
ASEAN主要4ヵ国の消費者アンケート集計結果では、EVに消費者が求める航続距離は300㎞超が40.2%、外出時の充電時間は30分以内が64.1%と回答
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年11月に、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムのASEAN主要4ヵ国におけるEV(電気自動車)の消費者ニーズについてアンケート調査を実施し、各国のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。
ここでは、EVのイメージ、消費者が求めるEVの航続距離・充電時間について、調査結果を公表する。
EV(電気自動車)のイメージ

EVの航続距離・充電時間

1.調査結果概要
本調査では、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムに居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~50歳代以上の男女1,600名(1カ国あたり400名)にアンケート調査を実施した。
まず、EVのイメージについて、航続距離や充電時間、メンテナンス、デザイン等9つの設問を設けて、「よく当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「やや当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5段階で回答を得た。表内では、「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答された合計比率が80%以上は◎、50%以上が〇、50%未満は△とした。
インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの4ヵ国合計(全体)で◎となった設問は5項目、そのうちEVの課題点とされる「気になる」項目は下記の3項目であった。
1つめは「何キロ走れるかが気になる」であった。4ヵ国合計(全体)では「よく当てはまる」が67.1%、「やや当てはまる」は26.1%であり、EVの走行距離を気にしている消費者が多いことが分かる。「よく当てはまる」の回答率を国別に比較すると、ベトナムが最も高い76.3%、次いでインドネシア69.8%、タイ67.5%、マレーシア54.8%であった。
2つめは「充電時間が気になる」である。4ヵ国合計(全体)では「よく当てはまる」「やや当てはまる」と回答した合計は93.4%であり、特にタイは「よく当てはまる」63.5%、「やや当てはまる」31.8%になり、合計の回答率は95%を超えた。
3つめは「バッテリーの劣化が気になる」であった。4ヵ国合計(全体)では「よく当てはまる」54.3%、「やや当てはまる」34.2%であり、合計の回答率は88.5%である。国別に回答率を比較すると、タイは「よく当てはまる」「やや当てはまる」の合計が90%を超えており、航続距離や充電時間と同様にEVのバッテリーの劣化についても消費者の不安が高いことがわかった。
2.注目トピック
消費者が求めるEVの航続距離・充電時間
次に、消費者が求めるEVへのニーズとして、具体的な航続距離・充電時間をアンケート調査で尋ねた。航続距離は一回の充電で運転できる距離とし、充電時間は外出先での充電を想定して、回答してもらった。
航続距離は、4ヵ国合計(全体)では「201km~300km」が最も多く27.0%であり、次いで「301km~500km」は24.3%、「151km~200km」が20.1%であり、一方で航続距離「150km以下」の回答は最も少なく12.8%である。
国別に回答率を比較すると、タイでは75.5%が「201km以上」の航続距離を求めており、そのうち29.0%が「301km~500km」である。また、「501km以上」も4ヵ国の中で最も高い24.0%であり、長距離走行のEVのニーズが高いと推定できる。
インドネシア、マレーシア、ベトナムについても「201km~300km」が最多であり、それぞれ27.8%、25.5%、32.3%であった。「150km以下」と回答した割合は、タイが7.8%で最も低く、マレーシア13.8%、ベトナム14.5%、インドネシア15.0%である。4ヵ国ともEVを短距離走行の「街乗り」で利用するニーズは低く、特にタイでは一般的なガソリン車と同じ距離を希望していることがわかった。
また、外出先での一回の充電時間について、4ヵ国合計(全体)では「16~30分」が最多で34.0%、次いで「31~60分」27.8%、「11~15分」が17.6%であった。一方、「5分以内」「6~10分以内」の回答は少なく、合計の回答率は12.5%であった。
国別に回答率を比較すると、マレーシアでは「31分以上」の回答率が40%を超えており、そのうち「61分以上」は13.0%で4か国の中で最も高く、EVの長時間充電を許容する傾向がややある。ベトナム、タイは「16~30分」が最も高く、それぞれ39.0%、37.8%であった。
調査要綱
1.調査期間: 2024年9月~12月 2.調査対象: インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムに居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~50歳代以上の男女1,600名 3.調査方法: インターネットによるアンケート調査 |
<ASEANにおけるEV(電気自動車)の消費者ニーズ調査とは> 本調査では世界で急速に市場規模が拡大しているEV(電気自動車)について、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムに居住する、自動車運転免許を保有、かつ世帯で自動車を保有する20歳代~50歳代以上の男女1,600名(1カ国あたり400名)にアンケート調査を実施し、各国のユーザー動向を把握し、その傾向を比較分析した。 なお、本アンケートのEVはバッテリー(電池)からの電気でモータが駆動して走行する車両とし、エンジンで発電した電気でモータ駆動するPHEV(プライグインハイブリッド車)は含まない。アンケートを開始する前にイラスト(車両の駆動方式別の違い)を提示することで、回答者がEVとHV(ハイブリッド車)、PHEV(プライグインハイブリッド車)を混同することを低減している。 |
<市場に含まれる商品・サービス> EV(電気自動車)の消費者ニーズ |
出典資料について
資料名 | 2024 ASEAN主要4ヵ国におけるEV(電気自動車)消費者ニーズ調査 |
発刊日 | 2024年12月27日 |
体裁 | A4 158ページ |
価格(税込) | 220,000円 (本体価格 200,000円) |
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