プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)

目次

  1. “8時半の男”の実家をルーツに群馬県でも有数の金属部品加工・製造企業となって長い歴史を刻んできた
  2. 品質管理マネジメントに関するISO9001を取得し大手メーカーから高い信頼を受けて部品を製造・提供している
  3. プログラムCADの活用で職人のノウハウを集約し製造工程の高度化と効率化を実現した
  4. データの共有化で必要な人がいつでも見られる環境を整え、勤怠管理のシステム化で大幅な効率化を進め、有給取得奨励も即可能になった
  5. 課題となっている生産管理や在庫管理、経理関係のシステム化にも取り組み新機軸の開発にも挑む
  6. 自動車部品や建機部品などに取り組みつつ半導体工場やデータセンター向け製品の受注も拡大していく
  7. 人手不足には国内外から働き手を確保し報奨金制度でやる気を促して育てていく
中小企業応援サイト 編集部
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1948年の創業から、群馬県前橋市で金属部品の加工・製造を行ってきた株式会社ミヤタFMC。自動車や建設機械、マテハンと呼ばれる搬送用機械に使われる部品を幅広く手がけ、取引先から高い信頼を得ている。2018年には品質マネジメントシステムに関する国際規格のISO9001を取得し、整理の行き届いた環境で効率的に製造を行っている同社を支えているのが、プログラムCAD(コンピュータ支援設計)の導入やパソコン上の共有フォルダを利用した情報の一元化といったDXへの取り組みだ。(TOP画面:整理整頓が行き届いた工場内で高品質の金属加工部品を製造するミヤタFMC)

1960年代のプロ野球界を騒がせたスター選手に、「8時半の男」と呼ばれた宮田征典投手がいる。先発完投が主流だった時代に中継ぎや救援といった役割を担った投手で、もっぱら午後8時半に登場することからそう呼ばれた。「ミヤタFMCはその“8時半の男”の実家なんです」と取締役社長の岡田貴志さんは明かす。

“8時半の男”の実家をルーツに群馬県でも有数の金属部品加工・製造企業となって長い歴史を刻んできた

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
ミヤタFMCの工場内に今も置かれている古い工作機械

宮田投手に家業の鉄工所を継ぐ予定があったことは知られた話。川上哲治監督が率いる読売巨人軍から乞われてプロ野球に進み活躍した。「引退後に少しだけ経営に携わっていたと聞いていますが、長嶋茂雄監督が誕生した年にコーチとして野球界に戻ったそうです」(岡田社長)。社業は同族ではない人が引き継ぎ、岡田社長も25年前に32歳で入社して現在に至る。

ただ、社名については「群馬県にまだ工場が少なかった時代から経営していて、県内の人たちにも顧客にも浸透していたことから変えずに来ました」(岡田社長)。2021年に、自動化された工場で様々な部品を製造している事業内容を表す「FMC(フレキシブル生産セル)」を入れた現在の社名に変更したが、「ミヤタ」の名前は残ったままだ。

品質管理マネジメントに関するISO9001を取得し大手メーカーから高い信頼を受けて部品を製造・提供している

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
ミヤタFMCの工場に掲げられたISO9001

いかにも町の鉄工所といったイメージから変わったが、同社ではそれ以前から品質マネジメントシステムの確立に取り組んで、2018年にISO9001の取得を成し遂げていた。「得意先となっているメーカーの多くが品質管理における完成車メーカーなどのトップ企業に直接部品を納入しているティア1※の企業で、高い技術力と品質管理能力を持っています。そこと取引するためにもISO9001の取得は必要でした」(岡田社長) ※ティア1とは、完成車メーカーなどのトップ企業に直接部品を納入している企業

個人がバラバラに行っていた品質管理の手法をマニュアル化して統一し、工場内での作業工程をしっかりと管理するようにした。「ISO9001を取得したことで、定期的に入っていた取引先による監査が必要なくなり、仕事に集中できるようになりました」(岡田社長)。こうしたマネジメント面の改善と並行して、プログラムCADを導入して業務面の効率化にも取り組んだ。

プログラムCADの活用で職人のノウハウを集約し製造工程の高度化と効率化を実現した

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
ISO9001の取得や製造工程、業務過程のDX化を推進する株式会社ミヤタFMCの岡田貴志取締役社長

それまでは、部品を製造する装置に担当者が直接、作業工程の指示を打ち込む形となっていた。プログラムCADを使えば、あらかじめパソコン上で製造装置を動かすプログラムを準備しておけるようになる。注文が来たらプログラムを製造装置にインプットして、すぐに生産にとりかかれる。ISO9001の中でも、作業工程の改善という意味合いで評価された。

プログラム自体も最適化されて、品質にばらつきがなくなった。部品は加工する手順が違えば品質や精度にも違いが出る。「現場で製造に携わった人間だからこそ持っている経験や知識があります。それをNC旋盤やマシニングセンターを動かすプログラムに取り入れることで、機械自体が優秀になっていきます」(岡田社長)

作業に向けての段取りを組むノウハウも加えることで、全体的な効率化と高品質化が果たされる。「建設業界ではよく“段取り八分”と言われます。製造業も同じで、準備をおろそかにすると品質も不安定になります」(岡田社長)。そうした知識も共有化して、作業効率と品質の向上を成し遂げた。取引先に日本精工株式会社を始め、大手メーカーに部品を供給している企業が並ぶのも、同社が作り出す部品に高い信頼が置かれているからだろう。

データの共有化で必要な人がいつでも見られる環境を整え、勤怠管理のシステム化で大幅な効率化を進め、有給取得奨励も即可能になった

データの共有化については、ネットワークハードディスクを使っている。パソコン上に共有フォルダを置き、メールから作業手順書様々なデータを入れておき、必要な人が見られるようにしている。口頭でも伝えているが、データとして残しておけば後になって確認も容易だ。「朝には1回開いて見ておくようにと声をかけて、周知を促しています」(岡田社長)。コミュニケーションを密に行いつつ、データ化によって漏れが起こらないようにする。間違いを防ぐ意味でも有効な取り組みだ。

事務作業の方でも、勤怠管理で打刻式だったタイムカードをシステム化することで、集計作業などの手間を大きく減らしている。「以前は勤務時間をExcelに入力して計算していたので、集計作業が大変でした。24人しかいない従業員数でも、途中で抜けたり残業があったりした場合、細かく記録する必要があって手間でした」(岡田社長)

作業が1日で済まないこともあったというが、今は「ケタ違いに短い時間で済むようになりました」(岡田社長)。働き方改革が取り沙汰される中で、どれくらい勤務したか、有給休暇は取得しているかといった把握が強く求められるようになっている。これも、リアルタイムで把握できるようになった。いずれは給与計算システムとつないで、より効率化を目指したい考えだ。

課題となっている生産管理や在庫管理、経理関係のシステム化にも取り組み新機軸の開発にも挑む

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
パソコンに向かうミヤタFMCの岡田貴志取締役社長

これから取り組みたいこととしては、生産管理や在庫管理のシステム化を挙げる。現状は、在庫の状況を把握しつつ製造までの時間を見計らい、材料を発注するといった具合に担当者の感覚に頼っている。特段の問題は起きていないが、システム化によって生産状況を容易に把握できるようになれば、より効率的な受注と生産を行えるようになる。部材が足りなくなったら警告が出るような仕組みがあれば、発注が遅れてロスが出る事態も避けられる。適切なシステムがあるかをまず探し、導入できるかを検討していく。

経理関係のシステム化も課題とのこと。今は岡田社長が多くの事務作業をこなしており、結構な時間をとられている。税務を任せている事務所との連携も必要となっているため、導入を踏み切るところには至っていないが、製造現場の効率化と同様にこれからも必要に応じてデジタル化を進めていく。

自動車部品や建機部品などに取り組みつつ半導体工場やデータセンター向け製品の受注も拡大していく

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
工場に積まれている四角いプレートがデータセンターなどで使われる空調グリルだ

事業については堅調だが、決して楽観視はしていない。「今は、自動車関係の仕事が全体の4割ほどありますが、EV(電気自動車)の普及によって自動車の部品が大きく変わっていく中で、引き続き注文があるとは限りません」(岡田社長)。建機関連も、海外市場では好調なようだが国内については飽和状態で、生産が滞れば必然的に部品の発注も止まってしまう。2018年度の群馬県による「ものづくり補助金」採択事例として、「機械制御技術の高度化による新鍛造技術の確立と高効率生産体制の構築」に取り組んだ実力を生かして、受注や取引先の拡大につなげていく。

新機軸としては、半導体工場のクリーンルームやデータセンター向けに収める金属製品の受注が増えてきている。空調グリルと呼ばれる、空気が行き来する細かい穴が開けられた四角いパネルのような部材。半導体工場もデータセンターも建設ラッシュが続く中、それらの施設に使われる空調グリルの注文が同社に届いている。ISO9001を持つ工場ならではの品質の高さと高度な技術で、期待に応えた製品を送り出している。

人手不足には国内外から働き手を確保し報奨金制度でやる気を促して育てていく

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
工場では女性も多く働いている

人手不足が言われる中で、こうした膨らむ需要に対応するには働き手の確保も必要だ。同社については、フィリピンやネパールからの技能実習生を含めて確保はできている。女性もいて、大きな製造装置に向かって毎日しっかりと作業をこなしている。これも、プログラムCADの導入を始めとした作業効率の向上やマニュアル化による作業工程の均質化があればこそと言えそうだ。

日々の業務で問題だと感じたこと、こうすれば良くなると思ったことを提案してくれた人には報奨金を出す制度も取り入れ、ボトムアップでの改善にも余念がない。昭和の時代が遠くなって8時半の男”を覚えている人が減っても、ミヤタFMCの名前と技術はこれからの時代にしっかりと受け継がれていくだろう。

プログラムCADで製造工程の品質高度化を推進 データ共有で生産性を高め、勤怠管理システムで働き方改革 ミヤタFMC(群馬県)
ミヤタFMC本社

企業概要

会社名株式会社ミヤタFMC
住所群馬県前橋市上大島182番地
HPhttps://www.miyatass-2613270.com/
電話027-261-3270
設立1948年1月
従業員数24人
事業内容金属部品加工・製造