中小企業経営者の悩みには、財務や人材に関わることなど、企業の存続に直結するものがある。少子高齢化による人材不足はもちろん、「働き方改革」への対応など、中小企業経営者の悩みの種は尽きない。ここでは、中小企業経営者が抱える悩みの実情や解決のためのヒントを紹介していく。
目次
中小企業経営者の事業に関する3つの悩み
中小企業経営者は、「売り上げ拡大」「コスト削減」「従業員の採用・育成」といった、3つの大きな悩みを抱えている。これら3つの経営課題に対して、中小企業の経営者は具体的にどのようなことで悩み、どのような改善を期待しているのだろうか。大同生命保険株式会社が2019年12月に全国の企業経営者に対して実施したアンケート調査「大同生命サーベイ(2019年12月)」を参考に確認してみよう。
1.売上拡大の悩みに関する実情
どんなに良い製品やサービスを提供していても、景気や経済情勢によって売上に影響を受けることもある。2019年の経営環境に関する調べでは、「良かった」と回答した企業の割合は31%、「悪かった」は21%であるが、どちらの回答も前年同月に比べると悪化傾向にある。
良かった | ふつう | 悪かった | |
---|---|---|---|
2019年12月 | 31%(対前年5%減) | 48% | 21%(対前年4%増) |
2018年12月 | 36% | 48% | 17% |
経営環境が「悪かった」と回答した中で最も多い理由が「売上が縮小した(41%)」であった。消費税の増税や物価上昇に伴う国内景気の変動や、米中貿易摩擦などによる世界経済成長率の減速の影響も要因として考えられる。
2020年の経営環境への期待に関する調査において、経営者の回答で最も多かったのは「個人消費の拡大(37%)」であり、経営者が売上拡大の悩みに直面している様子がうかがえる。
2.コスト削減の悩みに関する実情
売上拡大と同様に、利益の向上も事業存続には不可欠であり、中小企業の経営者にとって悩みの種となっている。経営者は同調査において、経営環境が悪かった理由として「売上縮小(41%)」に次いで「利益が縮小した(22%)」を挙げている。利益の縮小は経営者の多くが抱えている課題であるが、利益を向上させるためには、売上を増やすだけでなく、コストを削減することも重要である。
コストには原料費や人件費、燃料費、在庫管理費などさまざまな費用が関わっている。コストカットをしても生産性は維持・向上させなければならないため、どのコストからテコ入れするべきか悩みどころである。
3.従業員の採用・育成の悩みに関する実情
日本社会の現状は、少子高齢化に伴う労働人口の減少が加速しており、「人生100年時代」構想で、政府は働き方改革の実現に向けて、女性の就労および高齢者雇用を推進している。しかし、企業経営者にとっては人手不足が深刻化している実態がある。同調査でも2020年に特に注力したいこととして、「人材の確保(39%)」および「人材の育成(38%)」を挙げている経営者は多い。
労働力を確保できなければ企業の生産力は低下していくであろうし、AIやIoTなどの普及で産業構造が大きく変化している時代においては、新たな技術に対応できる社員の育成も喫緊の課題であろう。
>>まずはM&A仲介の「日本M&Aセンター」に無料で相談してみる