矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

2019年度のエステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで3,602億円の見込み

~施術の脱毛分野と物販が牽引~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内エステティックサロン市場を調査し、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

エステティックサロン市場規模推移

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1.市場概況

2019年度のエステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで3,602億円、前年度比100.3%の微増推移を見込む。2019年度は、施術の脱毛分野とともに物販が支えた。物販分野の伸長要因は商品力と販路拡大である。その事例のひとつとして、サロン運営企業が機能は本格的でありながら家庭用として手軽な脱毛機器を開発、手頃な値段で提供し、大手インターネット通販サイトなどへの出店を拡大したことで、店頭に来店した際に限定されていた販売機会を大きく広げたことにある。従来施術の販売状況に物販は連動するとされていたが、2019年度は必ずしもそうではない状況であった。

2.注目トピック

専門職大学の新設計画

エステティックサロン業界の慢性的な人材不足は、新規出店計画の実行に加え、既存店の通常営業にまで影響を及ぼしている。サービス基準やホスピタリティの低下を招けば、店舗やブランドの信用問題につながることから危機感が強まっており、抜本的な対策が待たれている。そうしたなか、2019年専門職大学の新設計画が有力サロン運営企業から発表された。社会におけるエステティシャンの位置づけが変わり、主たる働き手である20代の若い女性にとって魅力的な職業へと移行する可能性が期待される。

3.将来展望

2020年度のエステティックサロン市場規模は事業者売上高ベースで3,602億円と、前年度比で横ばいを予測する。施術分野においては、依然として人材不足が指摘されている。新たな採用にあたっては、主な対象である20~30代女性で且つ接客業に適した人材の量的確保は、依然として困難であることが要因である。そのためサロン運営企業の多くは、一部を除いて拙速な新規出店ではなく、既存店強化に軸足を置いている。