ媒体もチェックしましょう。
たとえば、アメリカの共和党のような保守の意見と相性が良いなら、保守系のメディアである『The Epoch Times』や『Daily Caller』といったサイトを毎日チェックします。
それと同時に、 『The New York Times』や『The Washington Post』といったリベラル系メディア、あるいは中国共産党のサイトも確認するのです。
自分の考えと合わないメディアの記事を毎日読むことは、ストレスかもしれません。「なぜこんな報道をするのだろう?」と怒りが込み上げてくることもあるでしょう。
しかし、偏った見方をしていては、真実にたどり着くことはできません。
それどころかフェイクニュースに踊らされたり、自分の意見とは反対派の人たちに対して攻撃的になったりする恐れすらあります。
私は、中国国営メディアの情報を毎日チェックしています。目的は、日本とアメリカについての記事を読むことで、彼らの意図を読み取ることです。
一例を挙げます。
日本が安倍政権だった頃、中国メディアは安倍政権に対して厳しい批判を続けていました。
ところが、ある時点から急に批判が止まったのです。その頃、アメリカのトランプ政権が中国に対して関税を引き上げ、貿易戦争を始めていました。
中国国営メディアの論調は、トランプ政権の関税引き上げに対して、批判しながらも「そんなものは今の中国経済にとって痛くもかゆくもない」というものでした。
しかし、日本の安倍政権に対しては掌を返すように、評価して、すり寄ってくる態度に変わっていました。そうした報道の変化を見て、トランプ政権の対中国関税引き上げが、実は効いていることがわかったのです。
国際情勢に関しては、メディアによって記事の方向性や表現が大きく異なります。情報を客観的に分析するためにも、あえて自分の思想とは反対のメディアをチェックする習慣を身につけましょう。
1960年、神奈川県出身。上智大学文学部卒業、国際基督教大学大学院行政学研究科修了。その後、メリルリンチ社、インベスコ・アセット・マネジメントといった大手金融機関に勤務した後、幸福の科学に出家、宗教家となる。
現在は幸福の科学役員、幸福実現党外務局長を務めながら、国際政治コメンテーターとしてアメリカのラジオ・テレビ番組などにも出演。国内ではYouTuber、作家として言論活動中。
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