休業支援制度
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新型コロナウイルスの感染拡大で、休業を余儀なくされる企業が続出している。そんな中、地方経済と雇用の下支えに向け、事業者に対する独自の支援策を打ち出す自治体も増えてきた。この記事では自治体独自の休業支援にフォーカスし、事例を紹介していく。事業者であれば絶対に知っておきたい情報だ。

休業の実態は?

帝国データバンクの調べによれば、4月10日までに休業措置などを取った上場企業は累計306社に上っている。新たに休業措置などを取った企業が目立ったのが3月の4週目(62社)と、4月の2週目(111社)だ。3月の第4週には首都圏における外出自粛要請が出され、4月第2週には緊急事態宣言が発出された。

特に、スーパーを除く小売店や居酒屋を含む飲食店が目立つが、サービス業の休業も多い。例えば、結婚式場大手のテイクアンドギヴ・ニーズは一部式場をすでに休業しており、映画館事業を手掛ける武蔵野興業も映画館の休館を当面の間続けることを発表している。

帝国データバンクの調査は上場企業だけを対象としているが、中小企業や個人事業主の休業なども含めれば、かなりの数に達するはずだ。

各都道府県の独自の支援策

休業した理由は企業によって異なる。国や自治体から要請を受けて休業したケースもあれば、従業員の感染防止を重視して自主休業を決めた企業もある。ただ確実に休業する企業は増え続けており、自治体が独自に休業支援策を打ち出し始めている。

東京都:支給額は50万円、2カ所以上で休業などする場合は100万円に

東京都は、都からの施設の使用停止や営業時間の短縮への依頼に協力した中小企業や事業者に対し、「東京都感染拡大防止協力金」を支給することを発表している。

この協力金の支給額は50万円で、2カ所以上の事業所で休業や営業時間の短縮に取り組んだ場合は100万円まで上乗せされる。申請の受付期間は6月15日までとなっており、オンラインか郵送で申請することが可能だ。早ければ支給は5月上旬にも開始される予定である。

東京都は、このほかにも休業支援策を打ち出している。例えば「東京都商店街新型コロナウイルス感染症緊急対策奨励金」は、都内の商店街を対象にした休業支援だ。要件を満たした上で4月25日~5月6日まで商店街の加盟店が一体となって自主休業した場合、1日50万円の支援金の交付を受けることができる。

理美容事業者の自主休業に対する給付金制度(15万円)も発表されているほか、休業支援のための専門家派遣などの取り組みも開始している。

大阪府:支給額は中小企業が100万円、個人事業主が50万円

大阪府は4月27日、「休業要請支援金(府・市町村共同支援金)」の申請受け付けを開始すると発表した。受付期間は5月31日まで。大阪府の要請を受け4月21日から5月6日までの全期間で休業に協力した事業者を対象としており、4月の売上高が前年同月比で50%以上減少しているなどの条件を満たしている必要がある。

支給額は、中小企業が100万円、個人事業主が50万円で、財源は大阪府と市町村が半分ずつ負担して捻出する形となる。

北海道:札幌市と協力しながら対象事業者に30万円を支給

北海道は札幌市と協力しつつ、一定要件を満たした上で休業する事業者に対する支援金制度を設けている。

対象となるのは、北海道から休業などの要請・依頼があったスナックやカラオケボックス、ライブハウス、スポーツクラブ、学習塾、飲食店(酒類提供あり)などのほか、酒類の提供がない飲食店で営業の休止や営業時間の短縮などを実施した事業者も含まれる。支給額は30万円だ。

愛知県:要請を受けた期間に全日休業した事業者などに50万円を支給

愛知県では、休業や営業時間の要請を受けた施設の事業者のうち、4月17日~5月6日まで全日休業などを実施した事業者に対し、50万円を支給する制度を発表している。申請の受付期間は6月15日までで、申請方法は「郵送(簡易書留など)」とされている。

沖縄県:要請を受けて休業した事業者に20万円を支給

沖縄県も支援策をすでに発表している。県からの要請を受けて4月24日~5月6日まで休業した事業者に20万円を支給するというものだ。また、休業などの協力要請対象とはなっていない小売業者などの場合でも、売上が減少しているケースは10万円の支給を受けることができる制度も設けている。

国の「持続化給付金」などの情報もしっかりキャッチを

中小企業や個人事業主に対する支援策としては、国の「持続化給付金」などもある。先日、経済産業省が支給を受けることができる事業者の条件や申請方法などを公表したので、こちらも各自治体独自の支援策と合わせて、しっかりと内容を把握しておきたいところだ。

せっかく国や各自治体がこのような制度を打ち出しても、申請を出さなければ支援を受けることはできない。今後新たな支援策が発表される可能性もあり、最新情報のキャッチアップを心掛けたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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