2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に

※当サイトはプロモーションを含む場合があります。

2025年6月のNFT市場は、5月に見られた回復の動きから一転し、再び調整局面を迎えました。

月間取引高は約3億8,900万ドルとなり、前月の約4億7,500万ドルからおよそ18%の減少を記録しています。

市場参加者においても、NFTの売却者数が購入者の数を上回る結果となり、市場の熱気がやや冷え込んでいる状況がうかがえます。

しかし、こうした市場全体が縮小する中でも、内部の構造変化は続いています。以前から見られたPFP系NFTから、ゲームやRWAといった機能を持つNFTへの関心の移り変わりは6月に一つの節目を迎え、ついにゲーム関連のコレクションが取引高で市場のトップを占めるに至りました。NFTに求められる価値の変化が、数字の上で明確に表れた一ヶ月だったと言えるでしょう。

本レポートでは、NFT市場の全体動向と内部の構造変化を、チェーン別・マーケットプレイス別・主要コレクション別に分解し、国内の動きも交えながら多角的に整理していきます。

本レポートの全体概要 ・月間総取引高は約3.89億ドルで前月比-18%と再び減速

・チェーン別ではImmutableが取引高で首位に

・Baseがアクティブウォレットの4割を占めるも、取引高は180万ドル止まり

・コレクション別ではゲームNFTとRWAが取引高トップ5の4枠を占める

・マーケットプレイスはOpenSeaがシェア40%で独走、淘汰の波も進行

・国内市場はMoriusaがトップを維持。企業・自治体の“ユーティリティNFT”が活発化


目次

  1. 市場概要
  2. チェーン別動向
  3. マーケットプレイス別動向
  4. 主要NFTコレクションの動向
  5. 国内のNFT市場動向
  6. 2025年6月のNFTニュース5選
  7. まとめ

市場概要

2025年6月のNFT市場は、5月の回復基調から一転して取引が減速し、調整局面に入りました。CryptoSlamのデータによれば、6月の月間総取引高は約3億8,900万ドル(前月比約18%減)、取引件数も約554万件へと減少しています。加えて、平均取引額も約70ドルに低下しており、市場の勢いが鈍化したことが分かります。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:CryptoSlam

この動きは市場参加者の構成にも表れており、購入者数が約84万人に減少したのに対し、売却者数は約35.5万人に増加しました。「買い手が減り、売り手が増える」という需給バランスの緩みが、取引を手控える雰囲気に繋がったと考えられます。

一方で、取引されるコレクションの内容にも変化が見られました。これまで市場の主役であったPFP系に代わり、6月は「Guild of Guardians」などゲーム関連のNFTが取引高の上位を占めました。また、実物資産に紐づくNFTマーケットプレイス「Courtyard」での取引も引き続き高い水準を記録しており、市場の関心が具体的な機能を持つNFTへと移っていることがわかります。

チェーン別動向

6月のチェーン別取引高では、市場の勢力図が大きく塗り替わりました。これまで首位を維持してきたイーサリアムを抜き、ゲーム特化型チェーンのImmutableが約1億4,800万ドル(前月比+347%)の取引高を記録してトップに躍り出ました。これは人気ゲーム「Guild of Guardians」の活発な取引が牽引したもので、NFT市場におけるゲームカテゴリの存在感を強く示す結果と言えるでしょう。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:CryptoSlam

2位に後退したイーサリアムは約1億688万ドル(前月比-24%)、3位にはRWA系プロジェクト「Courtyard」の需要が底堅いPolygonが約8,149万ドル(前月比+13%)で続いています。5月に躍進したビットコインは約5,424万ドル(前月比-29%)とやや勢いを落としたものの、依然として市場の主要チェーンの一つとして位置付けられています。

一方でユーザー数に目を向けると、異なる傾向が見えてきます。月間ユーザー数では、Coinbaseが提供するL2チェーンのBaseが31.2万人で引き続き首位を維持し、前月に比べ2倍以上の流入数を記録しました。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:CryptoSlam

チェーン別ユニークユーザー数(集計期間:2025/5/27/~2025/6/26)

Dune Analyticsのデータによれば、Base上では多数のNFTプロジェクトが活発に取引されており、低コストで参加できる点が多くのライトユーザーを惹きつけているようです。これが、取引高では他チェーンに及ばないものの、ユーザー数では他を大きく引き離す要因となっています。これにイーサリアム、Polygonが続きます。

まとめると6月は、取引高ではImmutableのようなゲーム特化型チェーンが、ユーザー数ではBaseのような低コストなL2チェーンが、それぞれ異なる強みを発揮して市場を牽引しました。NFTのユースケースごとにチェーンがすみ分けるマルチチェーン化が、より一層鮮明になった一ヶ月と言えるでしょう。

マーケットプレイス別動向

6月のマーケットプレイス市場では、OpenSeaが取引高・ユーザー数ともに首位の座を堅守しました。取引高は約7,990万ドルで市場シェア約40%を占め、ユーザー数は38万人と、依然として他を圧倒しています。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:NFT Pulse

市況が落ち着く中でもOpenSeaが数値を伸ばした背景には、5月末に正式リリースされた新基盤「OS2」と、報酬プログラム「Voyages」への期待感があります 。将来的な独自トークン「$SEA」のエアドロップに期待したユーザーによる取引が活発化したことで、他が苦戦する中でも存在感を示したと言えるでしょう 。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:NFT Pulse

2位以下の順位争いは熾烈で、取引高ではBlurが約3,830万ドル(シェア19%)で2位、Magic Edenが約3,620万ドル(シェア18%)で僅差の3位につけています。しかしユーザー数ではMagic Edenが6.1万人とBlurの8,400人を大きく上回っており、トレーダー向けのBlurと、幅広いチェーンに対応しユーザー層を広げるMagic Edenという、両者の戦略の違いが数字に表れています。

一方で、市場の競争激化を受け、マーケットプレイスの淘汰も続いています。今年に入ってからはBybitやtofuNFTなど、複数のプラットフォームが閉鎖されていましたが、6月もその流れは続きました。

6月13日にはSolana系のSolsniperがサービス終了を発表し、月末にはLINEグループが運営する国内大手の「DOSI」もサービス終了を告知するなど、市場の再編が加速していることを印象付けました。

 

総じて6月は、OpenSeaがトークンへの期待感を追い風に首位を維持しつつも、BlurやMagic Edenが独自戦略でシェアを争う構図が続きました。一部のプラットフォームが市場から撤退する中、確固たる地位を築いた上位のマーケットプレイスへ、さらにユーザーと取引が集中していく傾向が見られます。

主要NFTコレクションの動向

6月のコレクション別ランキングでは、ゲーム関連NFTの躍進が市場のトレンドを明確に示しました。中でもImmutable上で展開される「Guild of Guardians Heroes」は、単体で約8,957万ドルという圧倒的な取引高を記録し、市場全体のトップに立ちました。同ゲームの「Avatars」コレクションも4位に入るなど、同一タイトルが市場を牽引しています。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:CryptoSlam

2位には、実物資産(RWA)に紐づくPolygon上の「Courtyard」が約7,042万ドルで続き、こちらも安定した需要を維持しています。3位の「DMarket」、5位の「Gods Unchained Cards」もゲーム関連のコレクションであり、取引高トップ5のうち4つをゲーム・RWAといった機能を持つNFTが占める結果となりました。

こうした状況から、市場の関心は従来のPFP系コレクションから、具体的な機能やエンタメ要素を持つNFTへと移行していることが分かります。「CryptoPunks」や「Pudgy Penguins」といった著名なPFPコレクションも上位15位以内にランクインしてはいるものの、取引規模では上位のゲーム・RWA系に大きく水をあけられています。

国内のNFT市場動向

6月の国内NFT市場では、「Moriusa(もりうさ)」が156.8 ETHの取引高でトップを維持し、IPとしての根強い人気を見せました。2位の「Murakami.Flowers Official」(55.37 ETH)、3位の「CNP / CryptoNinja Partners」(16.5 ETH)も引き続き上位をキープしており、主要なIPコレクションの地位は安定していると言えるでしょう。

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:NFTRanking

一方で、ランキングの数字以上に注目すべきは、以前から続く「NFTに実用性や特典を持たせる」という流れです。6月もこの動きは活発で、例えば、トヨタ自動車のGAZOO Racingが人気ゲーム「SNPIT」と提携してリリースしたカメラNFTはその代表例です。

他にも、アイドルグループ「WHITE SCORPION」が東京ドームの来場者へ記念NFTを無料配布したり、千葉市動物公園が運営資金を募るためのサポーターNFTを発行したりと、NFTがイベント参加の記念や、コミュニティ参加権として活用される事例が目立ちました。

プラットフォーム側でも、こうしたユーティリティを持つNFTの発行を支援する動きが見られます。SBIグループ傘下の「SBINFT Market」は、九州電力の所蔵アートNFT販売を手掛けるなど、企業資産の活用を推進しています。

総じて6月の国内市場は、人気IPがランキング上位を維持する一方、様々な企業や団体がNFTの「機能性」に着目し、ビジネスやファンとの交流に活用する動きが本格化した一ヶ月でした。

2025年6月のNFTニュース5選

ここでは、2025年6月に話題になったNFT系ニュースの中から、特にインパクトのあったものを5つに厳選してご紹介します。

1. 国内発NFT「Moriusa」が累計1,400 ETH(5.3億円)突破。コインチェックにて取扱い開始
2. アイドルグループ「WHITE SCORPION」が東京ドームシティの記念NFT施策に参加
3. 千葉市動物公園、資金調達と魅力創出を目指すNFTサイトを公開
4. クリプトリエ、自治体・事業者向けに「NFT×地方創生」の分析レポートを公開
5. OpenSea、月間ユーザー数が2年ぶりの高水準に。ただし取引高は低迷

各ニュースの概要を見ていきましょう。

国内発NFT「Moriusa」が累計1,400 ETH(5.3億円)突破。コインチェックにて取扱い開始

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:プレスリリース

海外で人気が先行していた国内発のNFTプロジェクト「Moriusa」の取引高が、リリースから約1か月で累計1,400 ETH(約5.3億円相当)を達成。

同時に、大手暗号資産取引所コインチェックのNFTマーケットで取扱開始されることが発表されました 。

国内の主要取引所が個人発IPのNFTを取り扱う先進的な事例として、日本発コンテンツの新たな可能性を示しています。

詳しくはこちら▼
国内発のNFTプロジェクト「Moriusa(もりうさ)NFT」が累計1,400 ETH(5.3億円)突破!コインチェックで取扱開始。

アイドルグループ「WHITE SCORPION」が東京ドームシティの記念NFT施策に参加

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:プレスリリース

秋元康氏プロデュースのアイドルグループ「WHITE SCORPION」が、東京ドームシティの施策「TOKYO DOME MEMORIAL NFT 365」に参加することが6月20日に発表されました 。

6月23日からの一週間、来場者は日替わりの記念NFTを無料で取得できるという内容で、「推し活」とWeb3技術を組み合わせた新たなファン体験として注目されました 。

詳しくはこちら▼
【Community Wars × WHITE SCORPION】東京ドームシティの来場記念NFT施策「TOKYO DOME MEMORIAL NFT 365」に参加決定!

千葉市動物公園、資金調達と魅力創出を目指すNFTサイトを公開

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:プレスリリース

千葉市とパシフィックコンサルタンツは6月25日、動物公園の魅力創出と資金調達を目的とした「千葉市動物公園NFTコレクション」の特設サイトを公開しました 。

園内の動物を3DモデルにしたNFTをコレクションできるもので、地方創生とNFTを結びつけた先進的な取り組みとして関心を集めています 。

詳しくはこちら▼
【公共インフラ等地域資源の3D・NFT事業】千葉市動物公園NFTコレクションの特設サイトを公開

クリプトリエ、自治体・事業者向けに「NFT×地方創生」の分析レポートを公開

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に
引用:プレスリリース

法人向けのWeb3ソリューションを提供するクリプトリエは6月25日、「NFT×地方創生事例 分析レポート」の2025年最新版を公開しました 。

レポートでは、地方創生施策を5つのフェーズに分類し、各段階でのNFT活用事例を詳細に分析しています。15,000字・30ページを超える大ボリュームで網羅的にカバーしており、「NFTとは」といったセクションもあることからNFTに詳しくない方でも安心です。

自治体や事業者がNFTを活用した地域課題解決の事例を体系的に整理したもので、再現性のあるモデルとして注目されています 。

詳しくはこちら▼
クリプトリエ、「NFT×地方創生事例 分析レポート」2025年最新版を公開

OpenSea、月間ユーザー数が2年ぶりの高水準に。ただし取引高は低迷

2025年6月NFT市場動向レポート|ゲームNFTが市場を牽引するもマイナス成長に

OpenSeaの月間アクティブユーザー数が、5月時点で2023年以来の最多となる46.7万人を記録したことが6月10日に報じられました 。

しかし取引高はピーク時の2%程度に留まっており、トークンへの期待感がユーザーを呼び込む一方、市場全体の流動性は依然として低いままであることが示されました 。

詳しくはこちら▼
OpenSea、月間ユーザー数が2023年以来の最多を更新──取引高は依然ピーク比98%減

まとめ

2025年6月のNFT市場は、取引高が約3.9億ドルまで減少する調整局面に入りましたが、その数字の裏で市場構造は大きく変化しました。印象的だったのは、ゲーム特化型チェーンImmutableが、人気ゲーム「Guild of Guardians」を追い風に取引高で首位に立ったことです。従来のPFPに代わり、ゲームやRWAといった機能を持つNFTが主役になったことが数字で示されました。

マーケットプレイスでは、OpenSeaが報酬プログラムへの期待感を追い風に首位を維持する一方、国内外でのサービス終了が相次ぎ、大手への淘汰と集中が進んでいます。

国内でも、大企業や地方自治体などがビジネスやファンとの交流にNFTを活用する事例が増え、市場が新たな実用段階に入ったことを示唆しています。全体として6月は、市場規模の縮小と、NFTの主役が交代する質的な変化が同時に進行した一ヶ月でした。

▶︎過去のレポートはこちら

参照元 https://dappradar.com/

https://www.cryptoslam.io/

https://www.nftpulse.org/

https://dune.com/denze/courtyard

https://nftranking.jp/

https://www.nftscan.com/