職場
(画像=sebra/stock.adobe.com)

2020年4月に行われ行われたアンケート「なぜ経理/財務部門ではテレワークが進まないのか」によると、テレワーク(在宅勤務)の導入で、経理業務の効率がおちていると答えた人が43%にのぼることが分かりました。(参照:ダイヤモンド社とスーパーストリーム社 共同アンケート)そもそも経理部門では、他部門に比べて在宅勤務を行行う人が少なく、在宅勤務を行ったとしても生産性が落ちてしまっている状況です。

いま、わたしたちは個人の暮らしだけでなく、企業も働き方対策や感染症対策といった、ニューノーマルな日常が求められています。それは、企業の経理部門も例外ではありません。では生産性が低いといわれている経理に、どうすれば在宅勤務を導入し生産性を向上させることができるのでしょうか。

ITツールを導入すれば働き方改革もて在宅勤務の効率アップも叶う

まず、なぜ経理の生産性は低いのでしょうか。その答えのひとつに、紙資料の多さがあげられます。自社の経理担当者は領収書や請求書を受け取り、伝票や帳簿を作成し、日付ごとに並べ替えてファイリングをしていませんか?これらは、ITツールを導入することで飛躍的に作業時間を短縮することができます。

たとえば経費精算の領収書やレシートを各自がスキャンし、ITツールにアップロードすることで、AIやOCRで自動的に数字を入力し、各段に経理担当者の作業が少なくなります。また、ITツール上から証憑類のデータを確認することができるので、経理担当者は出社することなく自宅のパソコンから作業ができるようになります。

請求書を作成業務についても考えてみましょう。紙の請求書であれば1枚ずつ社判を押印していく必要があります。一方、請求書作成用のITツールを使えば、社判が印刷された状態で出力することが可能です。

また、会計システムに請求書作成機能がついているものを選べば、「請求書を作成すれば仕訳が登録できている」という状態も実現できます。つまり、これまで経理業務で二重・三重になっていた作業を削減することができるのです。

失敗しないITツール導入のマインドセット

ITツールで経理の効率化が叶うことは、おわかりいただけたかと思います。しかし、いざ現場で導入してみても、ツールの使用率がなかなかあがらないこともあるでしょう。実はITツールを導入しても、使われずに終わってしまった・・・という失敗はよくある話。

ではなぜ失敗してしまうのでしょうか。その理由は、いまある業務フローにITツールを合わせようとするから、不都合が生じて使いにくくなるのです。そもそもITツールは、効率的に業務が進められるように設計されています。その特徴をつかみ、ITツールに業務フローを合わせていくことが求められているのです。

経理の生産性向上は、どこから対処する?

とはいえ、突然ITツールを導入して経理業務全体のフローを変えてしまうのは、現実的ではありません。まずは大幅な業務改善が見込め、かつ何らかのトラブルが起こっても何とかできる社内のフローから変更していくと安心です。

まずは経費精算からITツールを導入する

経費精算では、大量のレシートや領収書を打ち込む必要があります。この業務にITツールを導入すれば、前述のとおり、金額の入力はAIやOCRの機能でほぼ自動的に反映されます。データさえあれば、入力やチェックの業務はリモートワーク でも可能。経理部門はそもそも在宅勤務をしている人が少ないという現実から、1歩リードすることができます。

会計システムもクラウド化する

次に手をつけたいのが会計システムです。インターネットバンキングと会計システムを連携できるクラウドタイプを選びましょう。こうすることで、自動的に会計システムの中に最新の銀行口座情報が取り込まれ、経理担当者がわざわざ1行ずつ入力していく手間が省けます。経理担当者は勘定科目を選択したり、備考欄を入力するだけでよくなり、入力業務を大幅に効率化することが可能です。

また、買掛金を入力していれば自動的に全銀データができあがり、インターネットバンキングにアップロードするだけで振込処理が完了したり、売上請求書作成時に入金予定日を入れておけば、期日を超過した場合にアラートを出してくれる会計システムもあります。

このように、ITツールの力を借りれば、経理の業務効率は各段にあがるでしょう。

徹底的にやるなら経理のアウトソースを活用する

ここまでITツールの良さについてお伝えしましたが、社内のメンバーでITツールを導入しようとすると、どうしても現行の業務フローに合わせようとしてしまうなど、融通を利かせてしまうこともあるでしょう。

そうならないためには、第三者の客観的な視点を入れることが重要です。そのような場合は、経理部門にITツールを導入し、業務改善を行行っているアウトソーシング会社に相談すると良いでしょう。経理アウトソーシング会社はさまざまな規模・業種の経理部門のノウハウを持っており、経理を標準化させてくれます。

自社だけでは変えにくかった非効率な業務も、第三者が入ることで改めて業務を見つめ直す機会になります。また、そのまま足りないリソースをアウトソースできるので、経理部門の従業員はコア業務に集中させ、作業をアウトソースしてしまうことも可能です。

リソースの確保と同時に業務改善もできてしまうアウトソーシングは、非効率な経理部門に悩む企業にとって一石二鳥の選択肢だといえます。

ITツールを使いこなせば経理は必ず変われる

意図せず属人化しやすい経理部門は、同じ業務フローが長年続き、その結果非効率な業務フローになりやすい部署です。そのため、業務フローの変更には固定観念やしがらみが多く、なかなか思うように進まないこともあるでしょう。しかし、ニューノーマルな日常がはじまったいま、経理部門だけ変わらないわけにはいきません。

ITツールを導入したり、経理アウトソーシングなど第三者の手を借りることで、自社の経理部門の生産性は飛躍的にあがります。経理の人手不足も深刻になっているこのタイミングで、自社の経理部門の生産性について考えてみてはいかがでしょうか。

(提供:税理士法人M&Tグループ