来年の民法改正に際して、私たちも最新の相続法制度の理解を深めていかなければいけません。
今回は、多くの奥様が旦那様の両親に対する献身的な介護等の行為に対する対価が発生するという改正事項について見ていきたいと思います。
苦労をして義理の親に対する介護をすれば、対価は必ず発生するようになるのでしょうか?また、この制度を使用するために何か私たちが気を付けておかなければいけないことはあるのでしょうか?これらのポイントについて詳しく解説していきますので、関心のある方は是非最後までお読みください。
1. 介護に寄与した分をお金でもらえるようになります
今回の相続法改正では、介護等の寄与に対して請求をすることが出来るということですが、具体的に制度の詳細はどのようになっているのか見ていきます。
改正前の民法では、寄与分を請求することが出来るのは、「相続人」の中からとなっており、相続人には当たらない奥様は寄与分を請求することが出来ませんでした。
しかしながら、旦那様の両親を介護しているのは「相続人」に当たる方々ではなく、奥様であるはずです。
これでは、制度を上手く活用することが出来ていないという背景があるのでしょう。
奥様以外でも、6親等以内の親族や3親等以内の姻族も認められることになりますので、今後は介護にも前向きに考えて頂ける方も増えるかもしれません。
2. 請求する際には、ココに注意するようにしてください
しかしながら、請求する権利のある人が寄与分を請求すると、何もしないで支払いがされるかというとそういう訳にもいきません。
請求することが出来る人が「私は献身的な介護をしました」と申出があると、それらすべての人に支払いをしてしまうと場合によっては虚偽の申告者に対しても支払いをしてしまうことにもなってしまいます。
これを防ぐために、きちんと介護をしたという証拠を残しておかなければいけません。
例えば、介護を行ったのであれば介護日誌のようなものを作成し、残しておかなければいけません。
そうすることで、後で自分はこのような働きをしたということを客観的な資料として提示することが出来ます。
介護日誌以外でも介護関係でのやり取りがあれば、削除せずに保存しておくようにしましょう。
特に、介護のためにということでお金のやり取りが発生するようなときは、必ずやり取りを記録しておくようにしなければ、いざ相続が発生して寄与に対する対価を請求するときにもめごとの原因となってしまいます。
3. 寄与した分は絶対に後で返ってくるのか?
更に、請求した後にも問題点があります。
寄与の対価を受け取るためには、自身が貢献したことを正式に認めてもらわなければいけません。
そうすると、「私は数か月間でも献身的に介護しましたよ」ということでも、金銭の対価を目的に少し頑張ったのではないかなどの指摘を受ける可能性が考えられます。
また、本当に亡くなった方に介護が必要であったかも争点となります。
このようなことを防ぐためにも介護に対する相続人間、そして出来れば親族間においても話し合いを絶えず行い、介護に対する現状認識を共有しておくことが大切です。
4. まとめ
法改正に伴い、介護に対する寄与が認められやすくなったとはいえ、請求を認めるためのプロセスにこれまで以上に気を配る必要があります。
親族間でのやり取りが不足していると、寄与分を請求する際に争いが生じてしまうことがあります。
今回の記事を参考にして頂き、お一人で考えることが難しいようであれば税理士等の専門家にご相談頂けますと幸いです。
(提供:相続サポートセンター)