「サントリー天然水の森」で高校生が植樹体験
(画像=「サントリー天然水の森」で高校生が植樹体験)

サントリー食品インターナショナルは、2024年11月14日、長野県大町市の「サントリー 天然水の森」において、同社が推進する使った以上に水を育む「ウォーター・ポジティブ」活動の一環として植樹イベントを実施した。この取り組みには、高校生有志で構成される「ウォーターポジティ部」のメンバー6名が参加し、未来の水資源保全に向けた具体的な行動を体験した。

〈高校生が植樹で感じた「水の未来」〉
今回のイベントでは、高校生たちが初めて植樹作業に挑戦し、病気に強いアカマツを植えた。「土を掘るのが思ったよりも大変だった。一つずつ丁寧に植える作業の重要性を感じた」、「この植樹が未来の水につながっていると感じられてうれしい」「植えた木がどのように森を形成するのか楽しみ」といった声が挙がった。

「サントリー天然水の森」で高校生が植樹体験
(画像=「サントリー天然水の森」で高校生が植樹体験)

また、同日に実施された「サントリー天然水の森 北アルプス信濃の森工場」の見学では、「毎日当たり前のように飲んでいる水が、商品になるまでとても時間や手間がかかっていることがわかった。これからはもっと大事に飲みたいと思う」と、水資源の大切さを再認識するコメントが寄せられた。

工場見学ツアーで「天然水ができるまで」を学ぶ様子
(画像=工場見学ツアーで「天然水ができるまで」を学ぶ様子)

〈持続可能な水資源保全への取り組み〉
今回訪れた「サントリー 天然水の森」は、長年にわたり地域の自然と共存する形で管理されてきた。しかし、サントリーホールディングスのサステナビリティ経営推進本部の市田さんによれば、「過度な松林の成長に伴う病害リスクや、広葉樹の繁茂によりオオタカが営巣できなくなったことなど、課題も多い」と話す。オオタカは生態系の頂点の存在で、オオタカが営巣できる森は豊かな森とされている。そこで、2019年以降、サントリーは専門家たちと協力し営巣候補木の広葉樹の刈り払いなどの環境整備を進めた結果、2022年にはオオタカが再び営巣し、ヒナが3羽育つ成功例も生まれたという。

サントリーホールディングス サステナビリティ経営推進本部の市田氏
(画像=サントリーホールディングス サステナビリティ経営推進本部の市田氏)

現在、地域全体の松林を病害に強い種類へと更新する長期計画が進行中であり、今回の植樹活動はその第一弾に位置付けられる。計画では、1ヘクタール単位で植樹を行い、全30ヵ所を2年に1回のペースで整備しながら、60~70年かけて持続可能な松林を形成していく予定だ。今回のイベントでは、1ヘクタールに約3000本を植えるうち、高校生や工場従業員ら参加者の手によって150本が植樹された。

〈「ウォーターポジティ部」とは?〉
今回参加した高校生たちが所属する「ウォーターポジティ部」は、2024年4月に発足した。同部は、次世代への水資源の重要性を発信するために設立され、約20名の高校生有志がSNSやイベントを通じて活動している。視覚的に分かりやすい写真や短い文章を駆使し、同世代に親しみやすい形で水資源の問題を訴えるのが特徴だ。

「水の日」に向けて行われた「ウォーター・ポジティブ プロジェクト」発表会
(画像=「水の日」に向けて行われた「ウォーター・ポジティブ プロジェクト」発表会)

例えば、単に水の問題を紹介するのではなく、紅葉の写真や自然の美しさを切り取った投稿など、若者が「シェアしたくなる」工夫が凝らされている。また、街頭インタビューやイベントでの直接対話を通じて、活動への理解を広げる試みも行われている。12月13日には長野駅近くで行われるクリスマスマーケットでの出展を予定しており、「水が自然に循環するまでに約20年かかる」「水が育まれるまでには様々な生物が作るふかふかの土が必要」といったトピックスを来場者に伝える計画という。

〈サントリーが高校生に託す思い〉
サントリー食品の広報担当者は、このプロジェクトの意図について次のように語る。「高校生が何かをやっているというだけで、“どんなこと?”という興味を引きます。水というジャンルは普段注目されにくいテーマだからこそ、同世代の声を活用する意義があるのです。また、同世代の友人から友人へ、さらには親世代へと話題が広がる効果も期待できます」。

さらに、「私たちは今、自分たちがいなくなった後に何を残すべきかを考える段階にあります。今回の活動が次世代から親世代まで幅広い世代に“水資源”について考えるきっかけになれば嬉しいです」と、未来への思いを語った。

〈長期ビジョンで進む「ウォーター・ポジティブ」〉
サントリー食品は、100年先を見据えた長期的な視点で、使った以上に水を育む「ウォーター・ポジティブ」活動を推進している。同社の調査によれば、若者は水の消費量が多く、水への関心も高い傾向にあるという。

そこで、幼児から小学生やその親世代向けには、「サントリー天然水」工場でスタンプラリーや自由研究イベントを夏休み期間に実施した。今年の来場者は3万人超になったという。

小学生向けには、授業で“水を未来につなごう”プログラムを今年5月から展開。小学4年生の社会科授業「水」の単元をターゲットに、水が限りある資源であることや水資源を未来につなぐための活動を発信している。今年は申し込みが予定より多く、また実施校で好評だったことから、来年は5万人以上に拡張する予定だ。

水の啓発授業“水を未来につなごう”の様子
(画像=水の啓発授業“水を未来につなごう”の様子)

これらの取り組みにより、2026年までに累計10万人へ水の啓発を目指す。サントリー食品は、次世代を中心に据えた水資源保全の取り組みを多方面で進めることで、未来の環境保全につなげるねらいだ。

〈高校生が紡ぐ未来へのバトン〉
「ウォーターポジティ部」の活動は、高校生が自ら考え、行動することで、次世代への橋渡し役を果たす象徴的な取り組みである。高校生たちは、月に1度集まって、水について学ぶとともに、アイデアを出し合ってSNS投稿を工夫している。同世代が発信することで親近感が生まれ、話題が広がる効果はもちろん、彼らの行動が周囲にインパクトを与え、持続可能な社会を築く土台になりそうだ。

メンバーは、「ウォーターポジティ部」活動の励みになっていることとして、街頭イベントで声をかけられることや、インスタグラムのフォロワー数が増えることだという。メンバーは次のように話す。

「数十人だったフォロワーが、いまは2000人近くになってとても嬉しい。これからも見てくれる人がパッと中身がわかるように、視覚的に水の大切さを紹介したい。短い文で伝わるようにしたり、いい写真だなと思ってもらえるような撮り方をして、もっと多くの人に見てもらいたい」。

今回の植樹活動で高校生たちが植えた木は、未来の水を守る象徴として成長していく。その森が広がるころ、彼ら自身が次世代へと“水資源の重要性”を託す立場になっているだろう。サントリー食品の取り組みは、未来のリーダーを育むための新たな挑戦として、これからも注目されそうだ。