矢野経済研究所
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2019年のERPパッケージ市場は1,198億3,000万円、DXを追い風に前年比7.0%増の成長

~新型コロナウイルスの影響、業績悪化による投資減退で2021年の市場はマイナス成長に転じると予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のERPパッケージライセンス市場を調査し、参入企業・ユーザ企業の動向、クラウド化の状況、将来展望を明らかにした。

ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測

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ERPパッケージのクラウド利用率の推移・予測

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1.市場概況

2019年のERPパッケージ市場は、エンドユーザ渡し価格ベースで前年比7.0%増の1,198億3,000万円となった。2019年は、2018年の伸び率(4.4%増)を上回る成長を遂げた。
2019年の市場拡大は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が後押ししたと考える。DXは多義的な表現だが、「レガシーな情報システムを刷新する」、「ビジネスの変革やデジタル化の推進に伴い経営基盤を見直す」という双方の意味で、ERPのリプレイスが進んだ。
2020年以降は新型コロナウイルス感染症による影響が懸念されるものの、2020年8月時点では上期(1~6月)までのERPパッケージベンダー事業への影響は軽微である。2020年通年でみても、好調だった前年に決まった受注案件への対応もあるため、2020年のERPパッケージ市場は1,241億6,000万円、前年比3.6%増とプラス成長を維持する見通しである。

2.注目トピック

コロナ禍でクラウド化は加速、2021年には利用率が63.5%になると予測

2019年のクラウド利用率(IaaS/PaaS利用とSaaS利用の合計)は38.3%まで拡大した。
これまでも順調にクラウド化が進んでいたが、コロナ禍においてさらに加速するとみられる。非対面が推奨され、モバイルワークの利用率が高い状況においてはクラウドの利便性が高い。今後のERP利活用においては、ユーザ企業の経理や人事担当者がテレワークをしながら利用できること、ベンダーがメンテナンスや不具合対応をリモートで行えること、なども一層重視されるようになる。
今後のERPの導入においては、クラウド型のERPが優先して選択される傾向が強まる見通しである。2021年にはクラウドの利用率がオンプレミスを上回り、63.5%になると予測する。

3.将来展望

現時点でも新型コロナウイルス感染症の終息時期が見通せず、さまざまな業種において一層の業績悪化が見込まれるため、ユーザ企業におけるERPへの投資減退も避けられないと考える。ERPパッケージ市場の影響は2020年下期以降に表出し、2021年には前年比マイナスに転じると予測する。
しかし、2019年までの市場を牽引した基幹システムの見直し需要は底堅く、IT投資の優先度は引き続き高い可能性がある。さらに、ウィズコロナ時代のニューノーマルに対応するためにDXを推進し、それに伴うERPのリプレイスを行う企業も多いと見込まれる。そのため、リーマン・ショック後のような大幅な市場の落ち込みには至らず、2021年のERPパッケージ市場は、エンドユーザ渡し価格ベースで前年比2.7%減、1,208億円に留まると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~8月
2.調査対象: ERPパッケージベンダー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談に電話・文献調査を併用
<ERPパッケージライセンス市場とは>
ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージとは、財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合する情報システムを構築するための基幹業務管理パッケージソフトウェアを指す。
本調査におけるERPパッケージライセンス市場は、ERPパッケージベンダーのライセンス売上高(クラウドのサブスクリプション売上高を含む)をエンドユーザ渡し価格ベースで算出した。なお、コンサルティング・SI等、保守サポートなどの関連売上高は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
ERPパッケージ

出典資料について

資料名2020 ERP市場の実態と展望
発刊日2020年08月28日
体裁A4 329ページ
定価180,000円(税別)

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