コロナの影響により、テレワークを検討する企業が増えています。
そこで、[経理のテレワークがデキない会社]と[経理のテレワークができる会社]の違いを徹底解説します。
この記事は、こんな方へおすすめの記事です。
・経理のテレワークを検討し始めた
・テレワークの導入方法を知りたい
・テレワークにどんなツールが必要なのか知りたい
・テレワークと同時に効率化を図りたい
記事を読むうえで、「これはできていないが、なぜだろう?」「この部分はすぐに対応できそうだな」と考えながら読み進めていただけると幸いです。
心の準備はよろしいですか?
では始めます。
テレワークの考え方
テレワークがデキない会社
「あの企業は導入しやすいから。でも我が社は、業種も規模も働く人も違う。導入するには、費用がかかるでしょ?そんな費用負担はできない。」と考える。テレワークの目的を明確にしていないため、課題解決に対して消極的。
テレワークがデキる会社
「あの企業ができたのか。業種も職種も違うが、我が社でも導入できるかどうか検討してみよう。テレワークの導入は、業務効率化にもつながり今後の経理環境を整えるうえでも重要な取りくみ。」と考える。目的を明確化することで課題解決に対して積極的。
経理の種類・会計ソフト
テレワークがデキない会社
手書きで伝票を起票するなどアナログが記帳を継続している。会計ソフトは、自社が必要とするものではなく税理士が指定するソフトを使用。インストール型で、使用できる人数は1名。場所は社内の経理用のパソコンでのみ使用可能。
テレワークがデキる会社
手書きの伝票を廃止し、記帳業務をデジタル化。会計ソフトは、自社にとって最適なソフトを選択。クラウド型を使用し、インターネットの環境があればどこでも使用することが可能。同時に複数名で処理することも可能。もちろんセキュリティ対策にも余念がない。
支払方法
テレワークがデキない会社
銀行窓口で支払。税金の納付も納付書も持って銀行窓口へ。支払日を決めていないことが多く、支払請求書が届くたびに支払ため支払頻度が多くなっている。
テレワークがデキる会社
インターネットバンキングを利用。都度支払うことはほぼなく、支払日を月に数日設定することで支払の回数を減らす。税金もダイレクト納付の手続をとっており、銀行窓口へ行くことなく納付を完了。
請求方法
テレワークがデキない会社
紙で請求書を印刷し、捺印して郵便で発送する。封筒の宛名は手書き又は印刷で対応しており、多大な時間を要している。
テレワークがデキる会社
PDFなどで電子化された請求書をメールで発送。封入や宛名を記入印刷する手間を削減。取引上、双方の合意があれば捺印は不要であるものの日本のビジネスの慣例にそってPDFデータには社印を表示している。
信頼関係
テレワークがデキない会社
経営者は、テレワークをする人が怠けるのではないか不安に思っている。そのため、WEB会議のカメラなどを活用に作業しているかどうか常に監視しようとする。評価基準は、【結果】ではなく【過程】にある。
テレワークがデキる会社
テレワークで行う業務が明確であり、一つの業務ごとにどれほど時間を要するのか把握できている。そのため、監視することはなく柔軟に働ける環境を重視。評価基準は、【過程】ではなく【結果】にある。
コミュニケーションツール
テレワークがデキない会社
社内の連絡は、口頭もしくは付箋・メモを多用。
テレワークがデキる会社
社内で「Chatwork」や「Slack」といったコミュニケーションツールを導入。また、定期的にオンライン会議システムを導入し、重要な事項を報告する場を設ける。
帳票類の保管
テレワークがデキない会社
帳票類は類ごとに毎日ファイリングして社内の棚に保管。法定保存期間があるため保管スペースを多くとっている。
テレワークがデキる会社
必要な書類をスキャンし、会社で契約しているクラウドストレージに保管。必要とする帳票をどこでも確認できる環境を整備。ファイル名を統一することで検索も容易。ファイリングは、月に一度まとめてファイリングする。また、電子帳簿保存の手続をすることで社内の書類保管スペースも大幅に削減。
リソース(経理人材)
テレワークがデキない会社
経理業務は社内の従業員だけで対応。個人で業務を行うため属人的になっていることが多く、体調不良で担当者が休んだ場合は経理業務が滞ることに。
テレワークがデキる会社
経理業務を標準化し、担当者以外でも柔軟に対応できる環境を整えている。経理業務を部分的にアウトソースを活用。個人で業務を行うのではなくチームで業務を行うことで安定した経理体制を構築。
誰がテレワーク導入するのか?
テレワークがデキない会社
経理担当者以外で経理業務を熟知している社員がいないため、テレワークの導入を経理担当者に丸投げ。通常業務をこなしながらテレワークの準備を進めることになるため、いつまでたっても前に進まない。
テレワークがデキる会社
経理担当者に丸投げすることなく、社内で専門チームを組成しテレワークの導入をすすめる。また、必要に応じて外部の企業へ依頼することにより短期間で導入をすすめる。
導入方法
テレワークがデキない会社
ウォーターフォール型。綿密に打合せを繰り返し、まずは全ての業務においてテレワークの導入設計を行う。その後、テスト準備が整ってからテレワークを開始。
テレワークがデキる会社
アジャイル型。業務ごとに【計画】⇒【設計】⇒【実装】⇒【テスト】を細かく繰り返し、運用を部分的に小さく始める。改善を繰り返しながら徐々にテレワークへ切り替えていく。
完成度
テレワークがデキない会社
90%の経理業務が対応できたにもかかわらず、残り10%の経理業務で対応できなければテレワークを導入しない。週の出勤日数0日が目標。
テレワークがデキる会社
60~70%の経理業務でテレワークが対応できるのであれば導入する。残りの業務は、従来通りの方法で対応しながら、代替案を探す。まずは週の出勤日数を1~2日削減することを目標。
まとめ
テレワークの導入は、コロナの感染拡大防止のためだけではなく業務改善にもつながります。業務の見える化や業務の標準化により月次決算が早まったり、経理環境の整備によって社員のモチベーションがあがるなど副次的効果も期待できます。
テレワークの導入は「あの会社だから…」ではなく「どの会社でも...」です。経理業務を一つ一つ見直すことで着実にテレワークの導入は可能です。今からでも決して遅くはありませんので、経理環境を整えるためにもテレワークをすすめてみてはいかがでしょうか。
(提供:税理士法人M&Tグループ)