

こんにちは!ライターのゆららです。
今回ご紹介するのは、滋賀県甲賀市信楽町の奥深く——標高約400mの山あいに佇む「ミホミュージアム」。
世界各地の古美術品を集めた私設ミュージアムで、その美しい建築と貴重な展示物は、世界的にも高く評価されています。
最近では、フォトジェニックな映えスポットとしても人気があり、一生に一度は行きたい名美術館です。
しかし、1つだけ問題があります。「アクセス」です。
車があれば比較的行きやすいものの、公共交通機関を利用する場合、バスで約50分、さらに徒歩約12分と、駅から合計1時間以上もかかってしまいます。
にも関わらず、年間来場者数は10万人を超える人気ぶり。
なぜ人々は、時間をかけてまで、この山奥のミュージアムを訪れるのでしょうか?
今回は、「遠いからこそ行きたくなる」ミホミュージアムの秘密に迫ります!
本館へ向かう道のりも、ひとつのアート
前述のとおり、ミホミュージアムへ行くには、まず石山駅からバスに乗車します。
そして、終点の「ミホミュージアム」で降りると到着!…といきたいところですが、そこからさらに約12分歩かねばなりません。
でも実は、この”ひと歩き”こそが、極上のアート体験の始まりなんです。
さて、一体どんな道のりが私たちを待っているのか、一緒にたどってみましょう。
私たちを迎えるレセプション棟 |
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まず最初に現れるのが、チケット売り場やレストランなどが入っているレセプション棟。 上から見るときれいな直角三角形をしているという、ちょっと変わった形の建物です。
実は、ミホミュージアムの設計を手がけたのは、ルーブル美術館のガラスのピラミッドで知られるI.M.ペイ氏。 「幾何学の魔術師」とも称される世界的建築家のこだわりが、すでにここから感じられます。
桃源郷の入り口、しだれ桜 |
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レセプション棟を抜けると、目の前に広がるのは、見事なしだれ桜。 この幻想的な光景が、私たちを異世界へといざないます。
実はこのしだれ桜、中国の古典に登場する「桃源郷」をモチーフにしているのだそう。 山奥というロケーションもあいまって、まさに浮世離れした美しさです。
本館までのハイライト!日本人の心に刺さる“異世界トンネル”
そうしてたどり着くのが、本館までのハイライト ”異世界トンネル”。
これは正式名称ではないのですが、このトンネルをくぐると、時空を超えて異世界へワープしたかのような感覚が味わえるんです。
それではさっそく、一緒にくぐってみましょう!
注目ポイント1:まるで洞穴のような入り口 |
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まず注目したいのが、トンネルの外観。
普通のトンネルは、外から見ると四角いコンクリートの縁取りがありますが、このトンネルにはそれがありません。
その代わり、うっそうと茂る木々に囲まれて、まるで山にぽっかりと空いた洞穴のよう。
思わず「中には何があるんだろう…?」と冒険心をくすぐられてしまいます!
注目ポイント2:季節によって色が変わる壁 |
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そして、中に入ると目を奪われるのが、ピンク色に染まった壁。
これはペンキで塗られているのではなく、壁を覆う銀色の板が周囲の光をまっすぐ反射し、近くの桜の色を映し出しているんです。
このように、春は桜のピンク、夏や秋には木々の緑が、トンネル全体にふんわりと広がって、幻想的な空間を創り出します。
大自然を味方につけた、粋な演出ですね!
注目ポイント3:トンネルの向こうに広がる”絵画” |
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カーブに沿って歩いていくと、その先に橋と小さな一軒家が現れます。
トンネルの中からだと、外の景色がちょうど扇のような半円状に見えるので、まるで古代の扇絵のような風景です。
実は、これは偶然ではなく、意図的に設計されたもの。
まさに絵に描いたような美しい景色が、本館へのワクワク感を高めてくれます!
まるで四次元ポケット?!いざ、本館へ
さあ、橋を渡ると、いよいよ本館に到着です!
…が、そこにあるのは、ちょこんと佇む小さな建物。
「えっ、もしかしてこれだけ?」と、不安になる方もいるかもしれません。
でも、ご安心を。
実はこの本館、なんと全体の約80%が地中に埋まっているんです!
というのも、ここは自然公園法によって建物面積に厳しい制限があるエリア。
ここまで歩く必要があったのも、道路建設が禁止されているせいなんです。
そんな制限のもとで出来上がったのが、この地中型ミュージアム。
建物の上には土が盛られて木々が植え直され、もとの山の形が完全再現されています。
ここまで大自然と見事に融合した建築は、そうありません。
そして中に入ると、外からは想像できないような広々とした空間が広がっています。
地下でありながら、自然光が取り込めるよう窓も工夫されていて、地中とは思えない開放感です。
さすがは本館。期待をはるかに超える、別世界が待っていました…!
肝心の展示品はいかに?!
さて、ここまで建物やアプローチの魅力をみてきましたが、いよいよ主役・展示品の登場です!
ミホミュージアムでは、以下の地域から集められた古美術品が展示されています。
・エジプト
・ギリシア・ローマ
・西アジア
・南アジア
・中国
・日本
一見バラバラにみえるラインナップですが、どこかシルクロードを彷彿とさせる構成。 これらがその終着点である日本の山奥にたどり着いたのだと思うと、なんとも不思議な縁を感じます。
さらに驚くのは、これらの多くが紀元前数千年の歴史をもつ、貴重な品々であるということ。
なんと、あの大英博物館に貸し出されたこともあるそうです。
また、海外のものだけでなく、日本の美術品も企画展で多く取り上げられています。
世界中の展示品が巡り巡って日本文化に結集していく、そんなストーリー性が感じられますね。
このように、ミホミュージアムは「この場所だからこそ見せられる芸術」を徹底して追求しているのです。
おわりに
いかがでしたか?
想像以上の長旅に、驚いた方もいるかもしれません。
ミホミュージアムの最大の魅力は、普通だったら縁遠く感じられる古代の品々の美しさを、”今この瞬間のもの”としてダイレクトに感じられること。
時間をかけてここまできたのは、時空を超えて、古美術品と出会うためだったんですね!
幻想的なひとときを求めて信楽の山奥へ——
ここにしかない体験が、あなたを待っています。
【MIHO MUSEUM 施設情報】
住所:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
TEL:0748-82-3411
営業時間:10~16時(入館は~15時)
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日) ※春夏秋の季節開館。詳細は公式サイト要確認
料金:入館1300円
アクセス:JR石山駅→帝産バスミホミュージアム行きで50分終点下車、徒歩すぐ
新名神高速信楽ICから国道307号、県道16・12号経由12km15分
駐車場:あり/300台/無料
参考
MIHO MUSEUM 公式サイト
https://www.miho.jp/
美を追求するMIHO MUSEUM!~国内外 数多くのゲストが魅了された桃源郷~|JapanWonderGuide
https://www.youtube.com/watch?v=d6ACRWs3otU
「MIHO MUSEUM」の観光・見どころ|現世に現れた桃源郷|琵琶湖ホテル
https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/biwakohotel/sightseeing/miho-museum/
MIHO MUSEUM|公式インスタグラム
https://www.instagram.com/mihomuseum.official/
MIHO MUSEUM|滋賀県博物館協議会
https://sam.shiga.jp/%EF%BD%8D%EF%BD%89%EF%BD%88%EF%BD%8F-%EF%BD%8D%EF%BD%95%EF%BD%93%EF%BD%85%EF%BD%95%EF%BD%8D/