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日本M&Aセンターが行うM&A大学。 その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーにインタビューする企画の第5弾。 大分銀行 法人営業支援部 推進役補 久原哲也氏にインタビューした。

長坂 道広
M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

日本M&Aセンターでの思い出

――一度ご出向に来ていただいていたということですが、その時の印象的な思い出や学んだことなどを教えてください。

久原:日本M&Aセンター様には、専門的なスペシャリストの方がいっぱいいらっしゃいました。M&Aの専門家はもちろん、会計士や税理士、弁護士の方からも学ぶことがたくさんありましたね。
更に、金融チーム、会計チーム、買い手担当の方など色んなコンサルタントの方に同行させていただいて、勉強させていただく機会があり、とても貴重な経験だったなと思います。

私が出向していた時は、平成27年の10月なので、もう5年以上前なんですよ。その時は日本M&Aセンター様にはまだ福岡支店はなく、西日本の出向者は全員大阪支社に出向していました。

だから、出向者も一か所に集まっていて、人数も多かったんですよね。私の時でも12、3人は大阪に集まっていたのではないでしょうか。西日本の出向者が大阪に集まっていたあの時がピークだと思います。人が多かったうえ、年も近い方が多く、横のつながりもできましたし、地方銀行同士の情報交換とかもありましたから、そういった面では非常にいい環境だったなと思います。

出向者は、学ばせていただく立場ではありますが、地銀さん同士のコミュニティが出来たり、仲の良い人ができたり、情報交換ができたりと、ただ学ぶだけでは得られないメリットもたくさんありました。現在でも、出向の時にお会いした方とのつながりもあります。

――出向して感じた御行とのギャップ、文化的な違いなどは感じましたか?

久原:ありましたね。 だいたい、出向する人は銀行に新卒とかで入った方がほとんどです。そういう地方銀行のカラーに染まっている方が、違う会社に出向させていただくことによってこれまでとは全く違う体験をするので、やっぱり刺激はあるし、マインドも変わったと思います。

銀行としては当たり前だったことが、180度ひっくり返る瞬間が何度もありました。M&Aの業務を行う際には、このようなマインドでやらなくていけないんだ、ということも日本M&Aセンター様に出向しなければわからなかったと思います。

――御行では現在、M&Aを担当されている方が何人いらっしゃるのでしょうか。

久原:今は、事業承継を支援するチームがあり、6人体制でやっています。M&A関連の出向経験者はそのうち5名です。さらにそのうちの3名が日本M&Aセンター様に出向を経験しています。

皆、半年から一年くらい出向した後、現場で活躍というケースが多いですね。

最近は、日本M&Aセンター様のお力添えも頂きながら、大分銀行全体として事業承継・M&Aのスキルアップするように、営業店の行員向けの研修等も充実させてやっているところです。

例えば、今月は営業店の課長クラスの中間管理職の行員50名ほどに対して、グループワークも入れながら、オンライン勉強会を企画しています。これは、行内でも初めての試みです。

こちらが一方的に話す、オンライン研修というのは、あまり頭に入らないと思いますので、参加者自身が発言できるような機会を設けたりとか、WEBミーティングのシステムを使いながら、オンライン参加者同士がグループワークで話し合うような機会を作ったりとか、をやろうとしています。

――大分県の事業承継問題についてはいかがでしょうか。

久原:そうですね、今までは後継者不在という理由でのご相談が多かったと思いますが、最近は、新型コロナウィルスの影響もあってか、今後の先行き不安で悩まれている経営者様が増えているように感じます。

事業承継を考える60代・70代ではなくても、40代・50代の経営者の方が、今の事業環境の先行きが見えないため、経営戦略の中で、大手と組む、大手の傘下に入る、といったM&Aを考えているといったご相談がありますね。そういったM&Aも非常に増えてきているのかなというのは実感します。

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――そんな大分県で、最近の明るいニュースがあれば教えてください

久原:明るいニュースですか。去年、航空機で小型衛星を打ち上げる拠点として、大分空港が選ばれたことですかね。航空機で衛星を打ち上げるという試みは、実はアジアでは初の取り組みのようで、このコロナ禍ですけど、地域としては明るい話題だったかなと思います。

また、今後、そういった実験や試みが活発になり、宇宙ビジネスがこの大分県にも定着するといいなと思っているんです。宇宙事業が、この地方の大分で始まるというのは、とても意味があることだと思います。

新しい産業が地域にできるとそれに比例して会社も増える、人も増える、そこの地域として雇用とか経済等に、絶対プラスに働くので。

ほかにも今後、新たな産業、まあ当然企業誘致もあるでしょうし、そういった科学技術とか身近で感じられる機会とかが今後出てくるのかなと思うと、非常に楽しみですよね。

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――最後に、久原様のモットー、大切にしていることをお聞かせください。

久原:モットーは「一期一会」です。人と出会いとかって巡りあわせですが、そこは大事にしていきたいと思っています。特に業務でもそうですけど、しっかり対応して誠意をもってしていくっていうことをモットーにしています。

私は、M&Aって、お客様の人生に大きな変化をもたらす機会ってとらえているんです。
そういう大切な機会を支援する立場にありますから、良くも悪くもですけど私の行動によって、そこが大きく変化する可能性があるという事を考えて行動しています。

もちろん、それには責任も伴いますし、プレッシャーもありますけど、やっぱりそれ以上にやりがいもあります。やはり、第三者承継は最終的に感謝される仕事だと考えていますので、「いい仕事をしているな」と自分でも思っています。