矢野経済研究所
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国内の主要な空調衛生設備工事事業者68社の2023年度工事売上高は前年度比110.7%の1兆2,204億円

~再開発案件や一部業界の産業空調分野で需要拡大が続くも、人手不足や各種コスト高騰も深刻化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、国内の主要な事業者78社を対象に、空調衛生設備工事に関する法人アンケート調査を実施した。ここでは、空調衛生設備工事売上高の回答が得られた68社の工事売上高を集計し、その分析結果の一部を公表する。

空調衛生設備工事事業者68社の空調設備工事売上高推移

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1.調査結果概要

本調査では、2024年8月から10月にかけて国内の主要な空調衛生設備工事事業者78社を対象として法人アンケート調査を実施し、2019年度から2023年度までの空調衛生設備工事売上高の回答が得られた68社の工事売上高を集計し、その分析結果の一部を公表する。

2023年度の空調衛生設備工事売上高(本調査で回答が得られた68社の合計)は、前年度比110.7%の1兆2,204億円となった。大都市圏の再開発案件による大型新築物件需要が引き続き好調であり、さらに半導体や自動車関連、食品といった産業空調分野でも新規需要が生じたことで工事売上高の増加が続いたものと考える。
2023年度は工事の受注環境が前年度に続き好調であった半面、資材や人件費の高騰など、経費に係る問題は深刻な状況が続いている。一方で、工事事業者による資材や人件費等の高騰に対する価格交渉に対して、施主側においても請負先を確保しなければならないため、歩み寄る環境が醸成されつつある。
有力な設備工事事業者では、価格交渉による費用高騰への対応を進めるとともに、人手不足の環境下において限られた人員数の中で受注する案件を選定するなど収益性の改善にも注力している。

2.注目トピック

2024年問題への対策も含め人手不足・労務費高騰が続く

2023年度は、受注環境が好調であった一方で、働き方改革関連法による建設業での時間外労働の上限規制が2024年4月から完全適用となったことで、空調衛生設備工事事業者各社でもいわゆる2024年問題への対策が必須のものとなった。
事業規模を問わず、残業時間の軽減や人的稼働の省力化、合理化などが業界全体に求められることとなり、建設業全般での人手不足による人材採用の競争激化も相まって、労務費はさらに高騰する見込みである。

そこで、施主側との交渉による価格転嫁のほか、DX推進やロボット導入などを通じた従業員の労務負荷軽減及び業務の省人化についても各事業者が取り組んでいる。具体的には、現場作業の負荷軽減に向けて、タブレット端末などを使った現場と事業所間での情報共有やペーパーレス化、ロボットを使った検査作業の軽減などが注目を集めている。但し、こうした取り組みは大手企業の一部で進捗がみられる程度に留まっており、2024年度以降も各事業者では解決策を模索している段階である。空調衛生設備工事業にとどまらず、建設業界全体での対応が求められると考える。

調査要綱

1.調査期間: 2024年8月~10月
2.調査対象: 全国の主要な空調衛生設備業者78社
3.調査方法: 電子メール及び郵送等によるアンケート調査、ならびに当社専門研究員による直接面接調査及び文献調査併用
<空調衛生設備工事業に関する法人アンケート調査とは>
空調衛生設備工事業に関する法人アンケート調査とは、2024年8月から10月を調査期間とし、設備(電気、空調、衛生等)工事のうち、主に空調設備工事及び衛生設備工事を請け負う事業者78社を対象として実施した法人アンケート調査である。

本調査では、工事売上高や受注動向、資材仕入、事業の注力ポイントなどを調査し、空調衛生設備工事業の動向を明らかにした。ここでは、2019年度から2023年度までの空調衛生設備工事売上高の回答が得られた68社の工事売上高を集計し、その分析結果の一部を公表する。
なお、回答企業の空調衛生設備工事の売上高には、空気調和設備工事、給排水衛生設備工事、環境衛生設備工事、消火設備工事、特殊管設備工事が含まれる。
<市場に含まれる商品・サービス>
空気調和設備工事、給排水衛生設備工事など

出典資料について

資料名2024年版 空調衛生設備業経営総覧
発刊日2024年10月29日
体裁A4 491ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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