THE OWNER 編集部
(画像=THE OWNER 編集部)

⼀歩⾜を踏み⼊れると、オフィスの中央には池があり、窓は天井から垂れ下がるように伸びた植物で覆われている。南⻘⼭にある「parkERs」(パーカーズ)のオフィスは、まるで公園の中にデスクを並べたかのような印象を抱かせる。

現在、国内外に100 以上の店舗を構え⽣花販売を⾏う「⻘⼭フラワーマーケット」で知られる株式会社パーク・コーポレーションが、1 事業部(ブランド)として展開しているのが空間デザイン事業部のparkERs だ。⾃然の要素を⽤いた空間デザインを⼿がけているが、中でもオフィスの内装デザインにともなう緑化の依頼は年々増え、現在ではparkERsの事業の7 割近くを占めるに⾄った。

そのルーツは、当時⾃社の店舗設計を⾏っていたチームにある。⾃社のオフィスを実験的にデザインしていたところ、オフィスを訪れた顧客が、植物とデザイン性が融合されたオフィス環境を⾒て、「うちにも導⼊したい」と依頼が舞い込むようになり、本業の負担にならない程度にデザイン、施⼯を受けていたという。

顧客からの反応も上々で、事業化に将来性を感じていた井上社⻑と「植物に携わる仕事」を探していたブランドマネージャーの梅澤さんが出会えたのは、運命的な出会いといえるだろう。

梅澤伸也さんは2013 年5 ⽉に⼊社、同年7 ⽉にparkERsが誕生した。

⼊社当時から梅澤さんは「室内緑化」について勝ち筋が⾒えていたと語る。「当時調べたのですが、世界中を探しても室内緑化のデザイン設計に特化した⼈や企業はほとんどなかったんですよ」

当時の室内緑化は建築業者、造園業者、レンタルグリーン業者、インテリアコーディネーターなどが副業的に⼿掛けているものが多かった。室内緑化は屋外の造園や園芸に⽐べ、副次的な位置に置かれていたといってもよいだろう。

対して屋外の造園や園芸のプロフェッショナルは庭師、造園家などと呼ばれており、重要な肩書として存在している。

またその業界の著名⼈も多く、「禅(ZEN)」ブームの⾼まりを受け再注⽬されている作庭家・重森三玲や、2018 年「チェルシーフラワーショー」でベストガーデン賞と⾦メダルを受賞した庭園デザイナーの⽯原和幸など、少し探せば⼭のようにその道で名の知れた⼈がいる。

⼀⽅で「屋内・室内緑化」を専⾨に⾏うデザイナー、建築家、管理者などを指す名称・肩書きはなく、その道の著名⼈はおろか、事業化している企業もほぼいないのが現状だった。

梅澤さんはそこに⽬を付けた。「室内緑化に特化して、⽇本、いや世界⼀を狙いたいと思って」

室内緑化で世界⼀を⽬指す。そこからparkERs は始まった。

「バイオフィリックデザイン」の⾼まり