助成金
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助成金と補助金は、何となく同じような意味で使われがちだ。しかし助成金と補助金は、まったくの別物である。今回は、助成金や補助金支給の流れや両者の共通点、相違点などをまとめて解説していく。特に両者の相違点はかなり重要な項目なので掘り下げて紹介する。

目次

  1. 助成金・補助金支給の流れ
    1. 助成金支給の流れ
    2. 補助金支給の流れ
  2. 助成金と補助金の共通点
    1. 国や自治体から支給される
    2. 支払いは後払い
    3. 返済義務はない
  3. 助成金と補助金の違いは?
    1. 管轄(最も本質的な相違点)
    2. 金額や倍率
    3. 募集期間
  4. 代表的な助成金・補助金
  5. 共通点と相違点をしっかりと理解する

助成金・補助金支給の流れ

まず助成金や補助金がどのようにして支給されるのかを見ていく。概観を眺めることによってそれぞれの特徴がよく見えてくるだろう。

助成金支給の流れ

助成金は主に厚生労働省の管轄であり雇用に関するものが多い。基本的に「企業が払っている保険料」を財源としており随時募集を行っている。給付は「実施計画申請→実施→支給申請→給付」といった流れだ。まずは実施計画の申請を行う。助成金にはいくつかの要件があるため要件に沿った実施計画を作成しそれを提出するところから始まる。

またその計画通りに計画を実施し助成金の支給申請をして要件通りであれば助成金が下りるという流れだ。

補助金支給の流れ

次に補助金を見ていく。補助金は、主に経済産業省や地方自治体の管轄であり予算は税金である。基本的には年数回程度の公募制で給付は「公募→申請書類提出→審査→採択→事業実施→支給申請→給付」といった流れだ。補助金は公募から始まり、それを見た各団体が申請書類を提出。主に書類審査が行われ合否の判定が出る。

採択決定となると採択通知が郵送され申請書類通りの事業を実施。それから支給の申請をして要件に合っていれば補助金が支給される。ちなみに助成金と補助金のどちらの場合も会計検査院などによる不正受給検査が行われるのが一般的だ。補助金などの不正受給は昨今問題になっており適切な事業者に給付がいくよう徹底した検査が行われている。

この章で見てきたように助成金と補助金は、管轄や財源の違いもあってか支給の流れが異なる。次の章からは、助成金と補助金の共通点や相違点を細かくまとめていく。

助成金と補助金の共通点

ここからは助成金と補助金の共通点や相違点を解説していく。まずは両者に共通する事柄から見ていこう。

国や自治体から支給される

1つ目の共通点は「国や自治体から支給される」というものだ。助成金は主に厚生労働省、補助金は主に経済産業省や地方自治体の管轄である。助成金や補助金というのは、あくまでも公的な制度なのだ。ちなみに地方自治体の場合は「助成金」と「補助金」という言葉の使い分けがやや曖昧であるので注意したい。

支払いは後払い

2つ目の共通点は「支払いが基本的に後払いになる」というものだ。先述したように事業者は計画に沿って事業などを実施したうえで支給の申請をする流れになっている。例えば以下のように考える経営者がいたとしよう。

「会社を経営しているが、今月は少し厳しい状況だ。こうなったら助成金や補助金を申請して、とりあえず今月の支出にあてて切り抜けよう」

しかし助成金や補助金は基本的に後払いになるため「財務状況が厳しいときに申請をして支出に充当する」というような使い方はできない。事業を実施した後に報告書を作成および提出し、OKが出て初めて支給されるものなのだ。これは両者に共通する特徴なので注意しておきたい。ちなみに前払いで資金調達を受けたい場合は、クラウドファンディングやベンチャーキャピタルなどを利用するのが賢明だ。

クラウドファンディングは、インターネット上の不特定多数の人間が特定の組織や人などへ資金を提供するサービスである。企画の内容をまとめて融資を募る方法のため、補助金や助成金と異なり事業を始める前に資金を確保することも可能だ。ベンチャーキャピタル(VC)はいわゆる投資ファンドのことで高い成長率を持った未上場企業に対して投資を行う。

「リターンを考えての投資」という扱いなので助成金や補助金とは違い事業に先立って資金を調達することが可能だ。投資ファンドによっては、経営コンサルタントを提供するところや投資先企業の取締役会などに参加し経営についての提言をするようなところもある。

返済義務はない

助成金や補助金と銘打っている通りあくまでも借金とは別物だ。そのため原則として返済義務はない。ただしコンペティション型の事業の場合、「利益が出た場合にその一部を還元する」という特約を設けている場合がある。実質的な返済義務があるような助成金・補助金も多数存在するため、個別的な確認は必要になってくるだろう。

やみくもに申し込んだところで元も子もないので必ず要綱などの確認は徹底しておきたいところだ。他にも「補助金の不正受給」した場合は返済義務が生じる。「不正受給」が認められた場合、該当の事業者はすみやかに補助金を返済しなければならない。助成金や補助金に「どういった要件が設けられているか」は、厚生労働省や中小企業庁のホームページで確認することができる。

ホームページには各助成金、各補助金の公募情報などが載っており、そこに募集要項なども添付されている。助成金や補助金を申請するときは、必ずホームページの募集要項をしっかりと確認しておきたい。

助成金と補助金の違いは?

では助成金と補助金の違いはどこにあるのだろうか。

管轄(最も本質的な相違点)

先述のように助成金は主に厚生労働省、補助金は主に経済産業省や地方自治体の管轄になる。これが両者の最も本質的な違いだ。つまり助成金は「雇用・労働環境を整える」ことに重点が置かれ補助金は「事業を通じて公益を達成する」ことに重点が置かれている。ちなみに余談になるが助成金と補助金では専門家が違う。

助成金は主に社会保険労務士や行政書士などが専門家として相談に乗ってくれる。補助金はコンサルティング会社や中小企業診断士、税理士などが相談相手になるだろう。

金額や倍率

管轄などが違ってくると当然かかってくる金額も変わってくる。一般的には助成金よりも補助金のほうがより規模は大きく数百万円~数十億円までかけるものもある。助成金は雇用の増加や能力開発のために支給されるものなので費用としては数十万円ほど高くても百万円を超えるくらいのものだ。助成金は、要件を満たしてさえいれば支給を受けられる。

そのため倍率というようなものはほとんどないだろう。一方補助金は、公募という形で事業計画を募集するため、審査を通過するための難易度がかなり高くなる。中小企業庁などの視点で考えてみても、よりふさわしい企業に補助金を支給したいはずなので、提案型で競争をさせるという方法は理にかなっている。

やや雑な整理にはなるが「雇用や労働環境を整えた事業者に支給されるのが助成金」「最も優れた事業を提案した者に支給されるのが補助金」という認識で良いだろう。

募集期間

繰り返しになるが、助成金はある一定の要件を満たすことで支給されるものなので基本的には随時募集または長期間での募集となる。そのため助成金の要件に見合うような雇用を継続して行えばその分の助成金を収入として見込めるだろう。一方で補助金は、ある程度の目処を決めて公募を出すため、募集期間は数週間から1ヵ月程度になる。

代表的な助成金・補助金

ここで助成金や補助金の具体例を挙げていく。まずは厚生労働省のホームページに記載がある助成金のうち「65歳超雇用推進助成金」について紹介する。これは高齢者が年齢に関係なく働くことのできる「生涯現役社会」を実現するため、定年引き上げや高齢者の無期雇用化などを行う事業者に対して給付されるものだ。

この助成金には「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」「高年齢者無期雇用転換コース」の3つのコースがあり、それぞれに要件や受給額が設定されている。要件に合うように雇用や労働環境を整えた事業者は、この助成金の給付することが可能だ。他にも助成金には以下のようなものがある。

  • 雇用調整助成金
  • 労働移動支援助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 障害者雇用安定助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 通年雇用助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 両立支援等助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 業務改善助成金
  • 時間外労働等改善助成金
  • 受動喫煙防止対策助成金
  • 産業保健関係助成金

次に補助金について見ていく。中小企業庁のホームページには、補助金の公募についての情報が多数載っており例えば「経営相談体制強化事業」という補助金がある。応募期間は2020年4月15日~2020年4月22日。企画競争型であり優れた提案をした事業者にのみ支給される。中小企業庁によれば、この補助金は以下のようなコンセプトのもとで実施される。

「本事業は、経営相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小企業・小規模事業者(以下、「相談事業者」という。)からの当面の資金繰りの安定化をはじめとした経営課題に関する相談に対応していくため、企業経営及び中小企業施策に関する知識を有する者による相談受付体制を構築することを目的とした事業です」
出典:中小企業庁

審査にあたっては、第三者の有識者たちで構成される委員会を実施することになっている。要件を満たしているのは大前提でさらなる付加価値が必要だ。

共通点と相違点をしっかりと理解する

今まで見てきたように助成金と補助金はまったく違うものだ。両者の共通点と相違点をしっかりと理解したうえで「自分の組織には何ができるのか」を考えていくことが大事になってくる。助成金や補助金に関しての情報は、やはり厚生労働省や経済産業省(中小企業庁)のホームページから仕入れるのが望ましい。さまざまなメディアやブログ記事などでも紹介されているが何よりも1次情報にまず当たってみることが重要だ。

文・小西拓登(ダリコーポレーション ライター)

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