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相続が発生すると、被相続人の財産について評価を行い相続税額が計算されます。

この時に、財産のうちに占める割合が大きくなるのが土地です。

購入した時から価値がどんどん減少していく建物や車などと違い、土地については基本的に使用により価値が減少することはありません。

相続財産の中に土地が含まれている場合には特に注意が必要です。

1. 土地の評価方法については主に4種類ある

一般に土地の価格については次の4つがあります。

時価、公示価格、固定資産税評価額、相続税評価額です。

時価とは実際の売買の際に用いられる金額です。

売主や買主の都合、その他市場の状況などが総合的に反映されて時価を形成します。

公示価格とは、国土交通省が公表する金額です。

こちらは税金を計算する際や売買取引を行う際の基準となる金額です。

固定資産税評価額とは、毎年1月1日に土地の所有者に対して課税される固定資産税の計算のもととなる金額です。

概ね公示価格の70%が目安とされています。

相続の際に用いられるのが相続税評価額です。

このうち土地の評価方法は2つあります。

1つは路線価方式と呼ばれるもので、路線価×面積でおおよその評価額が計算できます。

令和元年の路線価が発表されています!

もう1つは倍率方式と呼ばれるもので、土地の固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて評価額を計算します。

土地の評価額は、この2つの方法のうちいずれかを用いて計算することとなります。

公示価格の概ね80%が目安とされています。

相続税を計算する際に使用される金額は、路線価又は倍率方式により計算した相続税評価額です。

そして相続税を計算する際には、亡くなった人が保有していた財産を相続が発生した時の金額で評価し、それに対する相続税を計算します。

2. 相続税路線価とは何か

相続税路線価とは、相続税を計算する際に使用される道路の金額です。

国税庁が毎年7月頃に公表している土地の価格です。

主に市街地の道路に面した土地の、1月1日時点の価格が公表されます。

なお、路線価はその土地の時価として公表されている公示価格のおよそ80%の金額になります。

災害等による臨時的な事由により調整されることもあります。

最近だと、平成28年熊本地震による調整が行われました。

相続した土地の路線価を知りたい場合は、国税庁のホームページから調べることができます。

この時、該当する土地の路線価が公表されていない場合は、その土地は路線価方式ではなく倍率方式により計算します。

相続税と隣接する贈与税の計算についても同様に相続税路線価が使用されます。

この道路の路線価(金額)に対して、接している土地の面積を掛け合わせることによって土地の相続税評価額を計算します。

3. 路線価とその他の価格との関係

相続税路線価の他にも3つの土地の価格を紹介しました。

それぞれに関連性はあるのでしょうか。

基本的に国土交通省が公表する公示地価が基準となります。

この金額は、実際に売買する際にも参考にされます。

また、地方自治体が固定資産税評価額を設定する際にも参考にされます。

相続税の路線価については公示地価の80%を基準に設定されます。

相互に関連性があるので、公示地価一本でよいのではないかとの疑問は当然です。

しかし、税金を計算するには何よりも公平性が求められます。

このため、日本全国の標準的なポイントをピックアップしてその土地の相場を示すにとどまる公示地価には限界があります。

このため、各種補正率が設定される相続税路線価は必要なのです。

また、相続税路線価は主要都市の道路について設定されているため、路線価が存在しない地域もあります。

この様な地域においては、固定資産税評価額を基準に相続税評価額を計算します。

このように、相互補完的な意味合いもあります。

4. 相続税路線価の確認方法

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路線価図は国税庁のホームページにて確認することができます。
http://www.rosenka.nta.go.jp/

該当ページからは直近7年分の路線価図にすぐにアクセスできます。

被相続人が亡くなってから相続税の申告をするまでに年をまたいでしまった場合には、実際に亡くなった年の路線価図を使用します。

ページ内に表示された日本地図で目的の都道府県をクリックすると、その都道府県の財産評価基準書目次に移ります。

この目次の中の「路線価図」をクリックすると区名・町名等で検索できるようになっています。

この索引を利用して目的の地域の路線価図を確認します。

5. 路線価方式による評価額の計算方法

国税庁のホームページより目的の地域の路線価図を探すことができたら、実際に対象の土地がある場所を探します。

次にその土地が面している道路を確認します。

道路ごとに路線価が設定されています。

矢印で範囲が示され、金額は千円単位の数字で示されています。

数字の後ろには借地権割合を示す記号が表示されており、他人に貸している場合や貸家として使用している土地を評価する際に使用します。

路線価図においては、1㎡当たりの価額が表示されています。

路線価方式の計算方法は、路線価×面積となります。

路線価は1坪あたりではなく1㎡あたりの金額なので、間違えないようにしましょう。

路線価方式による評価額は、該当する路線に面した正方形や長方形の土地を前提としています。

ところが、実際の土地はきれいな形の土地ばかりではありません。

そこで、様々な調整を行って評価額を計算することとされています。

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例えば、「300C」とあった場合に、この道路に隣接する土地は1㎡あたり300,000円と評価するということです。

従って、この道路に隣接する100㎡の土地があった場合には、評価額は300,000円/㎡×100㎡で3,000万円と計算できます。

他人に貸している場合や、貸家として使用しており人が住んでいる場合には、容易に立ち退きなどは行えません。

この分利用価値が下がります。

つまり、借主や住んでいる人の権利に対応する金額を減額する必要があります。

これを計算するには数字の後ろのアルファベット部分を使用します。

Cの場合には借地権割合は70%と定められています。

他人に貸している場合は、70%を減額することになります。

貸家に住んでいる人の権利は、借地権割合にさらに借家権割合をかけわせて計算します。

借家権割合は一律に30%と決まっていますので、この権利部分について24%を減額することになります。

また、実際の土地についてはすべてが利用価値の高い正方形や長方形などの形状にはなっていません。

過去の経緯によりいびつな形をしているものや、道路に隣接する部分が少ないものもあります。

また、2方向以上の道路に面している場合もあります。

これらを一律に評価してしまっては、実際の利用価値を反映した金額を計算することができません。

このため、一定の調整計算が行われます。

評価額が上昇する場合としては、複数の道路に面している土地があります。

角地の場合、正面と裏面が道路に面する場合など、ケースごとに計算方法が決められています。

一方、形がいびつな土地や間口が狭い、奥行が極端に長い・短い土地、がけ地となっている土地などは、一定の割合で減額することが認められます。

これらの減額計算は、納税者が自ら行わなければ、税務署側から減額してもらえることはないため、申告する際は忘れないようにしましょう。

相続税路線価が設定されていない場合の計算方法

国税庁にて公表されている路線価図については、主要地域のみの設定にとどまります。

全国に存在する12の国税局(沖縄国税事務所を含む)が管轄地域ごとに路線価を公表しています。

この路線図には限界があり、都市を離れた山間部などでは設定がありません。

相続税の金額を算出する際に使用することが目的ですので、全国隅々の土地について調査することは税金の無駄遣いにもなります。

この様なときには、地方自治体の公表する固定資産税評価額を使用します。

固定資産税評価額は、その土地の所有者に課す固定資産税を計算するために使用されます。

固定資産税については、公平性の観点から田舎の土地であろうと都市部の土地であろうとすべての土地に対して適切に課税することが必要です。

従って、主要都市の道路のみに限られる路線価とは異なりどの地域の土地にも固定資産税評価額が設定されています。

路線価が設定されていない地域を倍率地域と呼びます。

倍率地域の相続税評価については倍率方式により固定資産税評価額に一定倍率を掛け合わせることにより行います。

倍率は国税庁の倍率表を参照します。

倍率についても一覧表になっており、これも税務署での閲覧以外にインターネットを使って調べることもできます。

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また、路線価方式、倍率方式ともに自用地(自分で自由に使える土地)ではないものは計算の仕方が変わってくることに注意が必要です。

借地(人から借りている土地)の場合では自用地の評価額に借地権の割合をかけて求めます。

また、逆に貸地(人に貸している土地)の場合では自用地としての評価額から借地権の価額を差し引いて計算することになります。

6. 土地の形や状態による路線価の補正方法

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土地の形や状態によっては、路線価の補正が必要な場合があります。

路線価の補正には、価格を減額する場合と増額する場合があります。

路線価を減額するケースは、土地の形状が使いにくいなど、土地としての利用価値が低い場合です。

一方、路線価を増額するケースは、道路の交差点の角にあって交通の利便性が高いなど、土地の利用価値が高いと評価できる場合です。

以下、土地の形や状態に応じた路線価の補正についてケースごとにご紹介します。

6-1. 土地の形に基づく補正

四隅が直角の四角形の土地は一般に利用価値が高くなります。

一方、道路に接する間口が狭い場合などは使い勝手が悪くなるので、土地の利用価値は低下します。

そのように土地が使い勝手の悪い形をしている場合には、路線価に1未満の補正率を乗じて減額修正を行います。

なお、土地の形に基づく路線価の補正は、大きく分けて5種類あります。

土地の状況によっては1種類だけでなく、複数を組み合わせる場合もあります。

それでは、その具体例を紹介してまいります。

◼︎奥行価格補正

奥行価格補正とは、当該土地の奥行が一般的な土地と比較して長かったり短かったりする場合に補正するものです。

例えば、同じ100平方メートルの面積の2つの土地甲と土地乙がある場合に、土地甲が10メートル×10メートルの場合は宅地として利用しやすくなっています。

一方、土地乙が20メートル×5メートルで、かつ5メートルの部分が道路に面している場合、土地乙は奥行きが長く宅地として使いづらいため、奥行価格補正によって路線価が減額されることになります。

平均的な奥行の土地の補正率は1.00であり、路線価は減額されません。

一方、奥行が土地の使用の用途に見合った基準よりも使いづらくなる場合は、その距離に応じて0.80〜0.99の補正率が適用されます。

また、同じ土地の奥行であっても、当該土地の地区の性質によって異なる補正率が適用されます。

地区の種類としては、普通住宅地区、繁華街地区、ビル街地区などがあります。

◼︎不整形地補正とは

不整形地補正とは、土地が歪な形状の場合に適用される補正です。

宅地として整理された一般的な土地は正方形もしくは長方形ですが、全ての土地が利用しやすい四角形というわけではありません。

土地によっては、三角形や台形が入り混じったような、歪で複雑な形になる場合があります。

このような土地は整形に比べると利用しづらく、その分土地としての価値は低くなります。

そのため、不整形地補正によって路線価を減額する処理を行います。

なお、不整地補正は歪な形状の土地だけに適用されるわけではありません。

場合によっては、四角い形状の土地にも適用される場合があります。

四角い土地に適用されるのは、土地が道路に対して斜めに接しているケースです。

不整地補正の補正率を決める要素は、地区区分、地積区分、かげ地割合の3つです。

地区区分とは、当該土地がどのような地区に存在するかを示すものです。

地区区分の種類としては、高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区、中小工場地区などがあります。

地籍区分とは、当該土地の面積がどの程度の広さかを示すもので、面積の広さによってA、B、Cの3種類に区分されます。

面積はAが最も小さく、Bは中間、Cは最も広くなっています。

また、A、B、Cは当該土地の補正率を決める基準でもあります。

3種類の中ではAが最も補正が大きく土地の評価額が低くなります。

Bは中間で、Cは最も補正が小さくなります。

地籍区分のポイントは、当該土地の地区区分が何かによって同じ面積の土地でも異なる基準が適用されることです。

例えば、地区区分が高度商業地区の場合、地籍区分はAが1000㎡未満、Bが1000㎡以上1500㎡未満、Cが1500㎡以上です。

一方、地区区分が普通住宅地区の場合、Aは500㎡未満、Bは500㎡以上750㎡未満、Cは750㎡以上です。

そのため、同じ800㎡の土地であっても、高度商業地区の場合は地区区分がA区分、普通住宅地区の場合は地区区分がC区分になります。

かげ地割合とは、当該土地を架空の線で囲んで長方形にした場合と比較して、実際の土地がどの程度欠けているかの割合を示したものです。

土地が長方形に近いほどかげ地の割合は低くなり、土地の補正も小さくなります。

一方、長方形に足りない部分が大きいほど陰地の割合は高くなり、補正が大きくなって路線価は下がります。

不整形地補正率の割合は地積区分、地区区分、かげ地割合の3つから決まり、0.60〜1.00の幅があります。

例えば、地籍区分が普通住宅地区、地区区分がA、かげ地割合が65%以上の土地の場合、減額が最も大きい0.60が適用されます。

◼︎間口狭小補正とは

土地が道路に隣接している部分を間口といいます。

土地の間口が狭い場合、道路に出入りする際に支障をきたす場合が少なくありません。

それによって土地の利便性が低くなるため、間口狭小補正によって路線価に補正を行います。

間口狭小補正の補正率は、間口距離と地区区分によって0.80~1.00の範囲で決まります。

間口距離とは、道路の間口がどの程度の長さかを示すものです。

幅が狭いほど道路の出入りが難しくなるので、間口距離が短いほど補正は大きくなります。

地区区分は当該土地がどのような地区に存在するかを示すもので、同じ間口距離でも土地区分によって補正率が変化する場合があります。

土地区分にはビル街地区、高度商業地区、繁華街地区、普通住宅地区などがあります。

◼︎奥行長大補正とは

奥行長大補正とは、間口の幅が狭いにもかかわらず奥行が長い土地について、路線価を減額する補正です。

奥行長大補正率を決める要素は、奥行距離と間口距離です。

それぞれ奥行の長さと間口の幅を表すもので、奥行距離を間口距離で割った値が2以上の場合に、奥行長大補正が適用されます。

例えば、奥行距離20mを間口距離10mで割ると2mであり、奥行長大補正が適用されます。

一方、奥行距離が10mで間口距離が10mの場合、割ると1mになるので奥行長大補正は適用されません。

奥行長大補正の補正率は、土地の区分と奥行距離を間口距離で割った値の関係で決まります。

補正率は0.80~1.00の範囲なので、あまり大きくありません。

◼︎がけ地補正とは

がけ地補正とは、当該土地にがけ(崖)がある場合の補正です。

がけがあると建物を建設することが難しくなるため、土地の利用価値は低下します。

がけの部分が多いと土地を利用することが非常に難しくなるため、がけ地補正の補正率は0.53〜0.96と高めになっています。

最大で土地の路線価の半分程度が減額されることになります。

がけ地補正率は、土地の総面積におけるがけ地面積の割合と、がけ地がある方位によって決まります。

方位は日照などが影響するため、北向きの場合は価格補正が大きくなります。

6-2. 接道の状況に応じた路線価の補正

交差点の角にある場合など、土地によっては複数の道路に接していることがあります。

複数の道路に接している土地は利用しやすく価値が高くなるため、路線価を増額する修正を行います。

接道の状況に応じた路線価の補正には、側方路線影響加算と二方路線影響加算の2種類があります。

◼︎側方路線影響加算とは

側方路線影響加算とは、交差点や道路の角にある、複数の道路に接している土地について補正を行うものです。

側方路線影響加算率は、地区区分と土地の状態によって0.01〜0.10の範囲で決まります。

側方路線影響加算の地区区分は、ビル街地区、大工場地区、中小工場地区、普通住宅地区、繁華街地区などがあります。

土地の状態は角地(交差点の角にある土地)と準角地(道路の曲がり角の内側にある土地)に分かれ、角地のほうが価値が高くなります。

次に、土地に接している2つの道路のうち、路線価が高い道路を正面路線といい、もう一方を側方路線といいます。

土地1㎡あたりの価格は、正面路線の路線価、側方路線の路線価、側方路線影響加算率の3つを乗じて表します。

◼︎二方路線影響加算とは

二方路線影響加算とは、土地の表側と裏側の両方に異なる道路があり、土地が2つの道路で挟まれている状態の場合に増額補正を行うものです。

2つの道路が利用できるため、利便性が高くなります。

二方路線影響加算率は地区区分によって決まり、0.02〜0.07の範囲で増額補正されます。

地区区分は普通住宅地区、普通商業地区、ビル街地区、高度商業地区などがあります。

土地1㎡あたりの価格の算出方法は、側方路線影響加算と同じです。

土地を挟んでいる2つの土地のうち、路線価が高い方を正面路線とし、路線価が低い方を側面路線とします。

正面路線の路線価に側方路線の路線価を加えたものに、側方路線影響加算率を乗じることで、土地1㎡あたりの価格を算出します。

7. まとめ

相続税法により土地の金額を評価する際に使用されるのが相続税路線価です。

この相続税路線価について知っておくと、いざ相続が発生した際にあわてることなく対処できます。

また、相続が発生する前に納税額の概算を計算して、しかるべき対策をとることもできます。

相続税の計算については、様々な特例があります。

計算を間違うと修正額に応じて延滞税などの追加の納税も大きくなり、影響が非常に大きいです。

実際の計算については、税理士に計算を任せることと思いますが、基本的な考え方を知っておくことは非常に重要です。

参考 >>

<速報>令和元年の路線価が発表・2019年7月

(提供:相続サポートセンター