贈与をしたことがある人は、贈与税について意識されたことはありませんか。
贈与をすると通常贈与税を支払わなければいけないことになっています。
しかしながら、この贈与税を減らす、あるいは全く支払わずに済む方法があるとしたらいかがですか。
今回は、支払う税金をギリギリまで押さえ、効果的に贈与を行う方法について詳しく解説していきます。
今まで贈与をすると税金がかかるから躊躇っていたという人も、非課税となる対象の贈与について詳しく知りたいという人も、満足頂ける内容となっていますので是非最後までお読み下さい。
1. 贈与をしても申告しなくて良いと思っていませんか?
贈与は税金の申告をしなくても特にばれることはないと思っていませんか。
ここでは、具体的にどのような場合にばれることがあるのかについて一例を紹介しています。
贈与がばれる可能性があるかどうかの事情についてもまとめています。
1-1. 贈与ってばれるんですか?
贈与税の無申告は、ばれにくいものです。
例えば、内緒で現金を手渡していたとしても、そのような細かい行動一つ一つにまで税務署は調査をするわけにもいかないわけです。
しかしながら、この贈与の額が多少大きな額となっては、税務署も金額を怪しむ種の一つとなってしまいます。
そして最終的には、ばれるリスクの方が高いことになります。
1-2. どのような時にばれるのか
それでは、贈与税の未払いはどのようなタイミングでばれるのでしょうか。
具体的には、例えば相続が起こると、ばれてしまいます。
なぜなら、相続の際には、税務調査のために、税務署から税務調査がされる可能性が高い為です。
税務調査をされてしまうと、つじつまの合わないお金の動きは不審がられてしまいます。
申告していない贈与もいつかはばれてしまうと覚えておきましょう。
更には、不動産を購入した際にも税務調査の対象となることがあります。
この場合には、購入した不動産を登記するために、法務局に登記申請をすることになるのですが、この登記完了通知が法務局より税務署にも連絡が届くようになっています。
ここから、税務署より購入者に対して、確認の通知が入りますので、虚偽の事実を述べてしまうと、疑われる原因となってしまいます。
2. 贈与税を申告しないとどうなるの?
贈与税の申告をしないままでいると、税務署からペナルティを課せられることになります。
このペナルティとしては、具体的に(1)延滞税、(2)無申告加算税、(3)過少申告加算税などの税金が追加で負担しなければいけないことになります。
この税金は追徴として、支払う期間が申告期限よりも長引けば長引くほど高額な税金を納めなければいけません。
申告期限の2ヶ月を経過すると、申告期限2ヶ月までに納付するよりも税率が加算され、より多額の税金を負担しなければいけないことになってしまいます。
これでは、まじめに税金を支払うことと比べると大きなコストとなってしまいます。
いつかばれて多額の税金を払うことを考えると、きちんと税金を処理することを考える方が得策と言えるのではないでしょうか。
3. 贈与税を支払わなくていい人もいる?
贈与税を支払わなくていい場合もあります。
逆に、贈与税の申告を行わなければならない場合とは、暦年課税を適用する場合で、なおかつ贈与額が110万円を超えてしまう場合と、相続時精算課税を利用する場合です。
会社から贈与を受けたら所得税と住民税の対象になり、贈与税の対象にはなりません。
あくまで個人から贈与を受けた場合のみ、暦年課税の適用かつ贈与額が110万円超え、もしくは相続時精算課税を利用する場合に、贈与税の申告が必要になるということです。
ところで、贈与額が110万円以内だった場合はどうなるのでしょうか。
暦年課税方式の場合、毎年110万円の基礎控除を利用できますので、もし贈与額が110万円以下であった場合、相続税は0円になります。
差し引きされて、ゼロになってしまいます。
相続時精算課税の場合は、贈与を受けた分の贈与税をその都度支払わない代わりに、相続が起こった時に相続税として支払う仕組みです。
2,500万円まで、贈与税が非課税になる代わりに贈与を受けた年には必ず申告が必要になります。
したがってまとめると、贈与税を支払わなくていい人もいます。
それは基礎控除の枠内に控除が収まった人の場合のことを言います。
もし、相続時精算課税を選択している場合は、必ず申告が必要です。
たとえ控除内の金額になったとしても、申告をしてください。
4. 贈与税がかからない場合とは
そもそも贈与税がかからない場合もあります。
まずは法人から贈与された財産については贈与税ではなく、所得税、住民税の対象となるので贈与税はかかりません。
次に、親や兄弟姉妹、子どもなどの扶養義務者からもらった財産で、通常必要と認められる範囲と考えられるものには贈与税がかかりません。
例えば、進学の費用を親に出してもらったからといって、それに贈与税はかからないというわけです。
その他、個人から受け取った香典や花輪代、年末年始の贈答やお見舞いの品など、社会通念上相当と認められるものについては、贈与税が課税されません。
もし万が一、税務調査がやってきてしまった場合でも堂々と対応すれば大丈夫です。
贈与税がかからない場合があり、それにちゃんと当てはまれば、なんら非難されることはありませんので、ご安心ください。
5. 贈与税を支払わなかった場合はバレるのか
贈与税を支払わなかった場合について、全てのケースが税務署にばれてしまうわけではありません。
しかし、全てのケースを隠し通すこともできません。
税務署としては、脱税や申告漏れ、無申告については、きちんと申告し、納税している人と比較して不公平なことにならないように罰則を適用し、課税していく方針であるためです。
皆が皆脱税をしてしまうと、税で支えているこの社会は一気に成り立たなくなってしまいます。
6. 贈与税の申告漏れがあった場合の加算税について
贈与税の申告漏れがあった場合の加算税についてはいくつかの種類があるので、ざっとご紹介します。
まず、贈与税の申告自体を忘れていた場合は、無申告加算税がかかります。
無申告加算税は、本来納めるべき贈与税の5%から20%です。
20%になってしまうケースとは、罰則が強化された平成29年以降の無申告で、税務調査を受けてから申告した場合についてです。
税務調査の事前通知があるより前、税務署の事前通知はあったが税務調査までに申告、税務調査を受けてから申告の順で無申告加算税の税率がアップします。
申告はしていたものの、申告額が過少であった場合についても、5%から15%の過少申告加算税がかかります。
追加で納めることになった贈与税に、過少申告加算税をかけたものが、過少申告加算税は、税務署の事前調査より前に自主的に申告した場合については0%です。
したがって、もし、過少申告をしてしまったと気がついたらいち早く修正申告をしなければなりません。
税務調査の事前通知を受け取ってしまうと、5%もしくは10%の加算税がプラスされてしまいます。
意図的に、つまりわざと申告しなかった場合については重加算税がプラスされます。
重加算税は最も重いペナルティです。
過去5年以内に贈与税で無申告加算税や重加算税が課されたことがあると、最大で50%もの重加算税が加算されてしまいます。
7. 適正な申告をしよう
結局のところ、「よくわからないけどこれでいいかな」「これは贈与かどうかわからないけど、多分贈与ではないだろう」など、よくわからないのに贈与税の申告をしたり、面倒なので申告そのものをしていなかったりすると、必ず後でどこかでばれてしまいます。
絶対にばれるとはもちろん言い切れませんが、それでも税務署にばれてしまったときのペナルティは相当なものがあります。
適正に申告していれば、負担しないで済むはずのお金ですので、非常にもったいないです。
様々な加算税がありますが、それらを避ける方法としては、適正な申告をするしかありません。
もし、面倒な贈与税の申告を自分でできるか不安、金額の計算が正しいかわからないと思っているのなら、ぜひ一度お近くの税理士にお尋ねください。
税理士は税務のプロなので、適正な申告を代理することができますし、もし万が一過去に申告したものが間違っていても正しく修正申告をすることができます。
7-1. 贈与税には時効制度があるから大丈夫?
実は、贈与税には時効制度が存在します。
この時効制度を利用すると、なんと時効期間経過後には、贈与税を支払う義務がなくなってしまうことになります。
もし、これが本当なら是非時効にかかるように対策を打ちたいものですが、残念ながら時効制度を利用することは極めて難しいものと考えられています。
これについて、少し詳しく解説します。
贈与税は贈与をした年から原則として6年間経過することで時効にかかります。
しかしながら、ここでわざと時効を狙っていることが判明したときには、時効の期間が1年間追加されて、7年間経過するのを待たなければいけません。
ところが、税務署が頻繁に厳しい調査をしており、時効が満了しないための対策を取ってきます。
時効を中断して、改めて6年間数えられるように、未払いの贈与税に対して、督促状を送付してくるようになります。
そうすると、折角辛抱強く隠してきた贈与税対策も水の泡ですし、おまけに上記のペナルティも支払わなければいけません。
このようなリスクを考慮すると、素直に贈与税を支払う道を選択するのが良いと考えられます。
8. 正当に贈与税を軽くする方法とは?
さて、ここまで贈与税を支払うことをご理解頂いたところで、贈与税を少しでも減らす方法について検討していきます。
贈与税を支払わないわけではなく、きちんと贈与税について理解して減らすことが出来るのですから、これを利用しない手はないですね。
賢く使いさえすれば、贈与税をゼロにすることも不可能ではありません。
それでは、具体的に見ていきます。
8-1. 110万円の非課税枠を利用しよう
これは有名な話ですが、毎年贈与税の基礎控除として、110万円までは非課税で贈与をすることが出来るようになっています。
これを利用して、500万円の贈与をしたいと考えている場合には、5年間にわたり少しずつ贈与をしていけば結果的に贈与税をゼロにすることが出来ます。
ただし、贈与をする額が大きければ大きいほど事前の計画が重要となりますので、必要な期間を前もって考えておく方が良いでしょう。
ただし、この制度を利用するにはいくつかの注意点があります。
「110万円までの贈与」の捉え方ですが、これは贈与を受ける者一人につき、110万円まで許容されるのではなく、贈与をする者の観点から考えることになります。
つまり、贈与をする者が一度110万円の贈与をしてしまえば、他の者に贈与した110万円は課税の対象となってしまいますので、注意しなければいけません。
8-2. 生活資金は贈与扱いとはならない
よく勘違いされがちですが、一緒に住んでいる家族の間で生活に必要なお金の譲り渡しは贈与には当たらないことになっています。
ですので、例えば同居の弟が食費を購入するのに必要な金額を渡すという行為については、贈与税が発生しないことになります。
生活資金については、贈与税がかからないということですね。
この時に、注意しなければいけないのは、生活に必要なときに必要な分だけの贈与のみ非課税になるということです。
例えば、予め前もって将来に必要な資金を一気に贈与することは、この対象とはならないことになります。
一括に必要以上に贈与されたお金は、本当に生活費のために使われるのかどうか分かりません。
あくまで目的の範囲内の資金として使われるように、必要に応じて贈与するということを覚えておいて下さい。
9. パターン別贈与税を非課税にする方法
ここでは、ある一定の目的をもって贈与をした場合に非課税となるパターンについてご紹介します。
以下のパターンに該当する贈与を行うことで、多額の税金をゼロにすることが可能ですので、ご自身の条件に合うものがあれば是非参考にしてみて下さい。
9-1. 住宅取得資金等の贈与
一定期間の間に、ご両親や祖父母から住宅を取得するための援助として贈与を受けた場合に、一定額の非課税となることが出来ます。
非課税枠については、年々減少傾向にありますので、実際に利用を考えていらっしゃる場合には早い目に対応をされた方が良いでしょう。
実は、この住宅取得資金の贈与には裏技的な使い方があります。
それは、夫婦がそれぞれのご両親又は祖父母から資金の援助を受けるという方法です。
これをすると、夫婦それぞれが資金提供を受ける金額が非課税となりますので、それぞれの家で話し合いをして合意が取れれば、それぞれ多額の非課税枠を取得することが出来るでしょう。
これを利用する条件としては、取得する住宅の名義を夫婦の共有名義にしなければいけませんので押さえておきましょう。
9-2. 教育資金の贈与
ご両親や祖父母から子供に対して、教育資金を贈与として提供することも非課税とすることが出来ます。
金額は一括ですが、1,500万円までの枠がありますので、将来子供に対して何か援助をしてあげたいと考えている方は、「教育資金の援助」という名目にして贈与をしてあげると、納める税金もゼロに出来て、お得になりますね。
9-3. 結婚・子育て資金の贈与
こちらも上記教育資金の贈与と同様に、ご両親や祖父母から子供に対して、結婚・子育て資金の贈与を目的として、1,000万円まで非課税とすることが出来ます。
ただし、結婚のための贈与の非課税枠と子育てのための非課税枠では、違いがありますので、詳しくは税理士等の専門家に確認するようにして下さい。
9-4. 障害者に対する贈与
障害者の方に贈与した場合には、6,000万円まで非課税となることになります。
ここで、対象となる障害者の方の障害の種類等により、非課税の金額が変動する場合がありますので、詳しくは税理士等の専門家に相談してみるとよいでしょう。
10. 相続税との関連を活かした非課税制度
相続税と贈与税は、実は相互に関連性の高い税金であるということが出来ます。
相続税の性質を生かした贈与税の活用方法なども含めてお伝えしていきます。
10-1. 贈与税と相続税との関連性とは?
相続税も贈与税もそれぞれお金を無償で譲り受けることが出来るという点では、共通の性質を有しています。
しかしながら、相続税と贈与税とは基礎控除の額の点において、違いがあります。
贈与税の基礎控除は上記の通り、110万円のみですが、相続税の基礎控除額は、平成30年現在「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっていますので随分差があります。
そこで、相続税と贈与税とどちらで課税させるべきかどうか考えてみるのも面白いことです。
10-2. 相続時精算課税制度の活用
贈与税を利用した非課税について、相続時精算課税制度があります。
これは、60歳以上のご両親又は祖父母から子供・孫に対して、贈与した額の2,500万円までを非課税とすることが出来る制度です。
この制度の特徴は、一旦非課税として贈与された額はすべて相続税として加算されることになることです。
ここで、相続財産があまりなく相続税がかかる可能性が少ない場合には、この制度を利用して贈与税を非課税にしておけば、相続税の基礎控除により相続税も非課税部分が大きく取ることが出来ます。
このようにして、相続税と贈与税の連動による活用も是非検討してみて下さい。
まとめ
贈与税には隠そうとしてもばれてしまい、多額の税金を追徴されるリスクがあることをご理解頂けましたでしょうか。
そこで、上記でご紹介しましたように、様々な非課税制度を利用することが効果的です。
これらを上手く活用して、税金をゼロにすることも勿論可能ですので、是非参考にして頂ければ幸いです。
ご不明な点等、詳しい内容は相談先の税理士等に相談するようにして下さい
(提供:相続サポートセンター)