経営
(画像=baranq/Shutterstock.com)
中村 太郎
久能 克也(くのう・かつや)
Opty.G.K.代表。「社長が自分で自分をクビにできる」メソッドを伝える。2002年東京外国語大学を卒業後、大手人材会社に入社し3,000人の組織にてマーケティング業務を経験。退社後単身中国上海に渡り、コンサルティング会社を起業し共同経営者に就任した。帰国後、自社や顧問先の経営を劇的に変えたEOS®(Entrepreneurial Operating System/起業家のための経営システム)の普及活動に従事している。10年後のビジョン達成のために「今」すべきことだけに集中し、経営者の負担を軽くしながら業績アップさせるコンサルティングが得意。座右の銘はLess Is More。

「まだEOS®を導入してないの? 遅れているね」

日本の読者にとって、「経営のOS(EOS®(Entrepreneurial Operating System/起業家のためのオペレーティング・システム。以下EOS®)と聞いてもピンと来ないかも知れません。しかしアメリカを中心とした世界各国ではすでに7万社以上が導入し、それを用いて売上・利益を成長させています。それも「無理なく」です。

その結果、経営者はプライベートや家族との時間を犠牲にすることなく、ビジネスから十分な果実を得ています。

なぜ「経営のOS」が有効なのか?

パソコンやスマホはWindowsやiOSといった優れたOS、基本システムがあるからこそ使いやすく、ソフトウェアやアプリの開発会社にとっては開発が容易になります。ゼロから基礎となるシステムを組む必要がないからです。

逆に、この世にOSがないとすると、ソフトやアプリの開発会社は大変です。ゼロから基本システムを組み、さらにソフトやアプリを開発しなければならないからです。

経営においても同様です。EOS®は経営に共通の基盤を提供するため、経営者は独自の強みを磨くことにリソースを集中できます。ちょうど、ソフトやアプリ開発会社が基礎的部分はOSに乗っかることでひたすら便利なソフト、面白いアプリを開発することに集中できるように。

経営者がぶつかる問題は6つの領域に整理できる

「経営のOS」であるEOS®を開発したジーノ・ウィックマンは、経営者が日常的にぶつかる無数の問題・課題を、6つの主要な領域に整理しました。そして6つの領域をそれぞれ強化すると、無限にあると思われた問題はどこかへ消えてしまうことを発見したのです。

6つの領域とは、

1.ビジョン
2.人
3.データ
4.課題
5.プロセス
6.実行

の6つです。今回の記事では6つの領域の全てを詳細に説明することはしませんが、2番目の「人」を例にとってみます。

ある社員の成績や行動が好ましくないと思ったら、経営者であるあなたは、どう対応しますか?ミーティングをする、教育・指導する、飲みにいって話を聞くという対応が有効と考えているかもしれません。それでもダメなら研修に参加させる、マイクロマネジメント(行動を逐一監視・指示を出す)といった方法も思いつくことでしょう。

このように、あなたは問題社員に対して何通り、何十通りのアプローチを取ることができます。しかし、このような「場当たり的アプローチ」というのは、うまくいく時もあれば、うまくいかない時もあるものです。

5-5-5ミーティング

こんな時、EOSでは決まったアプローチを取ります。それは「5-5-5ミーティング」です。5-5-5-ミーティングは問題のあるAさんと直属の上司の2人で行い、以下の3ステップで進めます。

ステップ1. あらかじめ決められ、全社員に周知してある「5つのコアバリュー(会社の共通の価値観)」と、Aさんの最近の行動が合致しているか、2人でチェックする
ステップ2. Aさんがコミットした「5つの四半期の重要タスク」の進捗を2人で確認する
ステップ3. Aさんのポジションに求められる「5つの役割」を果たせているか、2人で確認する

これだけです。5つのコアバリュー・5つの重要タスク・5つの役割を順番にチェックするので、5-5-5ミーティングと名付けられています。Aさんは問題を抱えているので、3つのステップのどこかで「ここができてなかったな」とAさん本人が気づきを得ることができます。読者の方ならご存知だと思いますが、問題は他人から指摘されるより、本人が気づく方が改善する意欲が高まります。

この3ステップは(アイスブレイクの雑談を入れても)ほんの20~30分で完了することができます。追加の費用はかかりませんし、何より「問題のある社員が出てきたな。どうやって対処しようかな。叱ろうか、優しく諭そうか、いっそ飲みに連れ出すか」などと思い悩む時間・エネルギーも必要ありません。「Aさん、30分ほど時間あるかい?」と聞くだけでOKです。

「スリーストライクアウト」ルール

3回目のミーティングまでに改善が見られなければ、そこでAさんへの指導は終了です。そのポジションまたは会社自体にAさんがフィットしていない可能性を告げ、降格や配置転換を実施します。3回までは挑戦可能、でも3回で終了。ということで「スリーストライクアウト」ルールと名付けられています。

非情なようですが3回のチャンスは与えていますし、ズルズルと引き伸ばしてもAさんと会社双方にとって良いことはありません。見切りをつけることでAさんはもっと活躍しやすい場を探すきっかけになりますし、会社もポジションに相応しい人をアサインできます。

OSがあるから優れたアプリやゲームが開発できる

このようにEOS®には決められた手順に従うだけで6つの基本領域(ビジョン、人、データ、課題、プロセス、実行)を向上することのできるツールが20個用意されており、今後この記事でお伝えしていきます。どのツールも経営の現場で生み出され、数え切れないほどの会社で使われ効果が実証されたものばかりです。

「全てが決められているようで窮屈だ」「独自性、オリジナリティが発揮されなくなるのではないか?」という声も聞こえてきそうです。しかし本当にそうでしょうか?

EOS®は経営の全てを決めたりはしません。経営の基本、基礎、土台を提供するだけです。経営の最も重要な部分「どんなお客さまに、どんな商品・サービスを提供するのか?」「会社はどんな価値を社会にもたらすのか?」「それらを通じて、社長・経営陣・社員は何を得たいのか?」についてEOSは一切答えを提供しません。

それらは社長と、社長を信じてついてくる会社のメンバー達と一緒に考えて、決めてください。それこそが、独自性・オリジナリティと言えるのではないでしょうか。

文・久能克也(Opty.G.K.代表)

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