量販店の清涼飲料売場
(画像=量販店の清涼飲料売場)

清涼飲料メーカー各社の6月の販売数量実績が相次いで確定し、大手各社の主要ブランドが好調に推移していることがわかった。清涼飲料市場は、新型コロナウイルスによる在宅勤務の推奨や外出自粛の影響で、4月と5月は2カ月連続で市場全体の販売実績が前年比約80%となり厳しい状況が続いていた。だが、経済活動が徐々に再開したこともあり、6月単月の市場は約98%まで回復している。

2020年6月度 清涼飲料メーカーの販売実績
(画像=2020年6月度 清涼飲料メーカーの販売実績)

特に好調だったのは大手各社の主力ブランドだ。大手飲料メーカーのアサヒ飲料が行った“コロナ禍における飲料購買の意識に関する調査”では、生活者が「いつも選んでいる定番のブランド」「よく知られた安心感のあるブランド」を選ぶ傾向にあることがわかったという。実際に、6月に前年実績を上回った好調ブランドは各社の定番品がほとんどだ。

アサヒ飲料は、炭酸飲料カテゴリーの販売が特に好調で、6月単月では「三ツ矢」が108%、「ウィルキンソン」が119%と大きく数字を伸ばした。両ブランドは、上半期(1~6月累計)の販売数量においてもブランド史上過去最高を更新している。盛夏期に向けて需要拡大に応えるため、7月に「三ツ矢」を前年より約4割、「ウィルキンソン」を約2割増産することを発表した。

「三ツ矢」は日本を代表するグループ「嵐」を起用し、広告と販促ツールを活用した店頭展開を行ったほか、「特濃オレンジスカッシュ」が販売計画を上回って推移したことが大きい。「ウィルキンソン」は、コロナ禍の巣ごもり需要により、直接飲用やお酒の割材として購入機会が増加していることが成長の要因となった。そして、定番感や安心感の商品が選ばれる傾向にあることが、同社は「日本生まれの100年ブランドである両ブランドがお客様からご支持を頂けたのではないか」としている。

サントリー食品インターナショナルは、4月に大型リニューアルを行った発売17年目の「伊右衛門」が引き続き躍進し、6月単月はブランド全体で前年比138%となり、「伊右衛門」の緑茶本体は約160%となった。コンビニエンスストアにおける売り上げは前年同期比で2倍以上という。パッケージも水色(すいしょく)も“緑”にこだわったマーケティングによりトライアルが増え、味わいの高さからリピート購入につながっている。

キリンビバレッジは、炭酸飲料の「キリンレモン」ブランドが6月発売の「スパークリング 無糖」の導入もあり約170%、「世界のKitchenから ソルティライチ」も約110%と好調。プラズマ乳酸菌配合の「iMUSE(イミューズ)」ブランドは、春先からの好調を6月も維持して単月で約3倍の販売実績になっている。

伊藤園は、日本茶・健康茶カテゴリーが6月単月で103%を達成。「お~いお茶」ブランドがけん引し、特に昨年から人気の「濃い茶」と、6月29日発売の「カフェインゼロ」が貢献している。大塚製薬は、「ポカリスエット」が108%、「オロナミンC」も105%と数字を伸ばした。

7月に入って気温が高まる中、マスクをする人が多いため、熱中症対策が例年以上に重視されている。水分補給は熱中症対策で欠かせないものであり、清涼飲料各社は盛夏期に向け、製造体制と物流体制の充実を図っている。