トヨタ自動車は、グローバル化が進む厳しい企業競争の中で、順調に成長している企業のひとつである。トヨタ自動車の成功の要因として語られるのが、明確な企業理念とトヨタ生産方式だ。今回はこの2つの要因と、将来を見据えて走り始めているトヨタ自動車の企業経営を紹介し、経営戦略のヒントを解説する。
目次
企業経営の基本となる明確な企業理念
企業経営の根幹となるのが企業理念であり、企業は企業理念を内外に表明している。成功している企業の多くが明確な企業理念を持っているが、トヨタ自動車もそのひとつである。企業理念とは、企業の存在意義、経営の目的、経営の方向性を明確に表すもので、トヨタ自動車では、「基本理念」「行動指針」「グローバルビジョン」「生産方式」という4つの哲学とビジョンで構成されている。
企業理念は、企業独自の企業文化をつくり、企業経営を向上させる。経営者は社員に企業理念を浸透させることで、企業目標と一致した行動と判断の指標を与えることができ、共感によるモチベーションアップとエンゲージメントの向上につながる。
トヨタ自動車のように創業から長い年月が経っている企業は、創業時の企業理念を伝統的に守り続けている企業も多い。老舗企業として強力な影響力をもつ一方で、企業を取りまく社会環境の変化は加速しているため、企業理念も時代に合わせる必要性が出てくるのも事実である。
トヨタ自動車は、伝統的な「基本理念」を重要視しながら、時代の変化に合わせた「グローバルビジョン」を企業理念に掲げ、現在から将来に向けての明確なビジョンの表明を実現している。