Uber Eats「あらゆるものを配送」へ 医薬品もC2Cも 出前館はもはやライバルではない?
(画像=naka/stock.adobe.com)

米ライドシェア最大手が日本でも展開する「Uber Eats」は、「Eat(食べる)」がサービス名に入っているが、配送対象は料理だけにとどまらない。このほど医薬品の配達も開始したのだ。Uber Eatsがいずれ、あらゆるものを配送する未来を予感させる。

ローソンとUber Eatsがタッグを組み、医薬品配達をスタート

コンビニ大手のローソンは2021年2月2日、東京都内における3店舗において、Uber Eatsを活用して医薬品の配達をスタートすることを発表した。このような医薬品の配達は、Uber Eatsにとっても日本国内で初めてのことだ。

医薬品の配達は、Uber Eatsのアプリ内から依頼できる。ローソンの対応店舗を選択後に購入したい医薬品を選び、注意事項の確認や質問事項への回答をしたあと、注文を確定することができるという。

この、ローソンとUber Eatsの取り組みで対象となる医薬品は49種類で、風邪薬や目薬、胃腸薬、湿布薬、皮膚用薬など、「第2類医薬品」と「第3類医薬品」を扱う。現在は東京都内の3店舗のみが対象だが、今後全国で対応店舗が増えていくことが予想される。

ローソンは報道発表で、平時においても医薬品の配達ニーズが高いことに触れた上で、「特に最近では、新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛が求められる中、需要が高まっています」と説明している。

Uber Eatsで受け取ることできる商品はすでに多様化

Uber Eatsを使って受け取ることができる商品は、今や多様化している。医薬品に対応する以前から、Uber Eatsではコンビニのさまざまな商品を配達するサービスを開始しており、弁当やデザートなどの食品のほか、日用品や雑誌なども配達可能だ。

ちなみに、ローソンとの取り組みでは、2021年1月末時点でUber Eatsに対応している店舗は全国で1,508店舗に上っており、全国のローソン1万4,444店舗(2021年2月末時点)の1割以上が、Uber Eatsによる配達に対応していることになる。

つまり、日本国内ではすでに多くのエリアで、コンビニで販売されているさまざまな種類の商品を、自宅にいながら受け取れる状況になっているわけだ。

そして今後は、コンビニだけではなく、コンビニよりも取扱商品数が多いスーパーマーケットとの提携も十分に考えられる。事実、Uber Eatsはフランスの首都パリでは、同国のスーパーマーケット大手Carrefour(カルフール)と提携している。

将来は個人のものを別な個人に届けるC2Cのニーズに対応?

将来は、コンビニやスーパーマーケットなどの小売店やレストラン以外でも、Uber Eatsのサービスを利用できるようになるかもしれない。

Uber Eatsの仕組みは、ギグワーカーが商品や料理を受け取りにいき、それを届け先まで運ぶというシンプルなものだ。この仕組みを使えば、個人から個人にものを届けるというC2Cのニーズに対応することも、十分可能だと考えられる。

例えば、Aさんが自宅にあるものをBさん宅に届けたいとする。その際には、Uber Eatsのアプリを開いて配達依頼をし、Aさん宅の近くにいるギグワーカーが依頼を受け、Bさん宅まで届ける…といった具合だ。

ある程度、サイズが大きいものや重いものでも大丈夫だ。ギグワーカーの中には自動車を使ってデリバリーをしている人もいるからだ。都心部などではすでにオンデマンドのバイク便サービスがあるが、類似サービスを将来Uber Eatsも展開するかもしれない。

競争が激化するデリバリー業界での差別化要素に

このようにUber Eatsが配達対象を広げていけば、Uber Eatsがあらゆるものを配達できる時代がやってくる。最近はデリバリーサービスに参入する企業が増えているため、Uber Eatsにとっては他社との差別化にもつながるというメリットもある。

そして、個人向けのデリバリー市場の拡大は、今後も続くことが予想される。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、多くの人がデリバリーサービスの利便性の高さに気付き、今後も堅調に利用者が増えていく可能性が高いからだ。

Uberはライドシェア企業として存在感を高めたが、このような将来性を考慮すると、将来はライドシェア企業というより配達企業という立ち位置になっていくかもしれない。

Uber Eatsが今後急ピッチにサービスを拡充する!?

この記事では、Uber Eatsの最新動向と将来性について包括的に解説してきた。新型コロナウイルスの感染拡大がデリバリー業界にとっては追い風となる中、Uber Eatsは今後急ピッチにサービス内容を拡充していくかもしれない。2021年以降、Uber Eatsがどのような事業展開をしていくのか、今後の最新動向に要注目だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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