「UCC Smile Festa 2020」が9月8日・9日に東京・五反田で開かれた。外食産業は依然として厳しい状況にあり、展示会で簡便性の高い商品やコロナ禍の飲食店に求められることなどを紹介し、業界の活性化につなげるねらいだ。
新型コロナの影響で生活様式は変化し、家で過ごす時間が増えたために食事の見直しなどを行う人や、リモートワークの定着化で仕事とプライベートの区切り方も変化しているという。そこで、同展示会ではコロナ関連の情報を「安定化」「再始動」「成長」の3ステージに分けて伝えた。
最初のステップの「安定化」は、現状の分析や短期的リスクの回避、事業安定性などをキーワードに掲げた。外食市場は2020年3月以降前年割れ傾向が続く。緊急事態宣言の発令された4月・5月の売上は大幅に落ち込み、前年同月比で40%以上減少したという。
一方で、テークアウトやデリバリーの利用は伸長傾向にある。ぐるなびの調査(1000人対象)では、テークアウトの利用が増えたと消費者の51.3%が答えた。デリバリーは26.3%の人が増えたと回答した。
業務用商品を手掛けるUCCコーヒープロフェッショナルは、店頭ポスターやのぼり、POPといった、テークアウトに活用できる資材を無償で提供する。また、テークアウト向けのメニュー提案として、業態ごとにビジュアルを活かしたメニューも紹介した。
次のステップの「再始動」では、段階的な再起動、経済活動の再開、顧客とのコミュニケーションの復活をキーワードとした。7月時点で時短営業を含めて90%以上の店舗で営業を再開している。一方、消費者に今後の外食を控えるか聞くと、69.1%の人は一部の外食機会を自粛すると答え、22.4%は全ての外食機会を自粛すると回答した。飲食店でテークアウトの開始を知るツールとして、76.2%の人はSNSを通じて情報を得ているという。
UCCは、来店客のいない時間帯にもアプローチできるよう、店の前を通った人に発信できるツールの紹介や、SNSのハッシュタグを利用した情報発信の方法を伝えた。また、仕込時間の削減へ、ミールキットや短時間で茹で上がるスパゲッティも提案している。ミールキットは、食材費こそ高くなるが、人件費を加味すると手作りよりコストカットにつながる点が特徴。
「成長」のステージでは、挑戦と変革、顧客ニーズへの対応、店舗の価値を上げるためをキーワードにした。変化した市場環境への対応として、新たなビジネスモデルの構築やオンラインでのスタッフ教育、非接触型のサービスなどが重要になる。新たな売上確保は、物販の強化を掲げた。ついで買いを促して客単価のアップを狙う。準備の手間が少ない他、リピート率のアップにもなるという。EC販売やサブスクリプションも紹介した。非接触型サービスは、QRタッチレスメニューやモバイルオーダーを提案している。
コーヒーのブースでは、高まるカフェインレスのニーズに応え、アレンジメニューに使いやすい「UCC DECAF ダークロースト」(200g豆)とともに、ロスの心配がいらないオーダーごとに使えるコーヒーバッグタイプを新発売する。バッグタイプは、手間なし、ロスなしで注目されそうだ。そして、幅広い店舗で採用されている「グランゼ セレクト」は、味覚トレンドに合わせた味・香りにブラッシュアップした。さらに、SDGsが盛り上がる中で、サステナブルコーヒーとして、「UCCホンジュラスWOMEN‘S COFFEE」(200g豆)を今春から発売し話題となっている。同商品は、コーヒー生産に携わる女性の雇用や社会活動をサポートするNPO法人への支援を行っている。 「UCC DECAF ダークロースト」
今回の展示会は、今年2月から全国8都市で開催予定だったが、岡山と名古屋、神戸の3会場のみで実施し、延期していた東京は9月実施となり、コロナ関連の内容を織り込んで実施した。コロナ感染予防の観点から3500人収容できる会場で半数程度の来場者数に抑えたほか、通常よりブース間のスペースを設けたという。