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相続が生じた場合に、不動産の名義を相続人に移転する場合において、遺産分割による場合にはどのように対応すればよいのでしょうか。

相続において、亡くなった方の財産を分配する方法として実務上最もよく利用されることが多いのがこの「遺産分割」と言えるでしょう。

今回は、遺産分割をもとに相続登記を行う際の申請書の記載方法から書類の説明まで、分かりやすく解説していますので是非最後までお読みください。

1. 遺産分割がある場合にはどのように相続は処理されるの?

相続が生じた場合には、民法のルールによると、所定の法定相続分に従って亡くなった方の所有していた財産を分配するということになっています。

つまり、法定相続分に基づいて相続登記をするということが第一の前提ということになります。

ところが、法定相続の方法以外に財産分配の方法を指定した場合にはその通りに分けることになります。

この方法として、生前に分配方法を指定するのであれば、遺言書を用意すれば良いことになっています。

その一方で、亡くなった後に法定相続分以外の分け方で財産を分配するには、遺産分割協議をすれば良いことになっています。

遺産分割協議をするには、相続人全員が財産の分け方に同意をする必要があり、相続人の数が多くなればなるほど大変になる可能性が出てきます。

あまり親しくない方と財産を分けるような状況になれば、なかなか交渉もスムーズにはいきませんので、法律の専門家に相談をしてみるのも一つの手として検討してみるのも良いでしょう。

2. 遺産分割の場合の申請書記載例

ここでは、実際に遺産分割が生じた場合の相続登記の申請書の書き方について見ていきたいと思います。

・「登記の目的 所有権移転」

遺産分割における登記の変動事項としては「所有権移転」となります。

遺産分割協議をした結果として、ある相続人に亡くなった方の財産の名義を移転することになりますので、このように記載することになります。

ただし、亡くなった方が不動産の所有権を他の人と共有していた場合には、「佐藤太郎持分全部移転」のように記載することになります。

・「登記の原因 年月日相続」

遺産分割協議をすることによって、所有権を移転するときには基本的に「相続」を登記の原因として記載することになります。

また、相続の前に記載する日付は、亡くなった方が死亡した日付を記載することになります。

例えば、平成31年3月3日に死亡した場合には、「登記の原因 平成31年3月3日相続」のように記載することになります。

遺産分割協議が完成した日付ではありませんので注意するようにしましょう。

・「相続人 (被相続人佐藤花子)
東京都港区○○一丁目〇番〇号
佐藤太郎」

遺産分割の場合には、上記のように被相続人と相続人を記載することになります。

「被相続人」というのは、法律用語で亡くなった方のことであり、相続人に対して「相続をされる者」という意味合いもあります。

遺産分割の結果として、不動産の権利を取得する者は、亡くなった方と一緒に登記申請をする訳にはいきませんので、単独で相続登記を申請することになります。

3. 添付書類について

さて、遺産分割により相続登記を申請する場合には、いくつかの書類を添付しなければいけません。

添付書類としては、どのようなものがあるのでしょうか。

4. 登記原因証明情報

不動産の登記を申請する際には、「登記原因証明情報」という書類を提出することになっています。

これは、所有権移転という登記の変動事由が生じた理由として、相続が起こったためであることを証明するための書類となります。

今回の場合は、相続が行われたことを証する書類として、遺産分割協議書を添付することになります。

また、この遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印が必要となりますが、本当に相続人全員がきちんと揃っているかを証明するために、亡くなった方の戸籍謄本等を用意しなければいけません。

更に、遺産分割協議書に実印を押印する必要がありますが、この実印が正しいものであるか証明するために印鑑証明書も添付するということを是非覚えておきましょう。

5. 住所証明情報

所有権移転登記をする際には、不動産を取得する人が現実的に存在することの証明として住所証明情報を添付する扱いとなっています。

この住所証明情報として、個人の方であれば「住民票」を添付すればよいことになっていますので、基本的にはこの書類を取得するということになります。

6. 代理権限証明情報

相続登記をする際には、司法書士という登記の専門家に代わりに申請をしてもらうということが良くあります。

この場合に、司法書士が相続人である依頼者が自分に適法に依頼をして申請をしていることを証明する書類として、代理権限証明情報を添付することになっています。

この代理権限証明情報としては、一般的に「委任状」を用意することになっています。

7. 不動産の評価額が分かる書類

不動産の登記を申請する際には、登録免許税を納めなければいけないことになっています。

この登録免許税を算出するために用いられるのが不動産の「固定資産評価額」です。

固定資産用価額を知るためには、不動産の納税通知書又は固定資産評価証明書を取得することになっています。

納税通知書は、毎年ご自宅に通知書が届くことになっているはずですので、亡くなった方のご自宅を確認してみてください。

固定資産評価証明書は各市町村の役所にて交付されることになってしますので、手数料を支払い取得しましょう。

不動産納税通知書を不動産登記に添付することは、管轄の法務局によっては受付されないところもありますので、事前に問い合わせて確認をするようにしましょう。

8. まとめ

遺産分割協議書による場合の相続登記について見てきました。

遺産分割協議はよく利用される相続手続きでもありますので、この記事を参考に申請書の書き方はご自身でも書けるようになることは出来ます。

ただし、実際には書類の読み解き方など申請書以外の面での苦労はありますので、もし難しいと感じたら、専門家の司法書士に依頼することも検討しましょう。
(提供:相続サポートセンター