半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)

目次

  1. 家庭用サウナ設備の設計・設置からアメニティ用品の卸売に事業を拡大 豊富な商品知識と提案力に強みを持つ
  2. 縁の下の力持ちとして取引先の運営を支える 対面営業を重視して納入先に積極的に提案
  3. 売上高の拡大よりも顧客への価値提案重視で収益確保 成果は従業員に還元してモチベーションの向上につなげる
  4. 先を見据えて2021年11月に本社を新築 客室を再現したショールームを設け、商品の利用シーンを効果的に紹介している
  5. 多種多様な取扱用品の発注、仕入れ、納品、在庫管理にシステムを活用している
  6. 休暇期間中に会社に届くFAXに社長自ら出社して対応していたが、NASを導入することで社外からの確認を可能にした
  7. ホームページで取扱ブランド、取引実績、人材採用など幅広い情報を発信 直営のオンラインショップも運営している
  8. 人手不足への対応策としてデジタル技術には大きな可能性を感じている
  9. 共存共栄の精神を大事に、地域活性化に貢献できる企業を目指す
中小企業応援サイト 編集部
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ホテルや旅館といった宿泊施設や温浴施設に備えられているシャンプー、せっけん、歯ブラシ、カミソリといったアメニティ用品は、施設を快適な空間にする上で欠かせないアイテムだ。香川県高松市の卸売業、株式会社サニーエイトは、地元・四国と中国地方を事業エリアに、アメニティ関連の業務用日用品をメーカーから施設に橋渡しする事業を展開している。取り扱っている約1万点の商品を適切に管理するために販売管理システムと仕入・在庫管理システムを活用するなどデジタル技術に目を向ける一方、温かみを重視した対面式やアナログ式の仕事の進め方も大事にしている。(TOP写真:サニーエイトが取り扱っているアメニティ用品のサンプル)

家庭用サウナ設備の設計・設置からアメニティ用品の卸売に事業を拡大 豊富な商品知識と提案力に強みを持つ

サニーエイトは中国・四国地方で宿泊施設を中心に、温浴施設、介護福祉施設、病院、スポーツ施設、公共施設など2,500を超える幅広い納入先を抱える。1973年に家庭用サウナ設備の設計・設置に取り組む企業として創業。その後、宿泊施設に取引先を拡大し、シャンプー、せっけんなどのアメニティ用品を扱うようになった。半世紀を超える事業活動を通じて培った豊富な商品知識と提案力を強みにしている。長期的な取引を大事にしており、シャンプー、せっけん、カミソリ、歯ブラシといった日用消耗品のリピート率は7割以上という。

「それぞれのアメニティ用品にはメーカー様の想いが詰まっています。メーカー様の努力やこだわり、商品の良い点をしっかりと伝えることで、適正価格での購入を納入先様にお願いしています。価格競争力よりも商品の品質と提案内容を評価していただくことを最重要視しています」。2014年に、三十代前半で創業者の父親から事業を継承した大東太輔代表取締役はサニーエイトの事業方針をこのように説明した。

縁の下の力持ちとして取引先の運営を支える 対面営業を重視して納入先に積極的に提案

取引先の施設と共にエンドユーザーに喜ばれる空間を作ることを心がけている。「相手を想う心があってこそ営業は成立すると思っています。縁の下の力持ちとして様々な施設の運営をしっかりと支えていきたい。最近は、SNSなどを通じて施設のユーザー様の反応を確かめることができるので、仕事のやりがいにもつながっています」と大東社長は笑顔を見せた。自社のオリジナル商品やユーザー向けのイベントも企画し、納入先に積極的に提案している。2023年には、子育て中の家族向けに、子ども用のアメニティセットを企画・販売し、好評を博した。

売上高の拡大よりも顧客への価値提案重視で収益確保 成果は従業員に還元してモチベーションの向上につなげる

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サニーエイトのオフィスの様子

大東社長は就任以降、父親が構築した取引先とのつながりを大事にしながら、経営を常にアップデートすることを意識してきたという。経費の使い方を徹底的に見直し、販売管理システムのデータを分析した上で顧客への提供価値の低い商品を扱わないようにするなど、売上高の拡大よりも顧客への価値提案重視で収益向上を図った。成果は従業員に還元し、一つひとつの仕事の進め方を常に見直す効果を実感してもらえるようにしたという。変えるべき点を変えることで、業績は着実に向上していった。「お取引先様に配慮した上で、従業員のためにしっかりとした利益を確保することは、企業にとって何より重要と考えています。従業員には『自分自身と家族を一番大事にしてほしい』とできる限り伝えるようにしています。従業員が楽しく気持ちよく仕事に従事できる環境と雰囲気を作ることは、トップの大事な役割と思っています」と大東社長は話した。

先を見据えて2021年11月に本社を新築 客室を再現したショールームを設け、商品の利用シーンを効果的に紹介している

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本社2階に設けている客室を再現したショールーム
半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
温浴施設の脱衣場・浴室シーンに合わせたコーナー
半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
ショールームのアメニティ用品の展示コーナー

利益率の向上に力を入れる一方で、先を見据えた設備投資にも注力している。2021年11月、香川県高松市内の高松西インターチェンジに近い交通アクセスが良好な場所に、駐車場を備えた2階建ての新築本社を完成させた。本社内では全ての場所でWi-Fiを使えるようにするなど今後の業務のデジタル化に備えた体制を整えている。

1階にはオフィス、2階には商談ルームとショールーム、会議室、従業員のための休憩室を配置。ショールームでは、主要ブランドの商品展示とともに、ビジネスホテルの客室や温浴施設の脱衣所や浴室を再現し、実際にアメニティ用品を置いた様子がイメージできるようにしている。「カタログや画像だけでは得られない空間全体の雰囲気を実感していただけたら」と大東社長。利用者の立場にたった利用シーンの提案を流通業で行う事は、経費を考えると躊躇しそうだが、大東社長はそれこそが自社のミッションと考えている。

半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
本社2階に設けている従業員のための休憩室

新本社に移る前に、高松市内のオフィス街に構えていた本社の建物は、自社物件ではなかった。「長期的に賃料を支払い続けることを考えると、自社でオフィスを所有した方がメリットが大きいと考え、本社の建設を思い切って決断しました」と大東社長は振り返った。

本社の建設に取り掛かったのは2019年。当時は、資金を調達して設備投資を行う上で低金利の環境を利用することができた。だが、その翌年にはコロナ禍が発生。本社完成の翌年にはロシアがウクライナへの侵攻を開始した。国際的な物価上昇や働き手不足の影響を受けて国内の資材価格や人件費は一気に高騰し、日本銀行が異次元の量的緩和政策を転換したことを受けて、金融機関の貸出金利も上昇している。設備投資を巡る環境が、本社の完成前後に急激に厳しくなったことを考えると、それ以前に建設に踏み切った判断は、先見の明があったといえる。

多種多様な取扱用品の発注、仕入れ、納品、在庫管理にシステムを活用している

サニーエイトが扱っている商品数は約1万点にのぼる。アメニティ用品以外にも宿泊施設用品としてハンガー、灰皿、ティッシュケース、スリッパ、茶器セット、コップ、靴べらなどの客室用品、ベッドマット、シーツ、枕、布団、各種カバーなどのベッド用品を扱っている。また、温浴施設向けでは、シューズロッカーの備品、キーバンド、販売用タオルなどの玄関フロント用品、風呂用の椅子、手桶などの浴室用品、脱衣ロッカーの備品、ドライヤー、ティッシュケース、化粧品といった脱衣室用品、テーブル、椅子、毛布といった館内用品を扱っている。

これらの多種多様な商品の発注、仕入れ、納品、在庫管理に関する業務を滞りなく行うために販売管理システムと仕入・在庫管理システムを活用している。これらのシステムは20年以上前から導入し、バージョンアップを繰り返しながら活用している。検索や分析に活用しやすいように商品の種類、形状、モデル、サイズ、カラーなどの要素を取引先の情報と共に詳しく登録するようにしているという。

休暇期間中に会社に届くFAXに社長自ら出社して対応していたが、NASを導入することで社外からの確認を可能にした

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納入先からの注文や問い合わせの約6割はFAX文書。NASを導入することで複合機の情報に社外からアクセスできるようにした

サニーエイトでは、納入先からの注文や問い合わせを、FAX・メール・電話で受け付けている。その中で6割を占めているのがFAXだ。本社に勤務している従業員が、オフィス内の複合機(FAX)に届いた情報をパソコンなどで随時確認して対応している。納入先からの要望への迅速な対応は、営業日であれば何の問題もない。だが、複合機に届いた情報に社外からアクセスできる手段がなかったため、年末年始やお盆休みなどの休暇期間中の対応が課題になっていた。

宿泊施設は、常に十分な日用消耗品のストックを備えているが、年中無休で稼働していることもあって、時折、不測の事態が生じて緊急の発注や問い合わせが寄せられることがある。そのようなケースに備えて、休暇期間中は、大東社長自らが会社に定期的に立ち寄り、注文や問い合わせのFAX文書が届いていないか確認していた。「誰かがしなければならない以上、私自身がするしかないと思っていたのですが、社長自らが休日に出社するという状況が、従業員に心理的な負担を与えているのではないかと思い、考えを改めました」と大東社長は振り返った。

課題に対応するために2024年7月に導入したのが、インターネット回線を通じて外出先から接続できる機能を備えたNAS(ネットワーク接続型ストレージ)だ。複合機に届いたFAX文書の情報をNASに転送することで、社外からアクセスできるようになったので、休暇期間中に会社に立ち寄らなくても済むようになった。NASに保存した情報にスマートフォンなどの端末からアクセスできる機能は、出張や外出する際も非常に役立っているという。「必要な時は、会社の情報をいつでも確認できるという安心感があるので、外出先で余計な心配をすることなく目の前の仕事に集中できるようになりました」と大東社長はうれしそうに話した。

ホームページで取扱ブランド、取引実績、人材採用など幅広い情報を発信 直営のオンラインショップも運営している

半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
サニーエイトのオンラインショップ

サニーエイトは、ホームページで事業内容をはじめ、取扱ブランド、取引実績、人材採用についての情報を幅広く発信している。人材採用のページでは、営業部と業務部の仕事の内容や求める人材像を掲載している。また、複数の大手ECサイトに「SOLOTTA(ソロッタ)」の名称でネットショップを出店しているほか、直営のオンラインショップも運営している。オンラインショップにはホームページからアクセスできるようにしており、カテゴリー別に約150点の商品を写真付きで掲載している。

半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
ホームページの掲載内容を確認する様子

人手不足への対応策としてデジタル技術には大きな可能性を感じている

サニーエイトは、従来の対面式の営業スタイルを大事にしながら、Web会議システムや在庫管理システムと連動したタブレット端末といったICTの活用を今後、検討する方針。取引先と相談しながら受発注業務のデジタル化にも取り組んでいきたいという。「人手不足への対応策としてデジタル技術には大きな可能性を感じています。リモートでも仕事に取り組むことができる柔軟な働き方ができる環境を整えていきたい」と大東社長は話した。

共存共栄の精神を大事に、地域活性化に貢献できる企業を目指す

半世紀の歴史を持つアメニティ用品の卸売会社 商品利用シーンの提案に強み 社員の活動を支えるICT サニーエイト(香川県)
サニーエイトの本社の外観

サニーエイトは社会や地域への貢献活動も大事にしている。これまでにユニセフ、日本赤十字社、被災を受けた地域への寄付活動や、瀬戸内海の島々を会場に3年に一度開催される現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭への協賛活動に取り組んできた。「共存共栄の精神を大事にしています。これからも地域活性化に貢献できるように事業でしっかりとした成果を出していきたい」と大東社長は明るい口調で話した。

宿泊施設の空間を快適にする上で必要なアメニティ用品は、訪日観光客の増加に伴うレジャー産業の拡大を受けて今後も堅調な需要が見込まれている。デジタル技術を活用して新しいビジネスチャンスに対応することでサニーエイトの前途は、大きく広がるはずだ。

企業概要

会社名株式会社サニーエイト
本社香川県高松市中間町463番地1
HPhttps://sany8.co.jp
電話087-886-3218
設立1973年1月
従業員数16人
事業内容 ホテルアメニティ・業務用日用品・備品・設備機器・一般日用雑貨品の販売