矢野経済研究所
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キャッシュレス決済の浸透を背景に、2030年度のクレジットカード市場規模は約196兆円を予測

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のクレジットカード市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

クレジットカード市場規模推移と予測(ショッピング取扱高)

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1.市場概況

2023年度のクレジットカード市場規模(カード会社の自社発行カードのショッピング取扱高ベース)は、100兆円を超える水準まで拡大した。

この成長の背景には、旅行、飲食、レジャー分野での消費拡大に加え、小額決済の普及や新たな分野での加盟店拡大・利用促進がある。また、クレジットカード会社各社が実施したポイントキャンペーンや、銀行、証券、保険といった金融分野との連携強化も市場拡大に大きく寄与した。

​2024年度もこうした取り組みなどを通して、さらなる成長が期待されており、クレジットカード市場規模(カード会社の自社発行カードのショッピング取扱高ベース)は110兆円に達する見通しである。この拡大傾向は今後も続くと予測する。

2.注目トピック

カードレス化に伴うアプリの機能拡張

発行するクレジットカードに16桁の番号を表示しない「ナンバーレス」への取り組みや、物理的なクレジットカードを発行しない「カードレス」への対応が強化されている。ナンバーレス化により、番号盗用を防止できるだけでなく、デザイン性の高いクレジットカードの発行も可能となる。一方、カードレスに関しては、クレジットカードを持ち歩きたくないというユーザーニーズへの対応や、カード発行コストを抑制したいカード会社の方針が背景にあり、普及が促進されている。

ただし、物理的なクレジットカードが手元にない場合、カード番号を確認する必要があるときの対応が課題となっている。この課題に対しては、クレジットカードがなくても、スマートフォンのアプリ上で番号を確認できる仕組みを整備することで、ナンバーレスカードやカードレスカードの発行拡大が推進されている。また、アプリのUI・UX(ユーザーインターフェース・ユーザー体験)の向上が、クレジットカード利用促進の重要な要素となっており、各社はUI・UXの機能拡張にも注力している。

3.将来展望

クレジットカードのショッピング取扱高は拡大基調で推移しており、2030年度のクレジットカード市場規模(カード会社の自社発行カードのショッピング取扱高ベース)は196兆円に達すると予測する。

市場拡大の要因としては、キャッシュレス決済の浸透が加速していることに加え、今まであまりクレジットカードが利用されていなかった法人カードなどの領域でキャッシュレス決済の利用が拡大している点があげられる。また、コンビニエンスストアやカフェ、映画館といった小額決済分野で高倍率のポイント還元が進み、キャッシュレス決済が日常生活においてより身近なものとなっている。さらに、ゴールドカードやプラチナカード保有者向けに実施される大規模なポイント還元策が利用の誘因(インセンティブ)として機能している。これに伴い、優先的に選ばれるカードとしてファーストゴールドカードやファーストプラチナカードを巡る獲得競争の激化も想定される。

キャッシュレス決済の深化が進むことで、キャッシュレスID(identification)を基軸としたマーケティングの高度化が進んでいくと考える。キャッシュレス決済だけでなく、銀行口座、証券口座、保険口座などとの連携が進むことで、金融サービスをIDで統合する動きが加速している。これにより、収集できる情報の密度が増し、マーケティングの精度がさらに高まることが期待されている。

調査要綱

1.調査期間: 2024年5月~11月
2.調査対象: 主要クレジットカード発行会社等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、郵送アンケート調査ならびに文献調査併用
<クレジットカード市場とは>
本調査におけるクレジットカード市場とは、国内のクレジットカード会員が国内外の店舗やオンラインショップ等におけるクレジットカードを利用したショッピングを対象とし、市場規模はクレジットカード会社各社が自社発行したクレジットカードのショッピング取扱高(利用額)ベースで算出している。なお、法人カードを含み、各社のアクワイアリング取扱高(加盟店における他社カードの取扱高)は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
クレジットカード、法人カード、電子マネー、タッチ決済、コンタクトレス決済

出典資料について

資料名2024年版 クレジットカード市場の実態と展望
発刊日2024年11月29日
体裁A4 317ページ
価格(税込)220,000円 (本体価格 200,000円)

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