WORDS by EXECUTIVE
(画像=Oleksandr/stock.adobe.co)

中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ=Huawei)の任正非CEO(最高経営責任者)は、「Googleなしでも世界No.1のスマートフォンになれるのか」という質問に対し、「それは問題になるとは思わない」と平然と答えた。米CNN BUSINESSのインタビューの一幕だ。

この質問と回答を読み解くには、ファーウェイのスマートフォンで今後Googleのサービスが一切使えなくなる可能性が浮上していることを理解していなければならない。米国からの禁輸制限によって、Google関連のソフトウェアやサービスの今後の利用に黄信号が灯っているからだ。

連載「経営トップ、発言の真意——WORDS by EXECUTIVE」、今回はファーウェイの任正非CEOの発言を取り上げ、直近のファーウェイの事業戦略などを解説する。

米中貿易摩擦

米中貿易摩擦は出口が見えない状態が続いている。きっかけとなったのが、中国の知的財産権侵害に対するアメリカ側の反発だ。アメリカは中国に対し複数回の制裁を実施し、2019年9月には第4弾も発動した。その内容は中国からの輸入品に追加関税をかけるというもので、中国もこれに対抗する形でアメリカからの輸入品に相次いで報復関税をかけている。

こうした一連の動きの背景にあるのが、ファーウェイに対するアメリカ政府の疑念だ。アメリカ政府はファーウェイ製品がスパイ活動に使われている懸念があるとして、2012年ごろからアメリカ国内におけるファーウェイ製品の使用を推奨しないようになった。

そしてトランプ政権はいよいよファーウェイに対してアメリカ製品の輸出を禁止することを決め、米中摩擦の深刻度は一層増した。

インタビューで任正非CEOは何を語ったのか

こうした動きはファーウェイが販売するスマートフォンに影響を与えている。

同社が最近発売したスマートフォンではGoogleのサービスやアプリが使えなくなっている。これは、ファーウェイがアメリカの巨大企業Googleと新たに取引できなくなったことが影響している。ファーウェイのスマートフォンは長年Google Playなどのサービスが基盤だった。

CNN BUSINESSによるインタビューで、任正非CEOはこの点について聞かれたわけだ。任正非CEOは強気の姿勢を崩さなかった。同社はファーウェイ独自のアプリストアを強化していく方針を示しており、Googleのサービスが使えないなら独自のサービスを活用するまで、という姿勢を明確にしている。

任正非CEOは「アメリカ企業にとってベストなことは何かを、アメリカ政府が考えることができることを期待している」ともインタビューで述べている。中国は世界における最大マーケットだ。中国マーケットでの影響力の低下はアメリカにとってもマイナスにつながると、任正非CEOは暗に主張しているわけだ。

しかし米国の制裁はつづき、2020年5月には半導体を製造していた傘下の台湾企業の製造を停止、また8月には米国の技術を使用した半導体の供給も禁止となり、他の米国外企業から半導体を調達することも困難になってしまった。

ファーウェイ製品の米国からの排除は続き、現在5G製品なども完全に排除されようとしている。このような状態が続けばファーウェイが携帯事業を存続させていくことは難しいといわざるをえない。

独自開発のOS「ハーモニー」がスマホに搭載される日

こうした中、ファーウェイが独自OS(基本ソフト)の開発を強化していくとう情報が入った。同社は独自のOS「ハーモニー」を開発したが、来年以降にこのOSを搭載させる製品を増やしていくようだ。

ロイター通信の報道によると、いまのところはスマートフォンにこのOSを使う予定はないようだが、ファーウェイ製スマートフォンはGoogleが開発したオープンソースソフトウェア「Android」をベースにしているだけに、さらに米中対立が深まればこのハーモニーをスマートフォンの基本OSとして採用する可能性は十分に考えられる。

そうすれば、iOSとAndroidに続く普及OSとしてハーモニーが世界で台頭していくかもしれない。日本で販売されるファーウェイ製スマートフォンにも搭載されていくだろう。

米中摩擦はまだまだ続く。世界を巻き込んだこの状況は、いつになったら終わりを迎えるのだろうか。

経営トップ、発言の真意
(画像=THE OWNER編集部)クリックすると連載TOPページへ飛びます